カリウムによるラン藻のバイオプラスチック増産効果を発見〜二酸化炭素からバイオコハク酸を生産〜
@Press / 2016年9月1日 13時30分
JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発ALCAにおいて、明治大学 農学部の小山内 崇 専任講師らは、カリウムを用いたラン藻の培養によって、プラスチック原料となるコハク酸と乳酸の生産量が増大することを発見しました。
有機酸注1)は生物が作り出す多様な化合物であり、その中でもコハク酸、乳酸はバイオプラスチックの原料となることが知られています。コハク酸などのプラスチック原料となる有機酸は、主に石油などを用いて化学的に合成されています。しかし、化石資源の枯渇や地球温暖化の問題から、生物を利用した有機酸生産が注目を浴びています。特に、光合成による二酸化炭素を用いた有機酸生産法は、現時点では効率が悪いものの、完成すれば環境問題の解決に役立つ技術となります。
本研究グループは、細菌ながら植物と同じ光合成を行うラン藻(シアノバクテリア)の研究を行いました。これまでに研究グループは、嫌気、暗条件注2)にするとコハク酸や乳酸を生産することを見出しています。より効率的な生産が可能となる培養条件を探索したところ、カリウム添加によって、コハク酸、乳酸の生産量が増加することが明らかになりました。さらに遺伝子改変を組合せることで、コハク酸、乳酸生産量がそれぞれ11倍、46倍に増大することがわかりました。
このように本研究では、ラン藻を用いて二酸化炭素をバイオプラ原料に効率的に変換する技術を開発しました。このような光合成生物の応用研究を発展させることで、環境負荷の低減に寄与することが期待されます。
この研究は、明治大学 農学部 上田 紗季子、川村 優樹(以上農芸化学科4年生)、飯嶋 寛子(共同研究員)により進められ、理化学研究所 平井 優美 チームリーダー、近藤 昭彦 チームリーダー(神戸大学教授)、白井 智量 副チームリーダーらの研究グループと共同で行ったものです。
本研究成果は、2016年8月31日(英国時間または米国東部時間)発行の英国科学学誌「Scientific Reports」に掲載されます。
詳細は下記ページにて
http://www.meiji.ac.jp/koho/press/2016/6t5h7p00000lxcit.html
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プレスリリース提供元:@Press
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