新たな分子標的をターゲットにした上皮がん治療薬の探索研究「産学連携による新たな初期創薬プロセスモデルの構築」
@Press / 2018年4月11日 11時0分
株式会社SEEDSUPPLY【代表取締役社長 樽井直樹】(以下、SEEDSUPPLY)と国立大学法人千葉大学【学長 徳久剛史】(以下、千葉大学)は、今般、「SWI/SNF complexに依存的なNF-κB活性を阻害する低分子化合物の探索」に関する共同研究契約を締結しました。
千葉大学で行われた研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬戦略部が実施する創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)における支援テーマの一つであり、導出先企業としてSEEDSUPPLYが公募により選定されました。
本共同研究ではSEEDSUPPLYが有するバインダ・セレクション技術*を用いて、新たな分子標的に結合する低分子化合物を早期に見出し、千葉大学にて、その生物活性を検討されるという効率的な初期創薬プロセスを推進するものであり、お互いの強みを活かした新たな産学連携の形となることを期待しています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/153393/LL_img_153393_1.png
化合物選別フロー
*バインダ・セレクション技術:ユニークなクロマト技術を用いて、分子標的に結合する化合物を化合物ライブラリから選別する技術です。あらゆる分子標的を対象にできることを特徴とします。
■研究内容の詳細
多くの上皮がんの開始、進展には活性化を受けた種々のNF-κBダイマーが関与することが知られながら、NF-κBの阻害剤で切れ味の良い抗がん作用を示すものはありません。その理由として、こうしたNF-κB阻害剤がNF-κBの活性化に至る特定のシグナル伝達経路上の重要分子を標的としているために、他のシグナル経路とクロストークをすることによりその特異性が低くなったり、効果が部分的となったりすることなどが挙げられます。
千葉大学・真菌医学研究センターの伊庭英夫特任教授らはこれまでにd4-familyタンパク質(DPF1,2,3a/b)が種々のNF-κBダイマーとクロマチン構造変換因子SWI/SNF complexのアダプターとして機能することを示してきましたが、さらにd4-familyタンパク質のN端側がアダプター機能に重要なこと、またC 末端側にもNF-κBダイマーの転写活性化に必要な制御領域があることを明らかにしました(Kobayashi K. et al. Scientific Reports, 7:11772(2017))。このような知見からd4-familyタンパク質に作用する低分子化合物を効率的に見出すことができれば、上皮がんに対する新たな分子標的をターゲットとした薬剤の開発に繋がると考えられます。
SWI/SNF complexとNF-κBとのアダプターとしてのd4-familyタンパク質
https://www.atpress.ne.jp/releases/153393/img_153393_2.png
■研究の進め方
SEEDSUPPLYはd4-familyタンパク質に対して結合活性を有する低分子化合物を独自のバインダ・セレクション技術を用いて化合物ライブラリ(約40万化合物)から探索します。千葉大学ではこれらの結合化合物のNF-κB阻害活性を培養細胞を用いて計測し、高い阻害活性を持つ結合化合物に対しては抗がん活性(足場非依存性増殖)を初めとする細胞培養レベルでの高次評価系検索を行います。両者はこうした成果をリアルタイムで共有しながら上記の作業を繰り返して、SWI/SNF complexに依存的なNF-κB活性の阻害による抗がん剤のシード化合物の選出を進めます。
■今後の展開
SEEDSUPPLYでのスクリーニングの結果、候補結合化合物が見出されています。「研究の進め方」に従って、シード化合物の選出を行い、低分子化合物によるd4-familyタンパク質への結合に由来する種々の生物活性との関係を明らかにします。また、第三者とのさらなる共同研究も模索していきます。
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プレスリリース提供元:@Press
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