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介護現場の「独特で不快な臭気」に関する研究成果を発表 キー成分(パラクレゾール(※1))が体臭と混ざることで不快な臭気になり、酸性条件で洗浄することで臭気が低減することを確認

@Press / 2018年6月27日 15時0分

ライオン株式会社(代表取締役社長・濱 逸夫)は、介護現場の困りごとの一つである「独特で不快な臭気」について研究を進め、以下の知見を得ました。
なお、本研究に関連する内容を学会で発表しました。
(※1) 乾燥尿由来の臭気成分

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/159753/LL_img_159753_1.jpg
臭気解析のイメージ

(1) 乾燥尿由来のキー成分と体臭が混ざることで「独特で不快な臭気」になる
要介護者の寝室等で感じる「独特で不快な臭気」を回収して解析した結果、乾燥尿由来のキー成分パラクレゾール(以下、p-クレゾールと表記)が加齢臭や皮脂臭などの体臭と混ざることで、その不快度が上昇していることを確認

(2) 酸性条件で洗浄することで尿臭衣類の臭気が低減する
キー成分(p-クレゾール)は、尿に含まれるリン(リン酸塩)などの無機成分が共存することで落としにくくなることから、リン酸塩が溶解する酸性条件で洗浄することで、尿臭衣類の「独特で不快な臭気」が低減することを確認


1. 研究の背景
近年、要介護(要支援)認定者数は継続的に増加し、2018年3月時点で640万人に達しています(厚生労働省:「介護保険事業状況報告」2018年度3月暫定版)。
介護家庭の寝室やリビングで感じる「独特で不快な臭気」は、人によっては気が滅入るような不快感があり、介護における負担の一つとなっています(2012年当社調べ)。
そこで、介護現場の「独特で不快な臭気」について、臭気成分の解析、尿臭衣類の実態と効果的な洗浄方法に関する研究を行いました。


2. 研究成果
(1) 乾燥尿由来のキー成分(p-クレゾール)に加齢臭などの体臭が混ざることで、臭気の不快度が高まり、「独特で不快な臭気」になることを確認
首都圏の在宅介護家庭(6軒)から、要介護者の着用衣類(※2)や寝室・リビングの臭気を回収し、介護に関わる「独特で不快な臭気」について解析しました。回収した臭気を濃縮してAEDA法(※3)を応用したGC-O/MS分析(※4)を行い、微量でも人が感じやすいニオイ成分の一つ、乾燥尿由来のキー成分(p-クレゾール)という物質に着目しました。p-クレゾールが加齢臭や皮脂臭などの体臭に混ざることで、同じ臭気強度でも不快度が増すことを嗅覚判定により明らかにしました(※5)。

臭気解析のイメージ
https://www.atpress.ne.jp/releases/159753/img_159753_1.jpg

臭気混合時の不快度
https://www.atpress.ne.jp/releases/159753/img_159753_2.jpg

(※2) 回収した衣類をそのまま専用容器に封じ込めて、容器内に発生した臭気を採取して解析
(※3) AEDA法(Aroma Extract Dilution Analysis):ニオイのキー成分を特定するための手法。試料を希釈しながら専門評価者がニオイを嗅いで判定することを繰り返し、ニオイを感知できなくなった希釈度から各成分のニオイへの寄与度を評価する方法
(※4) ガスクロマトグラフィーで分離した成分を専門評価者がニオイを嗅いで検出すると共に質量分析を組み合わせ、各成分のニオイの質や強度、同定まで行う方法
(※5) 各臭気成分を3Lにおい袋に添加し、9段階快・不快度表示法に準じて官能評価(n=4)。臭気モデルとして、皮脂臭:Aldehyde(C8-10), 加齢臭:2-Nonenal, 汗臭:i-Valeric acid + Hexanoic acid, 実汚垢:顔垢付着タオルを評価に使用

(2) 尿臭衣類の汚れ実態調査から、酸性条件で洗浄することで尿臭衣類の臭気が低減する
介護現場では、「(洗濯物に)落としきれない尿臭が気になることがある」との回答は56%にも上り、大きな負担になっています。(2017年当社アンケート調査、介護職員n=97)。

洗浄時pHと衣類異臭の不快度
https://www.atpress.ne.jp/releases/159753/img_159753_3.jpg
■布 :尿臭衣類
■洗浄液:pH7(市販液体洗剤)
pH5(モデル液体洗剤)
■評価 :官能評価n=6

尿臭衣類の汚れの実態を調べるため、介護される人の衣類(パジャマの下穿き8点)を洗浄し、股部分(尿モレで汚れる部分)と、すそ部分(尿モレの影響が少ない)をそれぞれ切り取り、汚れ成分を抽出・分析して、洗濯後に残った汚れ成分を定量しました。
その結果、尿モレの影響が大きい股部分では、すそ部分に比べてリンとタンパク質が、多く残っていることが分かりました。また、モデル実験により尿臭のキー成分(p-クレゾール)とリン酸塩・タンパク質が共存することで、p-クレゾールが残存しやすくなることが分かりました。
リン酸塩は、トイレのしつこい汚れである尿石を構成する成分で、中性~アルカリ性では溶けず酸性では溶解する性質があります。尿石の洗浄でpHの低い酸性タイプの洗浄剤が有効なことを参考に、洗浄条件のpHの影響を調べた結果、洗浄液のpH低下に伴い尿臭衣類からのp-クレゾール除去率が上昇しました。
一般的な洗浄条件は中性~アルカリ性であることを踏まえ、要介護者の衣類を酸性条件と中性条件で洗浄して比較しました。酸性条件での洗浄により、尿臭衣類の「独特で不快な臭気」が低減することが分かりました。


以上に関する研究成果を下記の学会にてポスター発表しました。
◆介護現場の不快な臭気の解析
【第78回分析化学討論会】 於:山口大学(山口県宇部市)
・発表日:2018年5月26日(土)
・演題 :製品開発の基盤となる分析技術研究について
・発表者:ライオン株式会社 先進解析科学研究所
○市場 有子、筒井 拓也、埴原 鉱行、五十嵐 章紀

◆尿臭衣類の汚れ実態と洗浄方法
【日本繊維製品消費科学会2018年年次大会】 於:金城学院大学(愛知県名古屋市)
・発表日:2018年6月24日(日)
・演題 :尿臭衣類の汚れ実態とその洗浄方法
・発表者:ライオン株式会社 ファブリックケア研究所
○高橋 遥、武井 亮太、森元 由佳、藤原 久美子、末國 智成、増井 宏之

○筆頭発表者


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press

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