納豆の健康作用について おかめ「納豆サイエンスラボ」にて連載コラムを更新
@Press / 2018年7月10日 10時0分
納豆の健康効果や魅力を発信している、おかめ「納豆サイエンスラボ」では、納豆に関する情報や納豆を作る際に必要とされる「納豆菌」に関する健康効果について各界の専門家へのインタビューを通じて、今のシーズンだからこそお知らせしたい情報を毎月発信しています。(おかめ「納豆サイエンスラボ」HP: http://www.natto-science.jp/ )
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/160857/LL_img_160857_1.jpg
図1
◆平年よりも早く猛暑が来襲。体調管理に要注意!健康を支える「食」の重要性。
日本列島は夏本番に突入。関東甲信地方は昭和26年の統計開始以降初めて6月中に梅雨明けしたため、平年より1か月近く早く猛暑にさらされる日が続いています。気温や湿度がぐんぐん上がる中で、体調悪化、さらには食中毒などを気にしている方も少なくないのではないでしょうか。
体調管理のためには、さまざまな予防に備えた「食」をいかに日々選んで摂るかがポイントになります。そのひとつである日本の伝統食品「納豆」について、“納豆博士”として活躍されている倉敷芸術科学大学 名誉教授の須見 洋行先生に、健康作用を中心にお聞きしました。
◆納豆博士に聞いてみました!「ナットウキナーゼ」についておしえてください。
長きにわたって日本人の食に欠かせなかった納豆ですが、最近では、その健康作用が明らかになりつつあることで、さらに注目されるようになってきました。1980年に私が発見した「ナットウキナーゼ」も、納豆独自の健康成分の1つです。
「ナットウキナーゼ」は大豆と納豆菌が一緒になって発酵する過程、いわゆる納豆ができるまでの中で生み出される健康成分で、血管内の血の塊である血栓の主成分に直接働きかけて溶かす作用があります。この血栓は心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすため「ナットウキナーゼ」の血栓症予防効果には、大きな期待がもたれています。
さらに、私の最新の研究では、アルツハイマー型認知症の予防としての働きについても明らかになってきており、研究を進めているところです。大豆と納豆菌の発酵によって生まれる「ナットウキナーゼ」は、さまざまな健康作用の可能性が期待できる成分といえます。
◆女性にもうれしい健康作用がいっぱい!
納豆は健康価値の高い食品ですが、その原料である大豆そのものにも、健康作用が期待される成分がたくさん含まれています。例えば「大豆レシチン」は総コレステロールを下げることや、「大豆サポニン」は抗酸化作用が期待できることが報告されており、その他にもさまざまな成分が目白押しです。
なかでも、「大豆イソフラボン」は、女性の美容と健康に役立つ成分として以前から注目されています。納豆の発酵により、“腸から吸収しやすい”イソフラボンの形に変化し、エクオールと呼ばれる女性ホルモンとよく似た働きをする成分をたくさん生み出し、更年期障害の症状を緩和する効果が期待されています。また、乳がんの予防効果も期待できるなど、納豆に豊富に含まれている「大豆イソフラボン」は、まさに“女性にうれしい”健康成分のひとつといえます。
納豆の健康価値は、大豆そのものの栄養だけではありません。「ナットウキナーゼ」のように、大豆と納豆菌が一緒になって発酵する過程で、新たに生まれてくるものもいくつかあります。そのひとつが「ビタミンK2」です。「ビタミンK2」は、骨粗しょう症予防効果がありますが、さらに納豆で摂った場合、24時間経っても血液中に多く残っているため、サプリメントよりも効率的に体内に吸収できることがわかっています。
他にも、大豆と納豆菌に含まれている「ポリアミン」は、発酵によって増加する“若返り”成分で、アンチエイジング成分のひとつとして注目されています。
◆納豆菌が持つ“抗菌作用”で食中毒菌の増殖を抑え込む!
梅雨時から夏にかけては、気温と湿度の両方が上昇し、細菌が繁殖しやすくなります。それだけに1年で最も食中毒に気を付けなければならない時期です。実際、厚生労働省によると50年以上にわたり、毎年2万5,000人~4万人もの食中毒患者が発生しています。原因の大半は、細菌性のものなので、細菌をいかに繁殖させないようにするかが予防のポイントになります。
その細菌のなかでも、「O-157(病原性大腸菌)は毒力が強い代表的な食中毒を引き起こす細菌で、感染力も強いため、特に注意が必要なのですが、実は納豆菌に増殖を抑え込む力があるのをご存じでしょうか。
グラフを見ると、「O-157」を単独で培養した場合に比べ、納豆菌を混合した場合、4日後には「O-157」が完全消失していることがわかります。納豆菌の抗菌活性により、「O-157」の繁殖が強力に抑制されているのです。
こうした納豆菌の抗菌活性=悪い菌の増殖を抑制する力(悪い菌に対抗する力)は、さまざまな食中毒を引き起こす他の細菌に対しても同様に発揮されると見込まれます。納豆はさまざまな健康作用を持っていますが、食中毒の救世主となる食材のひとつとしても期待されています。
また、食中毒にかからないように、日頃から免疫力を低下させない生活を心がけることも予防に欠かせないポイントです。最近では、免疫に対する機能性がより高い納豆菌を使った納豆も手に入るようになっていますので、うまく食生活に取り入れながら、免疫力も高めていきましょう。
◎教えてくれたのは…
<プロフィール>
須見 洋行先生/倉敷芸術科学大学 名誉教授、医学博士
血栓溶解に働くナットウキナーゼの発見者であり、納豆の血液凝固線溶研究の第一人者。
“納豆博士”として講演、テレビ、ラジオ、新聞などでも活躍。
https://www.atpress.ne.jp/releases/160857/img_160857_2.jpg
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