バイオ医薬品の製剤ビジネスに本格参入 開発・製造受託の事業領域を拡大し成長をさらに加速
@Press / 2019年1月15日 12時45分
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、バイオ医薬品(*1)の開発・製造受託事業をさらに拡大するために、バイオ医薬品の製剤ビジネスに本格参入します。バイオ医薬品のCDMO(*2)の中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下FDB)の米国テキサス拠点にバイオ医薬品の製剤製造ラインを新設し、2021年初めに稼働させる予定です。原薬から製剤までの開発・製造受託をワンストップで対応できる体制を構築することで、さらなる事業成長を図っていきます。
◆詳細はWebページをご覧ください。
⇒ https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1385.html?link=atp
現在、富士フイルムは、FDBを中核に、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をグローバルに展開しています。これまで、バイオ医薬品の原薬を対象に、生産プロセス開発から、治験薬製造、さらには医薬品の商業生産まで対応する開発・製造受託ビジネスを展開し、事業拡大を進めてきました。さらなる事業成長を図るため、2019年1月より2年間で総額約100億円の設備投資を行うことを決め、その第1弾として、米国ノースカロライナ拠点にて、バイオ医薬品の原薬の生産能力向上に向けた設備増強を進めています。
今回、第2弾として、製剤ビジネスに本格参入するために、FDBの米国テキサス拠点に、アイソレータ(*3)と無菌充填機が一体となった、最新鋭の全自動型無菌充填システムを導入します。また、製剤の処方設計などを行う開発体制もあわせて構築します。これまでに、テキサス拠点では、培養タンクを最大12基まで導入できるcGMP(*4)対応の生産棟を建設。抗体医薬品の原薬生産のためのシングルユース仕様(*5)の2,000リットル動物細胞培養タンクを順次導入し、治験薬製造、さらには医薬品の商業生産までの一連のワークフローを一体的・効率的に進めることができる「Saturn mAb(サターンマブ)プラットフォーム(TM)」(*6)を活用した受託サービスに注力しています。
今回の製剤製造ライン新設により、同一拠点内で製造した原薬を製剤化でき、幅広い顧客ニーズにスピーディーにこたえるとともに、バイオ医薬品の原薬から製剤までの開発・製造受託をワンストップで対応できる強みを活かし本サービスのさらなる推進を図っていきます。
バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合は高まっています。バイオ医薬品の製造には、動物細胞・微生物培養による原薬の産生や精製、製剤化などの工程があり、非常に高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬企業やバイオベンチャーなどが優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが世界的に急増しています。これに伴い、バイオ医薬品の開発・製造受託市場は年率8%以上(*7)の成長が見込まれています。
富士フイルムは、2017年3月に新設したバイオCDMO事業の下、積極的な設備投資や高効率・高生産性の技術開発など成長戦略を進め、2023年度にはバイオCDMO事業で1,000億円の売上を目指すとともに、高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。ワクチンのほかに、インスリン、成長ホルモン、抗体医薬品などを含む。抗体医薬品とは、生体内で病原菌やがん細胞などの異常な細胞を認識して生体を保護する免疫システムの主役である抗体を主成分とした医薬品で、抗体が特定の標的(抗原)と結合することで治療効果を発揮する。
*2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略で、生産プロセスの開発受託および製造受託を行う会社・組織を指す。薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
*3 閉鎖的な環境下で、細胞の培養や医薬品の製造などを無菌状態で行うための作業システム。
*4 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。
*5 培養タンクの内側にプラスチック製のバックを用いる仕様。バックを交換することで洗浄・滅菌の工程が省かれ、異物の混入などのリスクも低減できるなどのメリットがある。
*6 抗体医薬品の高効率な生産ワークフローを実現するFDB独自の技術基盤のこと。具体的には、培養条件などの生産プロセスの開発から、本プロセスの治験薬・医薬品生産への適用、さらに商業生産までの工程を一体として設計し、高品質な抗体医薬品の高効率生産を可能とするもの。
*7 富士フイルム調べ。
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