抗体医薬品の生産プロセスの開発期間を大幅短縮 受託業界で最短となる34週間を実現
@Press / 2019年4月18日 16時45分
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、バイオ医薬品(*1)の開発・製造受託サービスをさらに強化します。当社子会社で、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)(*2)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)(*3)が、抗体医薬品の生産に必要な細胞株(*4)・プロセスの開発期間を当社従来比約20%短縮し、バイオ医薬品の開発・製造受託業界で最短(*5)となる34週間を実現しました。これは、抗体の次世代高生産性技術「Apollo(TM) X(アポロ エックス)」(以下、「アポロX」)を進化させ、細胞株の作製期間を大幅に短縮したことで実現したものです。
◆詳細はWebページをご覧ください。
→ https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1419.html?link=atp
FDBは、今月より、進化させた「アポロX」を用いた受託サービスを展開し、製薬企業などの医薬品開発・製造期間のさらなる短縮に貢献していきます。
現在、バイオ医薬品の中でも、薬効面と安全面の両立性の高さから市場が拡大している抗体医薬品は、複雑な構造を持つタンパク質である抗体を安定的に産生できる動物細胞株を用いて生産されています。抗体の産生効率を高めるためには、
1、使用する動物細胞の優れた性質
2、遺伝子組み換え技術
3、優れた動物細胞株を選別する技術
4、動物細胞株に適した培地
などを組み合わせることが重要です。FDBは、それらを組み合わせて、培養タンク1Lあたり10g超となる、業界トップ(*5)の抗体産生を実現する「アポロX」を開発。2019年1月より、本技術を用いた受託サービスを展開しています。
今回、FDBは、単クローン性(*6)を有する細胞株を迅速に自動選別する新規手法を導入し、「アポロX」を進化させました。「アポロX」で用いる増殖性の高い細胞と、本手法との組み合わせにより、当社従来比約1/2の10週間で動物細胞株を作製することが可能。さらに、本細胞株の作製期間の短縮により、プロセス開発を前倒ししてスタートできるため、動物細胞株の作製からプロセス開発までを、業界最短(*5)の34週間で行うことができます。また、プロセス開発後にはGMP(*7)製造に着手し、抗体医薬品を迅速に提供することも可能です。
なお、作製した動物細胞株においては、従来同様、高い単クローン性を有することを実証実験にて確認しています。
富士フイルムは、バイオ医薬品の生産能力増強や高生産性技術の開発を進めることで、顧客の新薬創出をサポートし、CDMO事業のさらなる成長を実現するとともに、アンメットメディカルニーズへの対応など社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していきます。
*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。ワクチンのほかに、インスリン、成長ホルモン、抗体医薬品などを含む。抗体医薬品とは、生体内で病原菌やがん細胞などの異常な細胞を認識して生体を保護する免疫システムの主役である抗体を主成分とした医薬品で、抗体が特定の標的(抗原)と結合することで治療効果を発揮する。
*2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略で、生産プロセスの開発受託および製造受託を行う会社・組織を指す。薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
*3 FDBは、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited(英)、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc.(米)、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC(米)の3社を指す。
*4 長期にわたって、性質が変化することなく、増殖することのできる動物細胞。
*5 バイオ医薬品の開発・製造受託業界において。2019年4月18日現在。富士フイルム調べ。
*6 一つの細胞から増殖したどの細胞も、元の細胞と同じ遺伝子配列となる性質。
*7 Good Manufacturing Practice。品質の良い医薬品、医療用具などを供給するための製造管理および品質管理を定めたもの。
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