<スーパー大麦「バーリーマックス」摂取による腸内発酵試験(ラット試験)>バーリーマックスの発酵性食物繊維は遠位結腸に到達、高β-グルカン大麦と比べ、有意に総短鎖脂肪酸濃度を増加
@Press / 2019年8月6日 10時0分
『腸の奥からの健康を考える研究会』(座長:帝京平成大学健康メディカル学部教授 松井輝明)の研究活動の一環として、大妻女子大学家政学部 青江誠一郎教授(本研究会委員)と帝人株式会社と共同で、ラットへのスーパー大麦「バーリーマックス(BARLEYmax)」摂取による盲腸および結腸の腸内発酵に及ぼす影響についての試験を行いました。本試験に基づく研究成果が、2019年6月11日付で科学・医療雑誌「PLOS ONE」(Public Library of Science社刊行)で発表されました。
<論文タイトル>
「Effects of BARLEYmax and high-β-glucan barley line on short-chain fatty acids production and microbiota from the cecum to the distal colon in rats」
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0218118
<論文要旨>
3つの発酵性繊維(フルクタン、β-グルカン、レジスタントスターチ)を含む大麦品種、バーリーマックス(Tantangara; BM)の摂取が、短鎖脂肪酸の産生や、盲腸および結腸消化物中の腸内細菌叢に及ぼす影響について、高β-グルカン大麦品種(BG012; BG)の摂取と比較し、検討しました。
オスのSprague-Dawleyラットを無作為に3つのグループに分け、各群にセルロース(対照)、バーリーマックスまたは高β-グルカン大麦を含み、食物繊維が5%となるように調整したAIN-93Gベースの食餌を与えました。
それぞれの食餌を開始して4週間後、盲腸、近位結腸および遠位結腸からの消化物を集め、短鎖脂肪酸濃度を定量しました。
1.遠位結腸中の酢酸および総短鎖脂肪酸の濃度は、対照群よりもバーリーマックス群のみが有意に高い結果に
盲腸消化物中の酢酸およびn-酪酸濃度は対照群よりもバーリーマックス群および高β-グルカン大麦群で有意に高い結果となりました。また、盲腸消化物中の総短鎖脂肪酸濃度は対照群よりもバーリーマックス群のみで有意に高い結果となりました。また、遠位結腸消化物中の酢酸および総短鎖脂肪酸の濃度は、対照群よりもバーリーマックス群においてのみ有意に高くなりました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/190281/LL_img_190281_1.jpg
盲腸中の消化物
遠位結腸中の消化物
https://www.atpress.ne.jp/releases/190281/img_190281_2.jpg
2.盲腸、遠位結腸中ともに、バーリーマックス群の方がバクテロイデテス門の占有率が高い結果に
盲腸消化物中のバクテロイデテス(Bacteroidetes)門の占有率は、対照群よりもバーリーマックス群の方が有意に高くなりました。対照的に、盲腸消化物中のファーミキューテス(Firmicutes)門の占有率は、対照群よりもバーリーマックス群および高β-グルカン大麦群で有意に低くなりました。
盲腸と遠位結腸の腸内細菌叢比率の改変
https://www.atpress.ne.jp/releases/190281/img_190281_3.jpg
属レベルでは盲腸消化物および遠位結腸消化物でBifidobacterium属が対照群よりもバーリーマックス群および高β-グルカン大麦群で有意に高くなりました。Parabacteroides属は盲腸消化物で対照群よりもバーリーマックス群のみで有意に高くなりました。酪酸産生菌のOscillospira属は遠位結腸消化物で対照群よりもバーリーマックス群のみで有意に高くなりました。一方、Clostridium属は盲腸消化物と遠位結腸消化物で対照群よりもバーリーマックス群のみで有意に低くなりました。
<結論>
本試験の結果は、バーリーマックスが遠位結腸消化物中の総短鎖脂肪酸の濃度を増加させることを示しています。短鎖脂肪酸濃度の増加は、β-グルカンに加えてフルクタンおよびレジスタントスターチによって引き起こされたものと推定されます。
結論として、バーリーマックス中の発酵性食物繊維は遠位結腸に到達し、腸内細菌叢を改変し、遠位結腸消化物中の総短鎖脂肪酸濃度の増加をもたらし、高β-グルカン大麦と比較してより効果的であるとしました。
■『腸の奥からの健康を考える研究会』概要
『腸の奥からの健康を考える研究会』は、食物繊維による腸内環境改善、特に大腸の奥の改善からもたらされる様々な健康効果、肌荒れ・肌の張り・ニキビ等の美容効果に対するメカニズムの研究を行い、そのエビデンスをベースに、本質的な健康についての啓発を行うことを目的として発足。
スーパー大麦「バーリーマックス」を中心とする食物繊維のメカニズムの研究及び、学会・論文発表を行っています。また生活者に腸内環境を整えることによる健康保持についての啓発を行っています。
研究会ホームページ: http://www.cholabo.org/
■スーパー大麦「バーリーマックス」概要
スーパー大麦「バーリーマックス」は、オーストラリア連邦科学産業研究機構が品種改良を重ねて開発した大麦の一種で、一般の大麦に比べて2倍の総食物繊維と4倍のレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を含んでおり、食物繊維を大腸の奥まで届ける独自の食物繊維構造をもっています。
また、一般の食品から摂取できる発酵性食物繊維のうち、4種類の食物繊維を含有しています。
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プレスリリース提供元:@Press
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