抗菌性、抗ウィルス性を持つ天然バイオマス系生分解性プラスチックなどの化学製品群の共同研究をスタート
@Press / 2021年2月9日 14時0分
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターおよび大学院農学研究科は、冨士色素株式会社のグループ会社であるGSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd.:環境、エネルギー分野の最先端材料、技術を研究開発する化学会社/本社:兵庫県川西市、代表取締役社長:森 良平博士(工学))と、抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製の化学製品群の特性をより詳細に解析し、さらにより優れた特性を持つ製品群を開発するために共同研究をスタートしました。
GSアライアンスは、抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製のプラスチック、コーティング材、塗料などの化学製品を開発しています。同社は、2023年に東北大学青葉山新キャンパスに完成予定の次世代放射光のコアリションメンバーとなったこともあり、この度の共同研究の開始に至りました。
【発表のポイント】
GSアライアンス株式会社と東北大学で共同研究を開始。
プラスチックなどによる環境汚染と、ウィルス感染予防を両立できる抗菌、抗ウィルス性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製のプラスチック、コーティング材、塗料などの、より高性能な製品開発を目指す。
【詳細な説明】
GSアライアンス株式会社は抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製のプラスチック、コーティング材、塗料などの化学製品群を開発し、サンプル販売を始めています。抗ウィルス性を持つ同製品も開発中です。これまでに抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂ペレット、それらの成形品であるネイルチップ、マスククリップ、カトラリー、そして抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂コーティング材、塗料なども開発してきました。
抗菌性プラスチック、抗菌性塗料などは市場に既にある製品ですが、これらは石油由来のものであり、天然バイオマス系生分解性樹脂材料をベースとしたこれらの製品は、国内外を見渡しても商業化している企業はあまり見受けられません。このような製品は環境汚染対策と感染予防の両立を実現できます。
人口爆発に伴う気候変動や環境汚染などは深刻な問題であり、プラスチック汚染や海洋マイクロプラスチック汚染も生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。特にCOVID-19の影響により、マスク、医療用防護服、手袋、フェイスシールドなどの石油系材料を用いるプラスチック製品が大量に生産され、消費されており、人々の意識が変化して、新型コロナウィルスがある程度終息したとしても今後もこの傾向は続くと思われます。使用済みのマスクなどが、新たな海洋プラスチック汚染の原因になりつつあるような報道もあり、いわゆるコロナごみの世界的な増加も懸念されています。
また、これまでのプラスチック製品に抗菌性、抗ウィルス性を付加したような抗菌マスク、抗菌シールド、抗菌塗料などの製品も開発され、これらの製品の需要は今後もますます伸びてくることが予想されます。これらの製品群には石油系の樹脂材料などが主に原料として使用されていますが、これらの石化由来原料は石油由来のプラスチックと同じく、環境への負担が大きいのが問題です。このような問題に対して、GSアライアンスにおいては抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製のプラスチック、コーティング材、塗料などの化学製品群を開発してきました。
一方でGSアライアンスが開発したこれらの製品群は、本来なら廃棄後は微生物に生分解されている生分解性樹脂に、抗菌材料を複合化させているような組成のため、抗菌性が生分解してくれる微生物にも作用し生分解性が低下する、生分解性が無くなるなどの可能性も懸念されます。例えば同社の射出成形可能な抗菌性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂などは、セルロースナノファイバーに銀ナノ粒子を上手く複合化させ、ポリ乳酸に混ぜたような材料ですが、この銀ナノ粒子による抗菌性の影響により、本来、生分解してくれる微生物にも抗菌性が作用してしまい、生分解性が低下する可能性があります。
またこのような材料に対しての複合化の方法、コストを下げるためにより安価な銅、亜鉛系の抗菌、抗ウィルス材料を複合化させるような検討も今後の課題です。さらに、同社の合成している窒化炭素系の可視光応答型光触媒材料、量子ドットや金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)などの最先端材料は、可視光下での光触媒能を有しているとの研究報告もあり、光照射下という条件下ではあるものの、このような最先端材料との組み合わせで、さらに優れた効果のある製品群も開発できる可能性もあります。
このようにさらなる高性能を持つ抗菌、抗ウィルス性を持つ天然バイオマス系生分解性樹脂製の化学製品群を開発することも、東北大学とGSアライアンスで共同で目指します。まずは既存の同社の製品群の解析、そしてさらなる改良品の開発へと、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターおよび農学研究科とGSアライアンス株式会社においての共同研究開発を今後加速していきます。
【問い合わせ先】
GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
森 良平(もり りょうへい)
電話 : 072-759-8501
E-mail: moriryohei@fuji-pigment.co.jp
●研究に関すること
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター
大学院農学研究科(兼務)
原田 昌彦(はらた まさひこ)
電話 : 022-717-4333
E-mail: masahiko.harata.b6@tohoku.ac.jp
●報道に関すること
東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター
事務(担当:山本)
電話 : 022-217-5204
E-mail: sris@grp.tohoku.ac.jp
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
【関連画像】
この記事に関連するニュース
-
大阪・関西万博 竹中工務店の「森になる建築」へ天然由来素材酢酸セルロース樹脂「CAFBLO(R)」を提供
PR TIMES / 2024年7月27日 14時40分
-
ハイケム、清華大学発のバイオベンチャー企業と提携
PR TIMES / 2024年7月25日 10時0分
-
08月27日(火) AndTech「環境対応にむけたPVC(塩化ビニル樹脂)の 規制動向と国内外開発・添加剤動向と市場 ~非鉛系塩ビ安定剤・バイオマス可塑剤・PVC配合剤規制~」Zoom講座を開講予定
PR TIMES / 2024年7月24日 17時45分
-
廃木材、廃紙、オレンジの皮などのバイオマス資源廃棄物からGSアライアンスが量子ドット型抗菌剤を開発
@Press / 2024年7月16日 10時30分
-
金大など、植物プラスチックを全自動で合成するロボットシステムを開発
マイナビニュース / 2024年7月8日 13時48分
ランキング
-
1「みどりの窓口は減ったけど、便利になったね」は不可能か いや、やればできるはず
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月27日 7時30分
-
2カスハラ被害、企業規模が大きいほど増加 最も被害が多い業界は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月28日 8時10分
-
3『秘密のケンミンSHOW』で圧倒的に登場回数が多い都道府県は?北海道でも、沖縄県でもない、納得のワケ【齋藤孝が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月27日 8時0分
-
4ヨーカドーの商品7000点が最短30分で届く…ネットスーパー最大の欠点を解消した「鬼速のOniGo」のカラクリ
プレジデントオンライン / 2024年7月28日 8時15分
-
5渋谷「三井住友銀行+スタバ」は異空間だった アプリ会員は無料でソファやテーブルが利用可
東洋経済オンライン / 2024年7月28日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)