世界初の発見 血漿BDNF測定は耳鳴の客観的評価に有用である

@Press / 2012年2月8日 15時0分

 慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室の五島 史行客員講師(日野市立病院耳鼻咽喉科)・小川 郁教授らと神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔病理学講座(所在地:神奈川県横須賀市)の猿田 樹理講師・槻木 恵一教授らの研究グループは、血漿中の脳由来神経栄養因子(BDNF)の量が、耳鳴の客観的評価に有用であることを世界で初めて発見しました。

 耳鳴は耳鼻咽喉科において頻度の高い疾患ですが、問診やアンケートを用いて評価しており、これまで客観的な生物学的指標がないのが現状でありました。本研究は耳鳴臨床において新しいバイオマーカーの候補が明らかになったことにより、科学的評価法の研究に加速度をつけることができる成果であります。本成果はNeuroscience Letters. 2012 Jan 17. [Epub ahead of print]に公開されています。


【研究概容】

 BDNFが耳鳴のバイオマーカーとして利用できるかどうか検討するため、耳鳴患者43例(男性15例、女性28例、平均年齢52.3±16.6歳)と対照群30例を対象に血漿BDNF濃度を測定し、耳鳴の苦痛度をTinnitus Handicap Inventory(THI)、抑うつ不安レベルをHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)を用いて評価しました。

(1) THIは不安抑うつあり群(49.5±23.5)の方が不安抑うつなし群(25.9±16.3)より有意に高く(P<0.001)、群間比較ではなく個々の値をプロットしてもHADSとTHIとの相関が示されました。

(2) 血漿BDNF濃度は、不安抑うつあり群(474.6±634.1pg/ml)の方が不安抑うつなし群(1092.1±1157.6pg/ml)より有意に低く(P<0.05)、個々の値で見てもHADSと血漿BDNF濃度は負の相関を示しました。

(3) 血漿BDNF濃度と耳鳴重症度との関係を検討すると、耳鳴重症群(30例)では軽症群(25例)より血漿BDNFの平均濃度が低く、個々の値をプロットしてもTHIスコアが高くなるにつれて血漿BDNF濃度は低下するという相関が認められました。


【今後の展開】

 今後は、血漿BDNFが耳鳴治療による変化を示すマーカーとしても応用可能かどうかを検討していきます。さらにより低侵襲に採取可能な唾液中のBDNFを測定し、バイオマーカーとして応用可能か検討を進めていく予定です。

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