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世界初 工学院大学、名古屋大学らが「同位体マイクロイメージング装置」を開発、福島第一原発に応用 燃料デブリの本格取り出しに必須なイメージング手法の確立を目指す

@Press / 2021年9月1日 13時0分

工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究概要
工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)の坂本 哲夫教授(先進工学部応用物理学科、専門分野:表面分析装置開発)を代表とする研究チームが、日本原子力研究開発機構(JAEA)の委託研究事業「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」の課題解決型廃炉研究プログラムに採択されました。


【研究概要と目的】
福島第一原発(以下、1F)の廃炉工程は「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」等を踏まえ、東京電力ホールディングス、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)、国際廃炉研究開発機構(IRID)等とJAEAが連携して進められています。事故による原子炉の廃炉は日本では初の取り組みであり、文字通り、多くの分野の英知を結集した安全かつ着実な廃炉のための新技術が求められています。
燃料デブリはその存在がカメラで確認されているものの、複雑な混合物と考えられているだけで、正確な成分や分布を計測分析する手段が限られていました。これに対し、同チームでは坂本教授らが開発した、同位体ごとに微小視野でイメージング可能な世界初の同位体マイクロイメージング装置を実用化し、少量燃料デブリの成分や構造を初めて明らかにします。こうした分析情報はデブリ取り出し時の安全性の確保に必須であり、本格的デブリ取り出しに向けた重要な研究です。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/273590/LL_img_273590_1.jpg
工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究概要

【研究チームの体制】
研究チームは同装置の設計者である坂本教授を中心に、名古屋大学、東京電力ホールディングス、日本原子力研究開発機構がそれぞれの先端技術を持ち寄り、同位体マイクロイメージング装置を実用化と燃料デブリ分析への応用を進めています。また、今後永く続くであろう廃炉に携わる人材育成も考慮し、若手研究者を含めたチーム構成となっています。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/273590/LL_img_273590_2.jpg
工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究の分担図

【解説:同位体マイクロイメージングとは?】
・同位体
同じ元素でも重さの異なるもの。放射性物質には例外なく同位体が存在する。
・マイクロイメージング
顕微鏡視野内で、特定の物質の分布を可視化すること。核燃料や燃料デブリには様々な同位体が含まれている。通常運転時の原子炉内の様々な放射性同位体の存在比は知られているが、1Fの事故により形成された燃料デブリは核燃料や原子炉構造体などが複雑に混合した物体であり、放射性同位体や存在比を分析する手段がない。坂本教授らは、放射性同位元素を含め、種々の元素を同位体ごとに微小視野でイメージングする技術をJST先端計測分析技術・機器開発プログラム(2016~2019年度)において、世界で初めて高精度に同位体を識別したイメージング技術を開発した。下図はその一例。
ウランを含む天然の鉱石を試料として用い、主要同位体である238-Uから、0.0054%しか含まれない234-Uまで微小視野で同位体別イメージングが出来ていることを示す。本技術を燃料デブリ分析に応用することで、様々な放射性核種の同位体比分布が可視化され、デブリの性状やデブリ取り出しの安全性確保にとって大変重要なデータが得られるものと期待される。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/273590/LL_img_273590_3.jpg
工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究で使われるイメージングの例

【研究概要】
・課題名
世界初の同位体分析装置による少量燃料デブリの性状把握分析手法の確立
・事業代表者
坂本 哲夫(工学院大学 先進工学部応用物理学科、教授)
・事業責任者
富田 英生(名古屋大学 工学研究科エネルギー理工学専攻、准教授)
溝上 暢人(東京電力ホールディングス株式会社 福島第一廃炉推進カンパニー)
前田 宏治(日本原子力研究開発機構 大洗研究所)
岩田 圭弘(日本原子力研究開発機構 廃炉環境国際共同研究センター)

・研究目的
福島第一原発(1F)の廃炉工程に必須なマイクロエリアでの同位体イメージング手法を用い、燃料デブリや建屋内ダストの性状分析を行う。現在までのところ、この種の分析はバルク分析が行われているが、バルク分析では元素や同位体の不均一性が解明できない。そこで、二次イオン質量分析法とレーザー共鳴イオン化法を組み合わせた同位体マイクロイメージング装置をJAEA大洗研究所に設置した。同重体干渉なく放射性同位元素をイメージングできる唯一の装置である。これを活用し、前記のように廃炉工程の立案、実施に必要な性状把握を最大の目的とする。

・課題概要
2022年以降に取り出される少量燃料デブリ中に閉じ込められているFP及びアルファ核種を含む微粒子の性状を把握することは、取り出し機構、冷却循環系、閉じ込め機能、臨界監視システム、被ばく評価、収納・移送・保管、処理・処分などのシステム設計・手順の検討に重要不可欠なものである。これに先立ち、1Fから採取された微小サンプルを国プロで分析を実施してきているが、SEMやTEMに付属しているEDS分析では同位体分析やPu、Bの分析ができず、さらに化学的前処理を必要としたTIMSやICP-MS等の同位体分析法ではバルク分析であるため、多相・多成分からなる燃料デブリの形成過程の検討や再臨界防止等の対策に必要な詳細情報が不足している。
すなわち、既存の分析方法では、燃焼率指標情報(Nd-148とUの組成比)、中性子毒物Gdや中性子吸収物質Bの存在比などの局所分析データを含めて燃料デブリ性状を把握することができず、分析手段がないことが大きな課題である。大洗研究所に導入した同位体マイクロイメージング装置は、申請者が独自に開発したものでありSEM機能・FIB機能を有し、放射性の微小試料に微細加工を行いながら同位体分析・成分(多元素同時)分析が可能な世界で唯一の装置である。この装置により少量燃料デブリ試料からアクチニド核種の同位体組成などの局所的な定量データが多量に得られるので、詳細な燃料デブリの性状を正しくかつ迅速に把握することが可能である。
この装置を主軸として、精度向上のために必要なR&Dを加えることにより少量燃料デブリの取出し前に分析準備を完了させるだけでなく、これまでに1Fで採取したサンプルを分析に供してこれまでに得ることができなかった燃料デブリの性状把握に必要な直接的なデータを世界で初めて取得して評価検討し、炉内状況把握の検証及び廃炉工程の実施計画に反映する。

・研究実施機関について
●工学院大学
学長 :伊藤 慎一郎
所在地:東京都新宿区、八王子市

●名古屋大学
総長 :松尾 清一
所在地:愛知県名古屋市

●日本原子力研究開発機構
理事長:児玉 敏雄
所在地:茨城県那珂郡東海村

●東京電力ホールディングス株式会社
代表執行役社長:小早川 智明
所在地 :東京都千代田区


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プレスリリース提供元:@Press

【関連画像】

工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究の分担図 工学院大、名古屋大らによる廃炉関連研究で使われるイメージングの例

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