法政大学島野教授が投稿した「Twitterによって発見された新種ダニ」を見た一般の大学院生の投稿から、再び別の新種ダニを発見
@Press / 2022年6月3日 14時0分
法政大学自然科学センター・国際文化学部の島野 智之教授(動物分類学)がTwitterに“新種のダニ”に関しての投稿をしたところ、それを見た一般の大学院生が投稿し、その投稿をきっかけに、再び別の“新種のダニ”の発見に繋がりました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/312658/LL_img_312658_1.png
イワドハマベダニの画像。オス(上段)メス(下段)。
【発表のポイント】
(1)Twitterで偶然見つかり、『2021年の注目すべき海洋生物の新種トップ10』のひとつにも選ばれた、千葉県銚子市の「日本のツイッターダニ」Ameronothrus twitterについてSNSに投稿したところ、「今話題のハマベダニってこれのことだろうか?鳥取県で撮影。」という投稿があり、すぐにこのダニの研究を開始したところ新種であることが判明しました。
(2)学名をリツイートとしてAmeronothrus retweet(和名 イワドハマベダニ)という鳥取県岩戸からの新種として発表されました。本種はハマベダニの中でも珍しくオスメスが若干異なる形態をもっており、本ササラダニ類は人体には全く影響は与えず、岩に生える海藻や地衣類などの有機物を餌とします。
(3)ソーシャルメディア(SNS)の利用と、一般ユーザからの投稿によって、「二匹目のドジョウ」ならぬ、2種目の新種ダニが発見されたことによって、誰でも新種の発見や生物多様性の解明に協力・参加できる事が示されました。ITを利用して発見された種はまだほんの一握りで、市民科学の観点からも今後多くの応用が期待できます。
Twitterへの一般の会社員の投稿によって、島野教授が偶然見つけた千葉県銚子市の「日本のツイッターダニ」Ameronothrus twitterだが、この論文発表のニュースを島野教授がSNSに投稿したところ、「今話題のハマベダニってこれのことだろうか?鳥取県で撮影。」という投稿が鳥取県在住の大生 唯統(おおばえ ゆいと)さん(鳥取大学大学院)からありました。このダニも新種ではないかと判断して、法政大学島野教授はすぐにこのダニを採集して欲しいと大生さんに依頼しました。大生さんは、すぐにこのダニを採集し同教授に送付し、共同研究チームのトビアス=プフィングスティル博士(グラーツ大学 [オーストリア]・動物学研究施設・講師)、蛭田眞平博士(昭和大学富士山麓自然・生物研究所)と研究を行い、新種であることを確認しました。
まもなく遺伝子解析の結果から新種であることが確実となりました。さらに形態学的研究から、メスの方で体が小さく、体表の構造も雌雄で異なった形態を持ち、このハマベダニ属では珍しい性的二型のダニであることが判明しました。
ハマベダニ属は、本来、北極圏に生息していることが知られており、北海道余市の海岸岸壁から2019年に日本初として1種目のヨイチハマベダニを、同教授の研究チームが当時の南限として発表しました。次に2021年にSNSによって、国内2種目として千葉県銚子漁港からチョウシハマベダニ(通称ツイッターダニ)を同チームが発表しました。鳥取県岩戸の岸壁から得られた本種は3種目となり、日本海側初のハマベダニ属の記録となるだけでなく、ハマベダニ属の新たな南限となりました。本ササラダニ類は人体には全く影響は与えず、岩に生える海藻や地衣類などの有機物を餌とします。
実は、今年1月に日本・オーストリア研究チームが発表した論文によって、海水温や気温から鳥取県が、ハマベダニ属の南限であることが予想されており、この予想を今回のSNSからの新種発見によって的中させたことになります。
体長が1mmにも満たない、小さく目立たないダニが、SNSの利用と、一般ユーザからの投稿で、「二匹目のドジョウ」ならぬ、2種目の新種ダニが発見されたことによって、誰でも新種の発見や生物多様性の解明に協力・参加できる事が再び示されました。86%の地球上の生物種は未だに学名がついていないと推定されており、市民科学の観点からも今後より多くの市民と専門家の協力が望まれます。
発表雑誌 :International Journal of Acarology
(インターナショナル・ジャーナル・オブ・アカロロジー)誌
2022年5月19日(木)に公開
論文タイトル:Another mite species discovered via social media-
Ameronothrus retweet sp. nov.(Acari, Oribatida)
from Japanese coasts,
exhibiting an interesting sexual dimorphism(英文)
著者 :Tobias Pfingstl, Shimpei F. Hiruta,
Iris Bardel-Kahr, Yuito Obae&Satoshi Shimano
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01647954.2022.2074538
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
この記事に関連するニュース
-
天然記念物ヤンバルクイナの羽を掃除する「良いダニ」発見 沖縄で新種 東邦・法政大のチーム「絶滅の危機」
沖縄タイムス+プラス / 2024年4月27日 8時14分
-
イースター島付近の海嶺で50種以上の新種生物を発見
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月24日 14時10分
-
法政大学島野教授の研究グループが国指定の天然記念物、沖縄固有のヤンバルクイナの羽から新種ダニ発見 ― 羽表面を掃除する良いダニだった
Digital PR Platform / 2024年4月24日 14時5分
-
リニア妨害の原因は川勝知事だけではない…いま静岡県庁で行われている「時間稼ぎの無意味な会議」を告発する
プレジデントオンライン / 2024年4月17日 6時15分
-
日の長さで子の雌雄を産み分けるミジンコ、その仕組みの一端を宇大が解明
マイナビニュース / 2024年4月9日 19時5分
ランキング
-
1円上昇、一時151円台 3週間ぶり円高水準、介入警戒も
共同通信 / 2024年5月3日 22時28分
-
2過度な動き「ならす必要も」=円安、介入コメントせず―鈴木財務相
時事通信 / 2024年5月3日 23時51分
-
3日銀がこれほどまで円安を「無視」する3つの理由 「為替は管轄外」では、結局うまくいかない?
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 8時30分
-
4いなば食品、大炎上も「ほぼ沈黙」の戦略的な是非 「沈黙は金」黙って耐える…のはもう通用しない
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 19時30分
-
5黒田東彦・日銀前総裁「円安は一時的」…NYの講演で見解、マイナス金利解除・利上げは「当然のこと」
読売新聞 / 2024年5月3日 17時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください