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アジアにおける法務体制構築に苦慮する企業法務の調査結果を発表

@Press / 2012年12月17日 10時30分

このたび、レクシスネクシス・ジャパン株式会社(所在地:東京都世田谷区、マネージング ディレクター・ノースアジア:クリス・マッカルム、 URL: http://www.lexisnexis.jp/ja-jp/Home.page )では第1回法務調査を実施致しました。
当調査は、現在の経済状況下で企業の抱える法務課題を浮き彫りにし、企業競争力を高めるために法務部門、コンプライアンス部門、内部統制部門などのリスクマネジメント機能を担う部門が、どのような対応をとっていくかについての議論の端緒とすることを目指しています。

実施主体:レクシスネクシス・ジャパン株式会社
調査期間:2012年8月
回答数 :78社(売上200億円以上の上場企業、1,000億円以上の非上場企業より抽出)


[企業の抱える法務課題の第1位に海外での契約、法令対応]

企業法務の抱える直近での課題には、海外における契約・法令対応が1位となり、会社法関連、独禁法・下請法関連が続く結果となりました。
長引く円高や国内の需要低迷により海外に進出する日本企業がさらに増え、China+1といった中国以外に生産拠点や販売拠点を進出する国が増える中で海外における契約や訴訟、法令対応が昨今の喫緊課題であることが浮き彫りとなりました。
また課徴金が100億円を超える案件も発生する中で独禁法違反が依然として重要な法務課題であることが確認されました。特に大企業に絞ると海外案件を上回り第1位の課題となりました。

 ◆リーガルマネジメントのうち直近半年程度で重要性や問題が増している領域はどこですか?重要度の高い上位5つにあたる項目を1位から順に挙げてください。

 <1位集計(1位と挙げた回答人数)>
 海外企業との取引における契約、海外取引先の国の法令改正や判例 15%
 企業統治・取締役会・株主総会など会社法関連          14%
 パートナー企業に対する独禁法・下請法違反           13%
 M&A関連                           10%
 情報漏洩(個人情報、営業秘密など)                9%
 社内の法務知識の不足                      6%
 消費者クレーム対応、品質・リコール対応             6%
 所属業界の業法や業界の自主規制                 5%
 メンタルヘルス・パワハラ・非正規社員雇用など労務関連      5%
 反社会勢力の排除                        4%
 工場などにおける環境法対応                   4%
 その他                             3%
 商品販売における景表法・特商法違反               3%
 法務コスト削減                         1%
 案件ごとに最適な弁護士の選定                  1%
 特許出願や商標登録、模造品・海賊品対策等の知財管理       0%

 <全集計(1~5位までの回答人数)>
 メンタルヘルス・パワハラ・非正規社員雇用など労務関連     55%
 企業統治・取締役会・株主総会など会社法関連          46%
 情報漏洩(個人情報、営業秘密など)               44%
 社内の法務知識の不足                     44%
 海外企業との取引における契約、海外取引先の国の法令改正や判例 42%
 反社会勢力の排除                       40%
 パートナー企業に対する独禁法・下請法違反           38%
 M&A関連                           35%
 消費者クレーム対応、品質・リコール対応            32%
 案件ごとに最適な弁護士の選定                 31%
 所属業界の業法や業界の自主規制                24%
 特許出願や商標登録、模造品・海賊品対策などの知財管理     17%
 工場などにおける環境法対応                  14%
 その他                            13%
 商品販売における景表法・特商法違反              10%
 法務コスト削減                         9%


[法務対応に苦慮する国は中国に次ぎインド]

法務対応に苦慮する国は中国に次いでインドが2位となりました。
外務省調査によれば各国への進出企業は、中国に次いでタイ、インドネシアなどが並びますが法務対応として苦慮するのはインドの方が高いようです。
具体的な課題としては現地法人マネジメントや現地弁護士選定といった項目が並びました。
インドを挙げた回答の中にはM&Aでの交渉に苦慮している企業が比較的多い状況です。

 ◆海外取引先の国の法令改正や判例についてお聞きします。対応や情報収集において特に苦慮されている地域、国はどこですか?

 中国    51%
 インド   30%
 東南アジア 16%
 ブラジル   7%
 ロシア    5%
 香港     2%

 ◆上記の地域、国においてどのような点で苦慮されていますか?苦慮されている項目にチェックを入れてください(複数回答可)

 現地法人マネジメントなどガバナンス関連        37%
 満足のいく現地弁護士の選定              37%
 現地の司法制度の日本との違い             37%
 採用、賃金、解雇など労務関連             29%
 外資系企業に対する資本・業務規制           24%
 FCPA(米国海外腐敗行為防止法)や
 Bribery Act(英国賄賂防止法)などの違反予防       22%
 M&Aに関する交渉・契約対応              20%
 パートナー企業に対する品質・サービスレベルの順守要求 16%
 工場などにおける環境規制対応             16%
 業界の独自ルール・規制                16%
 その他                        16%
 特許出願、商標登録、模造品・海賊品対策などの知財管理 14%
 現地マフィアなど反社会勢力の排除            8%
 情報漏洩対応                      6%
 消費者クレーム対応、品質・リコール対応         6%
 商品表示義務など商品販売における法令違反        2%


[66%の企業は東南アジア案件で日本の弁護士を通さず]

東南アジア案件において、24%の企業は日本の法律事務所を活用していますが29%の企業は現地法律事務所を直接開拓する姿勢を持っています。
東南アジアにビジネス展開していない企業を除くと、66%の企業は日本の法律事務所を通していません。
法令・規制の知識に加え、商慣習への熟知などを期待して現地事務所を直接活用する現状が想定されます。
追加の聞き取り調査でも、進出前調査の段階から直接現地事務所を開拓する企業も多く見られました。

 ◆東南アジアでの海外企業との取引における契約についてお聞きします。東南アジア各国での事案に関して法律事務所をどのように活用していますか?最も多い活用方法を一つお答えください。

 現地の法律事務所を直接活用する               29%
 東南アジアで法律事務所を活用するほどの事業は展開していない 23%
 日本の顧問弁護士を介して現地の法律事務所を活用する     20%
 現地進出コンサルやJETROを活用する              10%
 グローバル展開している欧米系法律事務所を活用する       9%
 現地オフィス・提携事務所のある日本の法律事務所を活用する   4%
 その他                            4%


【その他の調査項目】

[グループ企業を巻き込んだ社内規程整備支援が優先度で2番目に]

グループ企業に対する法務マネジメントに関する優先度は、契約書管理が圧倒的な1位になったものの2位には社内規程整備支援が挙げられました。
グループ全体で下請法、環境法などの法令順守体制を整備するために研修だけでなくルール化を徹底する会社が多いことが想定されます
追加の聞き取り調査ではさらに海外でのグループ会社のコンプライアンス体制確立のために規程の整備や研修に尽力する取組が目立ちました。


 ◆企業統治など会社法関連についてお聞きします。グループ企業に対する法務マネジメントとして近年優先度高く対応している項目があればお答えください。(複数回答可)

 契約書のチェック管理、契約書フォーマット提供         77%
 社内規程整備支援                       41%
 社員の法務研修                        37%
 取締役会・株主総会運営支援                  33%
 コンプライアンス指針策定                   33%
 弁護士相談仲介                        29%
 内部通報制度の運用                      27%
 取引先の反社会勢力チェック                  18%
 与信管理                           15%
 社外問い合わせ対応支援、社外PR発信文書のチェック・管理    12%
 法令改正情報配信                       10%
 特許出願や商標登録、模造品・海賊品対策などの知財管理の支援   8%
 判例情報収集、業界における行政処分情報収集など調査業務の請負  4%
 その他                             3%


[社内のソーシャルメディア利用は半数の企業が禁止]

今や情報漏洩の一チャネルともなりかねないTwitterなどのソーシャルメディアですが46%の企業が社内閲覧を禁止し、業務時間外でも書き込みの規定を行う企業が28%存在しています。
何もしていない企業は14%のみ、と9割近くがなんらかの対策を施していることになります。

 ◆情報漏洩関連についてお聞きします。社員のソーシャルメディア(Facebook、Twitterなど)利用について規制や規定を設けていますか?(複数回答可)

 会社支給のPCや携帯端末では閲覧できない設定にしている    46%
 会社支給のPCや携帯端末のログをチェックしている       31%
 業務時間外であっても業務内容を書き込まないよう規定している 28%
 仕事中は個人の携帯や端末で書き込みしないよう規定している  24%
 特に何もしていない                     14%
 その他                            9%
 社員の書き込みを定期的にチェックしている           8%


[2割の企業では法務が絡む労務課題が増加]

メンタルヘルスによる休職者が増えるなど労務課題が人事部を中心に対処されつつも、法務が絡むほどの重大案件が19%の企業で増えていることが明らかとなりました。
単に人事部だけが対応するのでは手に負えない案件に法務が駆り出されることが多いことが想定されます。

 ◆メンタルヘルス、パワハラ、非正規社員雇用など労務関連についてお聞きします。社員や退職した社員からのメンタルヘルス、パワハラ、採用・退職などの問い合わせのうち、法務が絡む重大案件は直近1年で増えていますか?

 はい  19%
 いいえ 81%


[過剰な消費者反応にネガティブな印象を持つ企業も1割強]

消費者からの問い合わせやメディア論調に影響を受けないと回答した企業が85%に上りますが12%の企業でマイナスの影響を懸念している状況も見て取れます。
特にネットで広がりやすいマイナスの声を心配している可能性などが背景にありそうです。

 ◆消費者からのクレーム対応についてお聞きします。消費者や消費者団体からの問い合わせやメディアでの論調に御社ビジネスがどのような影響を受けていますか?一つお選びください。

 健全な競争が促進されており、プラスの影響の方が大きい  4%
 過剰な消費者反応に左右され、
 ビジネスにネガティブな影響の方が大きい        12%
 特に大きな影響はない                 85%


[日本版クラスアクションにBtoC企業の29%が深刻なマイナス影響を懸念]

導入が検討されている日本版クラスアクションには合計52%の企業がマイナス影響の可能性を見ていますが、深刻に見ているのは15%に留まりました。
ただし、BtoC業界に限れば29%の企業が深刻なマイナス影響を懸念しています。
消費者から直接やりとりの多いBtoC業界の法務を中心に法改正の動向を注視しているようです。

 ◆集団的消費者被害回復(日本版クラスアクション)の制度が導入された場合、御社のビジネスにはどのような影響があると想定していますか?一つお選びください。

                    <全体><BtoC>
 非常にマイナスの影響がある可能性がある 15%  29%
 マイナスの影響の可能性があるが
 それほど重大な課題とは見ていない    37%  36%
 業界全体の品質改善につながり
 プラスではないかと想定している      4%   4%
 特に影響があるとは思っていない     38%  25%
 その他                  5%   7%


[反社会勢力条項導入は平均で68%。実態は100%と20%実施度に二極化]

反社会勢力条項の導入はほぼ100%導入している企業とまだ20%程度の導入の企業に二分されました。
平均すると68%ですが、対応の進み度合いに大きな差があることが浮き彫りになりました。
その中で条項を実際に適用した企業は9%になりますが、相手に反社会勢力条項の適用と伝えずに別の理由を付けて解約する例がそのうち半数を占めました。

 ◆国内の反社会勢力排除についてお聞きします。反社会勢力排除の条項を契約締結の全取引のうち何%程度まで導入していますか?

 68%

 ◆実際に反社会勢力排除の条項を適用したケースはありますか?

 ある。相手方にもその旨を通知している             5%
 ある。しかし実際には条項を適用したとは相手方に伝えていない  4%
 ない                            91%


[弁護士の質の変化には賛否両論]

司法制度改革による弁護士の増加に対し、専門性の高まりやフットワークの軽さが増したなどのポジティブな意見がある一方、価格に見合っていないなどの厳しい意見も聞かれました。
昔から優秀な弁護士は限られているとする声もある一方、若手の実力格差拡大を懸念する声も散見されました。

 ◆案件ごとの最適な弁護士選定についてお聞きします。弁護士業務の質について最近1~2年で変化があればお答えください。(例、専門性が高まった、若手が増えて不安 など)

【回答(特になしを除く)】
 専門性が高まった。
 若手が増えてレスポンスが良くなり、フットワークも軽くなった。
 現行の司法制度自体に様々な課題があると考えるため、弁護士業務の質という側面だけでは判断できない。
 当社では、長年顧問をしていただいている弁護士がいるため、基本的に事案に応じて弁護士を選定することはない。
 顧問先の弁護士事務所においても、採用を厳選しているようであり、昨今、話題にあがる質の低下などは特に感じられない。
 司法試験改革により合格者が増加しているので、若手弁護士の質がバラバラになっている。
 渉外弁護士と顧問契約を締結し、海外案件に対する対応能力が向上した。
 選択肢が広がった(特定分野に強い弁護士)専門性は高まったものの、企業経営という視点からの大局的なアドバイス(リスクテイクの許容度など)の質は、むしろ低下している印象あり。
 専門性を追究しているため、案件ごとに弁護士を選定するようになった。
 専門分野が細分化し能力が高くなった。
 特に海外は玉石混交。
 長く依頼してきた弁護士の高齢化。
 能力の格差がひろがったように思う。価格とサービスがマッチしていない。
 優秀な弁護士は限られており、特に昔も今も変わらず。
 レベルの割に請求額が過大。
 若手が増えたこと。地域外出身者(地縁、人縁、学縁などなし)が増えたこと。 そして何より人数が急増したこと(従前の2倍まで)などにより、乱訴傾向が強まることを懸念している。
 若手が増えて不安。相談に対して十分な調査(下調べ)なしに回答される。
 若手弁護士の一部について、準備書面のやり取りなどの中で、当該訴訟の本質を見据え、いかなる争点を形成すると自己に有利に裁判を進められるかを読み取る力が不足しているように感じる。


[特許出願は16%の企業で増加]

特許出願は8割の企業が前年と同程度で変化なしですが、16%の企業は増やしてました。
一般的には下げ止まり傾向ですので当調査でも減少傾向に歯止めがかかり上昇傾向も垣間見える結果となりました。

 ◆知財管理についてお聞きします。特許出願を昨年と比べて今年は増やしていますか?

 増やした     16%
 昨年と変わらない 80%
 減らした      5%

@Pressリリース詳細ページ
提供元:@Press

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