鉄道開業150年の節目に『我、鉄路を拓かん』発刊 土木請負人・平野弥十郎と日本初の鉄道敷設ドラマを描く
@Press / 2022年9月16日 11時0分
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2022年9月15日に『我、鉄路を拓かん』(梶よう子著・税込1,980円)を発売しました。本書は、日本初となる新橋~横浜間の鉄道敷設工事のうち最大の難関である「築堤」部分を請け負った平野弥十郎(弥市)の半生を描く長編小説です。10月14日は「鉄道の日」で、明治5年(1872)の鉄道開通から150年の節目にあたります。鉄道ファンのみならず、電車を利用しているすべての人に届けたい、「日の本のためになる仕事がしたい」という一念で至難のプロジェクトに挑んだ男たちの物語です。
画像 : https://newscast.jp/attachments/FkYjzY6cx42du3gMF2Zw.jpg
『我、鉄路を拓かん』表紙
「高輪築堤」発見が、執筆のきっかけ
開業から間もない「高輪ゲートウェイ駅」の再開発エリアで、日本最古の鉄道遺構「高輪築堤」が発見されたのは2020年秋でした。直木賞候補にもなった作家の梶よう子氏は、海の上に建造されていたこの築堤について丹念に取材し、月刊誌『歴史街道 2021年7月号』に寄稿します。この取材が、本書執筆の最大のきっかけです。日本の鉄道の歴史と、台場の建造で勝海舟も一目置いていた平野弥十郎という土木請負人の半生とが両輪となり、新たな時代をつくった男たちの物語は走り出しました。『我、鉄路を拓かん』は、近代化に向けて第一歩を踏み出した頃の日本を、庶民の目で見た記録でもあります。
北海道開拓にまい進した平野弥十郎
主人公の平野弥十郎(弥市)は、鉄道開業の日を目前にして北海道に渡りました。函館から札幌までを繋ぐ道路の建設を命じられたからです。すでに50歳でしたが、その後67歳で没するまで、北海道開拓のために惜しみなく力を尽くしました。
『我、鉄路を拓かん』について
おれたちは、火事や大水や嵐で壊れた江戸の町を壊れる度に建て直してきたろう? けどよ、鉄路を敷くってのは、壊れたものを元に戻すんじゃねえ。なんたって、初めての物なんだ。この国に今までなかったものを造るんだぜ。
鉄路は、この日の本中に網の目のように延びていくんだそうだ。これからの未来(さき)を拓く、万人のための大仕事なんだよ。
その取っ掛かりが東京と横浜だ。おれたちが、その魁になるんだ。
(本文より)
あらすじ
東京の芝田町で土木請負を生業にしていた平野屋弥市(弥十郎)のもとに、東京~横浜間に鉄道を通す計画があることが報される。鉄道敷設は、明治新政府肝煎りの一大事業だった。勝海舟から亜米利加で見た蒸気車の話を聞き、この国に蒸気車が走る日を夢見ていた弥市は、工事への参加をいち早く表明する。芝~品川間の海上を走らせる「築堤」部分を請け負うことになったが、与えられた時間はたった二年余り。弥市は、土木工事の仕事仲間や、このプロジェクト・チームを事実上率いている官僚の井上勝、そしてイギリスからやってきた技師エドモンド・モレルとともに、前代未聞の難工事に立ち向かっていく。
著者プロフィール
梶よう子(かじ ようこ)
東京都生まれ。2005 年、「い草の花」で九州さが大衆文学賞、08 年、『一朝の夢』で松本清張賞を受賞。15 年、『ヨイ豊』で直木賞候補。その他の著書に、「御薬園同心 水上草介」「みとや・お瑛仕入帖」シリーズや、『北斎まんだら』『連鶴』『お茶壺道中』『赤い風』『本日も晴天なり 鉄砲同心つつじ暦』『噂を売る男─藤岡屋由蔵』『吾妻おもかげ』『広重ぶるう』『空を駆ける』などがある。
書誌情報
タイトル:我、鉄路を拓かん
著者:梶よう子
判型:四六判上製/320ページ
税込価格:1,980円
発売日:2022年9月15日
ISBN:978-4-569-85288-1
発行:株式会社PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85288-1
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