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アトピー性皮膚炎とうつ症状について、第54回日本心身医学会で発表

@Press / 2013年7月16日 9時30分

光トポグラフィー装置
大阪医科大学の上田 英一郎、米田 博らの研究グループは、難治化しているアトピー性皮膚炎患者の持つ抑うつ症状について光トポグラフィー検査や質問紙を用いて解析し、第54回日本心身医学会で発表しました。上田らは、アトピー性皮膚炎に合併しやすい抑うつ症状についても適切に評価し、一般的な皮膚科的治療に加え、抑うつ症状に対しても適切に治療することにより皮膚症状が改善しやすくなると報告しています。


■研究背景
厚生労働省は、増加の一途をたどるうつ病などの精神疾患を2013年より、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に加え『5大疾病』とし、重点的に対策を講じています。光トポグラフィー検査は、厚生労働省よりうつ症状の鑑別診断補助として先進医療に承認されており、現在全国29の施設で施行され、その有用性が示されています。
また、アトピー性皮膚炎がストレスによって増加することはよく知られていますが、ストレスによる抑うつ症状(気分の落ち込み)を客観的に測定する臨床検査法は確立されたばかりで、アトピー性皮膚炎患者にはこれまで適用されていませんでした。そこで大阪医科大学の上田 英一郎らの研究グループは、光トポグラフィー検査を難治性アトピー性皮膚炎患者に用い、患者の陰にひそむ抑うつ状態について、横浜で開催された第54回日本心身医学会学術講演会において発表しました。


■光トポグラフィー検査とは
光トポグラフィー検査は、近赤外線を用いて大脳皮質の血流を測ることにより脳の活動状態を数値化する装置で、2009年に「うつの鑑別診断補助」として厚生労働省の先進医療に指定されています。この検査は、非侵襲的で説明も含めて10分ほどで終わる簡単なものです。実際には患者の頭にヘッドギアのようなプローブを被せ「あ・い・う・え・お」と発音させた後、「『あ』で始まる言葉は?」というような簡単な課題(認知課題)を果たし、脳の特に前頭前野の血流の変化を定量化するものです。健常者の場合、課題遂行時に前頭前野の血流が速やかに増加しますが、うつ状態の患者では血流がなかなか増えないという特徴を持っています。


■検査結果について
上田らの研究グループは、難治性アトピー性皮膚炎患者34名に対して光トポグラフィー検査を行い、患者の抑うつ状態を客観的に評価しました。結果は以下の通りです。

1.アトピー性皮膚炎患者34名中7名(20.6%)が光トポグラフィー検査でうつ病パターンを示していた。
2.うつ病パターンを示した患者7名のうち、質問紙や問診からうつ状態と診断された3名に対し標準的な皮膚科的治療に加え抗うつ剤(SSRI)を投与したところ、4~8週後に皮疹および抑うつ気分の改善がみられた。また、そのうち1例では、症状が改善した後、光トポグラフィー検査のパターンも改善傾向を認めた。
3.残りの4名に対しては、一般的なアトピー性皮膚炎に対する皮膚科治療と支持的精神療法(カウンセリング)を行ったところ、掻破のコントロールが可能となり皮疹の改善を認めた。

研究グループは、気分の落ち込みや心理社会的側面は、評価するタイミングやアプローチの方法が難しいが、光トポグラフィー検査が普及すれば、客観的に抑うつ状態を評価でき、患者やその家族にアトピー性皮膚炎が難治化している原因の一つにストレスやストレスによって引きおこされる「うつ状態」が関与していることを理解してもらいやすくなるのではと期待を寄せています。

@Pressリリース詳細ページ
提供元:@Press

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