【国内初※1】外部ネットワークへの接続を必要としないセキュアな大規模言語モデル(LLM)「OPTiM AI」を発表電子カルテと連携し、臨床現場にオンプレミス導入開始~医師・看護師・病院関係者の働き方改革を支援~
@Press / 2024年3月29日 11時30分
社会医療法人 祐愛会織田病院※2(以下 織田病院)、株式会社オプティム※3(以下 オプティム)、株式会社シーエスアイ※4(以下 シーエスアイ)は、オプティムが構築する大規模言語モデル(Large Language Model、以下 LLM)「OPTiM AI」(特許出願中)を、シーエスアイの電子カルテシステム「MI・RA・Is(ミライズ)」と連携し、織田病院の臨床現場に試験的な導入を行いました。
なお、LLMがオンプレミス(インターネット接続なし、完全ローカル環境)で臨床現場に導入されたのは、国内初となります。
■概要
医療従事者は、医療行為そのものだけではなく、患者の記録や報告書の作成などの間接的なタスクに直面しています。これらのタスクは、医師や看護師など現場スタッフの有限なリソースの一定割合を占めるだけでなく、場合によっては過度の時間外労働を引き起こすなど、負担となっています。
特に織田病院では、入退院支援に力を入れており、その一環として日常的に生じる患者の入退院に伴って多大な文書作成業務を必要としています。
これまでは、この業務を支援するためにAIを用いるには、現在市場で確認される他社のLLMサービスをインターネット経由で接続する必要がありました。しかし、この方法では、病院などの個人情報保護が特に重視される環境では、セキュリティ要件を満たすコストが必要となり、医療現場での導入が進みにくいという課題が生じます。
本プロジェクトは、このような背景を受け、外部ネットワークへの接続を必要としない「OPTiM AI」を導入しました。電子カルテと連携し、臨床現場にオンプレミスでLLMが導入されたのは国内初となります。
まずは「入退院時看護サマリー※5」の作成をターゲットに、「OPTiM AI」を用いた要約文の自動生成を実現しました。これにより、高いセキュリティを維持したまま、医療従事者の負担を軽減することに寄与しています。
■「OPTiM AI」とは
オプティムが提供する、外部インターネットの接続を必要とせず動作が可能となるセキュアLLMです。RAG※6の作成、管理を始めとし、「OPTiM Cloud IoT OS※7」と同様に、ID管理やテナント管理、デバイス管理を実現する予定です。本技術は特許出願中です。
◆電子カルテシステムのデータをもとにした、特定患者の「入退院時看護サマリー」要約画面
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/390145/LL_img_390145_1.png
「入退院時看護サマリー」要約画面イメージ
※UIはイメージです。実際の製品とは異なる場合があります。表示される人名やテキストの内容は架空のものです
■オンプレミスであることの特長
本プロジェクトで導入された「OPTiM AI」は、オンプレミスで構築されています。このアプローチにより、患者の個人情報を含むLLMによるデータの取り扱いにおいて、高いレベルのセキュリティを実現しました。インターネットに接続されていない環境での運用は、外部からの攻撃リスクを極限まで低減し、患者情報の漏洩リスクに対する強固な壁を築いています。これにより、織田病院では、安心して最新技術を臨床現場に取り入れることが可能となりました。加えて、オンプレミスモデルの採用は、クラウドサービスの利用に比べAPI課金が発生しないため、長期的にはコスト削減が期待されます。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/390145/LL_img_390145_2.png
本プロジェクトのシステム構成
■将来構想
現在、本プロジェクトでは「OPTiM AI」による「入退院時看護サマリー」の自動生成を中心に取り組んでいますが、次年度にはこの技術の適用範囲を大幅に拡大することを目指しています。織田病院、オプティム、シーエスアイの3社は、医師や看護師をはじめとした医療従事者向けの要約ニーズに応えるだけでなく、電子カルテシステムにおけるさまざまな入力作業の自動化(例えば、音声入力やSOAP※8記載方法の意味構造化)にも対応していく予定です。また、診療情報提供書(紹介状)の作成支援、さらには用途を限定しない汎用的なチャットボット開発なども視野に入れ、医療現場のデジタルトランスフォーメーションを加速させます。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/390145/LL_img_390145_3.png
要約一覧画面イメージ
※UIはイメージです。実際の製品とは異なる場合があります。表示される人名やテキストの内容は架空のものです
これらの取り組みにより、医療従事者が本来の医療行為により集中できる環境を提供し、患者へのケアの質の向上に貢献していきます。
※1 2024年3月29日時点、オプティム調べ。電子カルテと連携し、オンプレミスとして導入されるLLMとして。
※2 所在地:佐賀県鹿島市、理事長:織田 正道
※3 所在地:東京都港区、代表取締役社長:菅谷 俊二
※4 所在地:札幌市白石区、代表取締役社長:新里 雅則
※5 病棟の看護師から外来の看護師へ適切な引き継ぎを行うためのサマライズされた看護記録。
※6大規模言語モデル(LLM)と外部からの情報検索機能を融合させる技術。このアプローチにより、生成される回答の質と精度が向上し、より情報に基づいたテキストが提供されます。
※7 オプティムが提供する、AI・IoTサービスおよびプラットフォームの展開に必要な機能を備えた、AI・IoT活用の統合プラットフォーム。
※8 医療看護の分野において、対象者の経過をカルテなどに記録するときの記入方法のひとつ。「Subject(主観的情報)」、「Object(客観的情報)」、「Assessment(評価)」、「Plan(計画)」の略称。
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