加齢性疾患の予防・進行抑制に向け、予防医学の新たな可能性 FPP(パパイヤ発酵食品)によるNrf2の活性化について発表
@Press / 2024年12月13日 10時0分
大里研究所(所在地:岐阜県揖斐郡, 理事長:林 幸泰)は、FPP(パパイヤ発酵食品)の有する優れた抗酸化・抗炎症・免疫調整作用がNrf2活性化由来であることを示唆した論文を、イタリア・ReGenera R&D International for Aging Interventionのマロッタ博士らとの共同研究(1)により発表したことをご報告いたします。
(2024年11月発刊 査読付学術誌Functional Food Science掲載)
この臨床研究では、中・高齢者(43-75歳)における、生体防御の要として働く転写因子Nrf2に対するFPPとビタミンEの効果を6ヶ月間にわたり比較検討しました。その結果、FPPでのみNrf2活性に関する遺伝子発現が増加することが明らかになりました。これにより、慢性炎症や加齢関連疾患の予防・進行抑制に向けて、食品による新たな可能性が示されました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/418406/LL_img_418406_1.jpg
(図1)Nrf2の活性化による効果
■Nrf2とは
Nrf2は、細胞内に存在しストレスに反応して活性化される転写因子(遺伝子の発現を制御するタンパク質)です。酸化ストレスなどを感知すると核内に移動し、抗酸化酵素や解毒代謝酵素の発現を調整するほか、炎症を引き起こすサイトカイン遺伝子の発現を低下させる働きなど、細胞を保護する役割を担っています。酸化ストレスや炎症は加齢に伴い増加し、体内の酸化・還元バランスが崩れることで、さまざまな病気や老化の原因となることが知られています。Nrf2の活性化は、酸化ストレスや炎症を抑制するため、アルツハイマー病や生活習慣病などの予防および改善に繋がり、健康寿命延伸をもたらす因子として注目されています(2)。
■FPPによるNrf2活性化
6ヶ月間にわたる研究は、健康な68名の被験者(43-75歳)を、FPPを1日9g摂取するグループ(FPP群)と、ビタミンE錠剤を1日2回(400IU/日)摂取するグループ(ビタミンE群)に無作為に分け実施しました。被験者は、週2回の段階的運動負荷歩行試験(GEWT)に加えて、TAC(総抗酸化能)と末梢血単核球のNrf2活性に関連する遺伝子発現レベル(核内Nrf2, NQO1, HO-1)を毎月測定しました。
結果は、両群とも、6ヶ月間にわたり生化学検査値とBMI値は安定しており、血漿中のTACは有意に改善され(p<0.01)、ビタミンEにおいては、3ヶ月目からTACに対する効果を認めました。一方で、Nrf2活性化を示す核内Nrf2、抗酸化酵素を産生するNQO1およびHO-1の遺伝子発現量の増加は、FPPでのみ改善効果を認めました(有意差あり, p<0.01)(表1)。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/418406/LL_img_418406_2.jpg
(表1)試験開始6ヶ月後の中・高齢者におけるFPPおよびビタミンEの改善効果
加齢によるNrf2活性の差を検証するために、FPP群を4群に分け比較しました(I:43~50歳 II:51~58歳 III:59~66歳 IV: 67~75歳)。核内Nrf2の遺伝子発現量(図2-a)は、IV群ではIおよびII群と比較すると増加は緩やかでしたが、全年齢群においてベースライン(開始時)およびビタミンE群と比較すると有意に増加しました。抗酸化遺伝子NQO1の発現量(図2-b)は、全年齢群においてFPPにより1ヶ月後から有意に増加し、これは6ヶ月間にわたり維持されました。また、HO-1遺伝子発現量(図2-c)は、全年齢群においてFPPにより有意に増加し、I群およびII群においては1ヶ月後から、III群およびIV群でも3ヶ月後には、より顕著な増加を認めました。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/418406/LL_img_418406_3.jpg
(図2)各年齢群におけるFPPによる核内Nrf2、NQO1、HO-1遺伝子発現量の変化
本研究により、FPPは、抗酸化作用を有するのみならず、身体の抗酸化・抗炎症システムを制御するNrf2シグナル伝達を増強することで、生体防御機能を総合的に活性化することが明らかになりました。また、最も高齢なIV群(67-75歳)においても、FPPと定期的な運動の併用により Nrf2活性に関連する遺伝子発現レベルの改善効果が確認されました。
■おわりに
本研究は、『FPP単体で、なぜ抗酸化・抗炎症・免疫調整作用などの効果を持つのか』に対しひとつの答えとなる、極めて重要なFPPの作用機序を示した新たな知見です。Nrf2は、炎症性サイトカインの抑制やミトコンドリアの機能向上などに寄与することも報告されています。先の研究で明らかとなっているFPPによるIL-6およびTNF-αの低下(3)やミトコンドリア活性促進(4)も、Nrf2活性化による複合的な効果である可能性が示唆されました。FPPによる高齢者のNrf2活性化は、加齢に伴う炎症やさまざまな疾患への予防・改善効果が期待できると考えられます。これからも、超高齢社会における健康寿命延伸、ひいては医療費削減に貢献できるよう更なる研究を進めてまいります。
■大里研究所
大里研究所は、予防医学による医療費削減を目指し30年以上にわたり当研究所開発のFPPの研究を続けています。FPPは、遺伝子組換えでないハワイ産のパパイヤを原料に独自の発酵技術により作られた顆粒状の食品です。これまでの研究では、2型糖尿病における免疫機能改善および創傷治癒促進*、細胞のエネルギー産生促進*、アルツハイマー病の酸化ストレスの軽減*、パーキンソン病の病態(運動・認知機能)の改善*、電磁波過敏症における脳の血流量および認知機能の改善*、命の回数券「テロメア」の伸長*、中高齢者における好中球/リンパ球比(NLR)の改善*、血管の柔軟性の改善*など多岐にわたる効果を学術論文として50報以上発表しており、4つの特許(4)を取得しています。
*各論文の詳細はこちら: https://www.ori-japan.com/research/
■引用文献
(1) Cervi, J., Rastmanesh, R., ... & He, F. (2024). Comparing fermented food and vitamin E on exercise-mediated Nrf2/ARE activation in middle-aged/ elderly: A randomized, double-blind clinical study. Functional Food Science, 4(11): 413-426.
(2) George, M., Tharakan, M., ... & Reddy, P. H. (2022). Role of Nrf2 in aging, Alzheimer’s and other neurodegenerative diseases. Ageing Research Reviews, 82, 101756.
(3) Marotta, F., Koike, K., ... & Marandola, P. (2007). Nutraceutical Strategy in Aging: Targeting Heat Shock Protein and Inflammatory Profile through Understanding Interleukin‐6 Polymorphism. Annals of the New York Academy of Sciences, 1119(1), 196-202.
(4) ATP産生促進剤及びミトコンドリア活性促進剤、ならびに免疫賦活剤
(日本特許庁2018年9月14日、特許第6401792号)
FPPを用いた電磁波過敏症の治療法
(米国特許商標庁2021年5月4日、特許番号US10,993,980 B2)
電磁波過敏症を治療するための医薬組成物
(日本国特許庁2022年2月17日、特許第7026387号)
テロメアを伸長するための組成物
(日本国特許庁2024年3月6日、特許第7449588号)
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プレスリリース提供元:@Press
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