リハビリテーション専門職の処遇改善調査結果を発表~令和6年度報酬改定後の処遇改善の格差が明確に~
@Press / 2024年12月12日 15時30分
リハビリテーション専門職団体協議会(構成団体:日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会。以下、3団体)は、令和6年度の報酬改定を受けて実施した「リハビリテーション専門職の処遇改善に関する実態調査」の結果を発表しました。本調査は、医療施設、介護施設・事業所、障害福祉施設・事業所に勤務するリハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)を対象に、令和6年度報酬改定後の処遇改善の実施状況を明らかにすることを目的として実施されました。
■調査結果のまとめ
リハビリテーション専門職の現金給与総額の引き上げについて、医療施設では約3割、介護・福祉施設では約4割の施設で行われていない現状が明らかとなりました。また、ベースアップの実施率は顕著に低く、とくに介護施設・事業所や障害福祉施設・事業所においてより実施率の低さが示されました。さらに、施設の規模や開設主体等による処遇改善の対応に係る格差が認められています。
今後はさらなる医療・介護・福祉分野における賃金の底上げ・継続的な昇給に向けた、抜本的な対策が必要であることが示唆されました。
■調査の概要
【調査目的】
令和6年度報酬改定後のリハビリテーション専門職の処遇改善の実態を明らかにし、今後の政策提言や対策の検討に活用すること。
【調査方法】
●調査方法 :WEBアンケート調査
●調査対象 :3団体に施設登録のある全国の医療施設、介護施設・事業所、
障害福祉施設・事業所のリハビリテーション部門代表者
●回答期間 :2024年9月3日~2024年9月17日
●主な調査項目:
> リハビリテーション専門職の現金給与総額※1の引き上げの有無
> 引き上げの理由(定期昇給※2、ベースアップ※3、各種手当の引き上げ・新設、賞与等の引き上げ・新設、その他)等
(回答の対象期間:令和6年6月給与を基準とし、令和6年3月給与と比較。)
●回答数 :1,750施設(医療施設1,157件、介護施設・事業所478件、障害福祉施設・事業所115件)
※1 現金給与総額:決まって支給する給与と一時金をまとめたもの(なお、決まって支給する給与とは、当該施設・事業所や法人の労働協約、就業規則等によって、あらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給された現金給与(所得税や社会保険料等を控除する前の額)をいい、基本給と手当が該当する。)
※2 定期昇給 :毎年一定の時期を定めて、社内の昇給制度に従って行われる昇給のこと
※3 ベースアップ:賃金表の改定等により賃金水準を引き上げること。賃金表がない場合は、給与規定や雇用契約に定める基本給等を引き上げること
■調査結果の詳細
1.現金給与総額の引き上げの状況とベースアップの実態
現金給与総額の引き上げを実施した施設は、医療施設で68.3%、介護施設で52.1%、障害福祉施設で54.8%であり、医療施設では約3割、介護・福祉施設では約4割の施設で昇給が行われていないことが明らかとなりました(図1)。また、これらの施設での引き上げの理由として最も多かったのは「定期昇給」であり、ベースアップの実施率は極めて低いことが示されました(医療施設31.4%、介護施設・事業所17.4%、障害福祉施設・事業所12.2%)。医療施設と比較し、介護・福祉施設におけるベースアップの実施率は特に低値を示しています(図2)。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_1.png
図1 現金給与総額の引き上げ有無
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_2.png
図2 ベースアップの実施率
回答者からは、「福祉・介護職員等処遇改善加算の対象としてリハビリテーション専門職の明記がないため、現金給与のアップが望めない。」、「報酬改定で収入が下がる見込みで、経費が物価の上昇により上がっているので、人件費に使える財源は増えない。収入が上がるような報酬改定をして欲しい。」といった、時限的な加算における課題や、物価上昇を上回る賃上げの実感がないという意見が挙がりました。
2.各施設における現金給与総額の引き上げの特徴
1) 医療施設
病院と比較して、診療所(無床・有床)では給与引き上げの実施率が低かった。特に病床数や職員数の少ない施設ほど実施率が低く、小規模施設ほど給与引き上げの実施率は低い傾向を認めた(図3)。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_3.png
図3 施設規模(病床数、職員数)における現金給与総額の引き上げ実施率(医療施設)
開設主体を「公立病院」とする施設での給与引き上げの実施率は42.3%で最も低値であった(図4)。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_4.png
図4 開設主体毎の現金給与総額の引き上げ実施率(医療施設)
2) 介護施設・事業所
職員数における給与引き上げの実施率に明らかな差は認めなかったが、総職員数に対しリハビリテーション専門職の在籍割合が5%未満の施設では、給与引き上げの実施率が45.3%と最も低値であった(図5)。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_5.png
図5 総職員数に対するリハビリテーション専門職の在籍割合毎の現金給与総額の引き上げ実施率(介護施設・事業所)
開設主体を「営利法人・個人」とする施設での給与引き上げの実施率は30.4%で最も低値であった(図6)。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_6.png
図6 開設主体毎の現金給与総額の引き上げ実施率(介護施設・事業所)
3) 障害福祉施設・事業所
開設主体を「営利法人・個人」とする施設で給与引き上げの実施率は43.5%で最も低値であった(図7)。
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/420303/LL_img_420303_7.png
図7 開設主体毎の現金給与総額の引き上げ実施率(障害福祉施設・事業所)
■主催団体概要
団体名: 公益社団法人日本理学療法士協会
代表者: 会長 斉藤 秀之(さいとう ひでゆき)
所在地: 〒106-0032 東京都港区六本木七丁目11番10号
設立 : 1966年7月17日
URL : https://www.japanpt.or.jp/
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プレスリリース提供元:@Press
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