IEEEが提言を発表 電気自動車 次のステップ
@Press / 2024年12月26日 15時30分
IEEE(アイ・トリプルイー)は世界各国の技術専門家が会員として参加しており、さまざまな提言やイベントなどを通じ科学技術の進化へ貢献しています。
電気自動車への期待は高まる一方ですが、普及への道のりには、充電砂漠問題からリチウム電池の環境への悪影響まで、依然として多くの障害が立ちはだかっています。技術が急ピッチで進化する中、研究者たちはEVが環境に優しいという世論を確かなものにするために、代替バッテリーケミストリーや革新的な材料に注目しています。
IEEEのシニアメンバーであるCristiane Agra Pimentel(クリスチアーネ・アグラ・ピメンテル)は、次のように述べています。「電気自動車の開発は進展していますが、コストや廃棄物、道路インフラなど、まだ検討が必要な部分がいくつもあります。炭素燃料の削減や騒音軽減といったメリットがありますが、EVへの移行は先進国の方がより早いペースで進むことでしょう。」
幸いなことに、研究者たちが取り組んでいる解決策により、今後数年間でこの業界を次のレベルに引き上げることが可能になります。
■充電ネットワークの拡大
多くの地域で電気自動車の普及を妨げている要因の1つが充電インフラの未整備です。それは、単に充電ステーションが足りないというだけではありません。広大な国土を抱えている国もあります。地方に充電ステーションを建設するには、その地域の電気インフラを刷新する必要があるでしょう。
IEEEのシニアメンバーであるEuclides Chuma(エウクリデス・チュマ)は、次のように述べています。「電気自動車は、ヨーロッパ、日本、韓国のように移動距離が短く人口密度が高い国において有効な選択肢です。米国、ブラジル、中国のように国土が広大な国では、送電線の改修も必要になるため、充電インフラの整備には時間がかかるでしょう。」
充電インフラを完備するにはどれだけの時間が必要でしょうか?恐らく5年から15年はかかると推定されます。
■電池の改良
もう1つの研究テーマは、既存の電池からより多くのエネルギーを取り出すことです。
リチウム電池は、この15年間で大幅な進歩を遂げました。2008年当時、リチウム電池のエネルギー量は1リットルあたり55ワット時(Wh/L)でした。米国エネルギー省によると、2020年までにこの数字は450Wh/Lに達しています。現在のリチウムイオン電池は、同じスペースにさらに多くのエネルギーを詰め込んでいます(750Wh/L)。こうした改善は目を見張るものがあります。現在のリチウムイオン電池は、2008年の同サイズの電池に比べて13倍のエネルギーを保持できるのです。
■さらに優れた電池を開発する
リチウムを電池に使用することには、リチウム採掘に関連する環境問題など、深刻な問題を伴います。また、リチウムは電気自動車のコストの約40%を占めるほど、極めて高価です。
そのため、自動車メーカーは別の素材で作られた電池を探求するようになりました。業界ではこれを「代替バッテリーケミストリー」と呼んでいます。目標は、リチウムよりも安価で、地球から容易に採掘でき、優れたエネルギー密度が期待できる豊富な材料を見つけることです。
その候補の1つがナトリウムイオン電池です。ナトリウムは豊富にあり、塩化ナトリウムや食塩に含まれています。しかも比較的安価です。しかし、ナトリウムイオン電池が普及するにはしばらく時間がかかることでしょう。リチウム電池業界では、サプライチェーンが十分に確立されており、企業は容易に利用できるようになっています。
■電池のリサイクル
リチウムに対する需要が高いにもかかわらず、リサイクルコストが原料の価格を上回ることが多いこともあり、リチウム電池のリサイクルはほとんど行われていないのが現状です。
EVやスマートフォンに使用されるリチウム電池の多くは最終的に埋め立て地に処分されてしまうため、リチウム電池をリサイクルする費用対効果の高い方法を見つけることが非常に重要です。もし、費用対効果の高いリサイクルが実現すれば、バッテリーの全体的なコストを削減し、リチウム採掘に伴う環境破壊を軽減し、さらなる電化を促進することに寄与するでしょう。
■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電機・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,800を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
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プレスリリース提供元:@Press
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