機能性脂肪酸「HYA」が腸管の炎症を抑える効果を持つことを発表 ― 潰瘍性大腸炎、クローン病などの難病治療の可能性を示唆 ―

@Press / 2015年3月30日 13時0分

HYAへの変換経路
 医薬品の製造販売を手がける日東薬品工業株式会社(本社:京都府向日市、代表取締役社長:北尾 哲郎、以下「日東薬品」)は、2015年3月26日(木)~29日(日)に開催された日本農芸化学会2015年度大会の一般講演とランチョンセミナーで、機能性脂肪酸10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸(以下「HYA」)に、腸管の炎症を抑える効果があることを発表いたしました。HYAが潰瘍性大腸炎[*1]、クローン病[*2]などの治療に役立つ可能性があると考えられます。


■機能性脂肪酸「HYA」とは
 脂肪酸は人間のエネルギーの基となる脂質を構成する成分です。脂質の中でも、α-リノレン酸[*3]などの特定の脂肪酸には血液をさらさらにする作用があるといわれており、健康に良い成分として注目が集まっています。
 HYAは、植物油に含まれるオメガ6脂肪酸[*4]のひとつであるリノール酸に乳酸菌を作用させることによって作られます。京都大学(同大学院農学研究科 小川 順 教授、以下「京都大学」)を中心とする腸内細菌脂質代謝研究グループは、食品から摂取されるリノール酸などの脂肪酸の腸内細菌代謝物について研究を進めており、代謝物の一つであるHYAが健康に有益な効果をもたらすことを確認しています。また、HYAは乳製品、食肉、発酵食品中にも微量含まれていることが判明しました[*5]。
 この度日東薬品は、広島大学(同大学院生物圏科学研究科 田辺 創一 教授)、東京農工大学(同大学院農学研究院 木村 郁夫 特任准教授)、京都大学との共同研究を通し、HYAが腸管の炎症を抑える効果があることを確認し、日本農芸化学会2015年度大会で発表いたしました。


■実験結果
 デキストラン硫酸ナトリウムを与えて腸炎を発症させたマウスに、HYAを経口投与しました。その結果、以下の効果を確認しました。[*6]
・腸炎による体重減少を抑制
・腸組織の損傷を改善
・腸炎の症状を改善


■HYAが腸管の炎症を抑制するメカニズム
 腸管に存在する脂肪酸受容体(GPR40)がHYAと結合すると、腸管の炎症を引き起こす炎症性サイトカインの発現が抑制されることがわかりました。この作用により、腸管の炎症が抑制されると考えられます。


 以上の研究結果から、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸管の炎症が原因となる難病の治療にHYAが役立つ可能性があると考えられます。日東薬品は引き続き、HYAが持つ健康に有益な効果の研究に取り組むとともに、機能性食品や医薬品分野での実用化を目指します。


[*1] 潰瘍性大腸炎
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。これまで原因として、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、食生活の変化などが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に16万人以上。

[*2] クローン病
炎症性腸疾患の一種で、指定難病。主に若年者にみられ、小腸の末端部のほか、口腔から肛門にいたるまで、消化管のさまざまな部位に炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こります。これまで原因として、遺伝的要因、結核菌類似の細菌や麻疹ウイルスによる感染、食事成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしていることなどが考えられていますが、まだ完全にはわかっていません。患者数は日本国内に3万人以上。

[*3] α-リノレン酸
植物油に含まれる脂肪酸のひとつ。アマニ油やエゴマ油などに多く含まれています。

[*4] オメガ6脂肪酸
脂肪酸のメチル末端から6位の炭素に二重結合をもつ脂肪酸。リノール酸などが該当し、HYAもオメガ6脂肪酸に属します。

[*5] 乳製品(牛乳、チーズなど)、食肉(ベーコンなど)、発酵食品(納豆、味噌など)に数mg/100gから数10mg/100g含まれています。

[*6] 出典
Junki Miyamoto, Taichi Mizukure, Si-Bum Park, Shigenobu Kishino, Ikuo Kimura, Kanako Hirano, Paolo Bergamo, Mauro Rossi, Takuya Suzuki, Makoto Arita, Jun Ogawa and Soichi Tanabe (2015) A Gut Microbial Metabolite of Linoleic Acid, 10-Hydroxy-cis-12-octadecenoic Acid, Ameliorates Intestinal Epithelial Barrier Impairment Partially via GPR40-MEK-ERK Pathway. The Journal of Biological Chemistry, 290(5), 2902-2918


■会社概要
名称   : 日東薬品工業株式会社
本社所在地: 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者  : 代表取締役社長 北尾 哲郎
事業内容 : 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL    : http://www.nitto-pharma.co.jp/

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プレスリリース提供元:@Press

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