IEEEがIoTに関する調査結果を発表~10年後には思考による制御が可能?全てが頭の中に!~
@Press / 2015年4月20日 12時30分
IEEE(アイ・トリプル・イー)は、IoT(モノのインターネット)に関する世界的な調査の結果を発表しました。それによると、2025年には日常生活で利用されるデバイスを制御するためのテクノロジーの第1番目が人間の思考になるという研究結果がでました。今回の調査はテクノロジーに関心を持つ3,000人以上を対象に行われ、調査結果から、テクノロジー制御の主要な手段としての携帯電話や携帯端末の重要性が薄れつつあることや、人々が将来利用したいと考えている移動手段としての自律型自動車の存在が浮かびあがってきました。
IEEEメンバーのディオゴ・モニカ(Diogo Monica)氏は、次のように述べています。
「進化に伴い、テクノロジーはますます日常生活と一体化し、物理的な存在感は薄まっていきます。コンシューマー・テクノロジーは携帯端末の制約を超えてウェアラブルへと発展しつつあり、進化の次の段階では、脳波でテクノロジーをハンズフリーで制御できるようになるでしょう。ネットワークに接続されるデバイスの増加に伴いデータが継続的にやり取りされるなか、IoTネットワークを行き来する個人や企業の情報を保護するために、セキュリティ対策を万全の状態にしておくことが必要になってきます。」
■3人に1人が「思考によるデバイス制御が望ましい」と回答
思考で制御するデバイスに対する消費者の需要が高まれば、未来の家の多くの部分が人の脳波から指示を読み取れるようにプログラムされることになるでしょう。玄関ドアの開錠、調理器具の使用、照明の消灯、ビデオゲームの操作といった家庭でのタスクを行う手段として、思考での制御を利用したいというのが、回答者たちの一貫した意見でした。
主な調査結果は以下のようになっています。
・10年後の玄関ドアの開錠方法について回答した人の35%が、思考による制御を最も望ましい方法として選択。生体認証、網膜スキャン、携帯電話、モーション・センサー、手動を選んだ人数を上回りました。
・10年後の調理器具の制御方法について回答した人の10人に3人(35%)が思考による制御を望ましい方法としており、24%が携帯電話/携帯端末を選択。回答者の約1/4(26%)が引き続き手を使った調理を希望しており(男性27%に対し女性22%)、キッチンについてはテクノロジーが完全に台頭するということにはならないようです。
・照明の望ましい制御方法を選択した回答者の1/3以上が、2025年の家庭照明の制御方法を思考による制御が望ましいと回答。以下、僅差で携帯電話/モバイル・コントローラー(30%)、モーション・センサー(27%)となっています。家庭照明の制御方法について選択した回答者のうち、10年後も手動がいいと答えたのはわずか8%でした。
■男女間の差はなし
調査結果を見るかぎり、日常生活でデバイスをどう利用したいかについて男女の意見は一致しているようです。全体的に見て男女ともに似たような回答となっており、2025年の家の玄関のドアの開錠と照明の消灯についての回答は男女でほぼ一致していました。テクノロジーに対する信頼度と依存度の高まりは世界共通であり、接続型デバイス・テクノロジーの日常生活へのスムースな統合に向けた道筋が整いつつあると言えます。
■自律型運転を望む男性、手動運転を望む女性
車への導入には2倍以上の意識差が
無人車両に対する信頼度が増せば、屋外でのテクノロジーの利用も大きく変化することになるでしょう。ほとんどの質問で男女の回答に差がなかった一方で、10年後の運転方法については意見が大きく異なりました。女性の60%近くが自動車を手動で制御したいと考えているのに対し、同じ回答をした男性は27%に留まっています。その一方で、男性の過半数(56%)が自律型運転を望んでいるのに対し、同じように考える女性はわずか12%となっています。
IEEEフェローで、イタリア・パルマ大学のコンピューター工学教授、アルベルト・ブロッジ(Alberto Broggi)氏は次のように述べています。
「テクノロジーの高度化と環境に関する知的理解の向上に伴い、自律型自動車の開発は大きく進展しています。テクノロジーに対する信頼は導入を促進する強力な要因となることでしょう。今回の調査結果は、未来に向けた消費者の信頼の構築が進んでいることを示す内容になっています。」
■携帯電話に取って代わるウェアラブル端末
携帯電話や携帯端末からの技術転換の始まりとして、IoTと接続型デバイスの普及が進んでいます。今回の調査で、2025年になったとき、玄関ドア、調理器具、照明の制御に携帯電話を利用するつもりだと答えた回答者は1/3未満でした。
IEEEフェローのウィリアム・ウェッブ(William Webb)氏は次のように述べています。
「シームレスなテクノロジー統合の需要に対応するために、スマートウォッチなど、携帯電話と同等の品質を持つウェアラブル端末が市場に出始めています。人々が日常生活でウェアラブル端末を違和感なく使えるようになれば、携帯電話やその他の携帯端末からハンズフリー・テクノロジーへの転換が進み、効率性と生産性の向上が可能になることになるでしょう。このシフトは今後5年の間にまず産業用途で始まり、次の10年で徐々に消費者へと移行していくと見られます。」
【調査について】
この調査は、スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressの参加者、ならびにIEEEのソーシャル・コミュニティのメンバーを対象に、2015年3月2日~6日に実施。総サンプル数は3,000以上。5問の多肢選択問題からなり、2025年に以下の事柄を制御するのに望ましい方法を選ぶよう求める内容です。
-玄関ドアの開錠 n=2,078
-調理器具 n=1,921
-電子機器および照明のオン/オフ n=1,817
-自動車の制御/運転 n=1,758
-ビデオゲームの操作 n=1,679
【IEEEについて】
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上(日本国内のIEEE会員数は約14,000人)のエンジニアや技術専門家の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、活動を通じて世界中の工学やその他の技術専門職のための信用性の高い「声」として役立っています。
IEEEは、電気・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版。2,000以上の現行標準を策定し、年間1,300を超える国際会議を開催しています。
詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。
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プレスリリース提供元:@Press
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