法政大学政策創造研究科 シンポジウム「負の遺産観光から見る、観光の可能性」 日程:10月3日 会場:法政大学 市ケ谷キャンパス
@Press / 2015年9月14日 16時30分
法政大学大学院政策創造研究科は2015年10月3日(土)にシンポジウム「負の遺産観光から見る、観光の可能性」を開催します。
負の遺産とは、戦争、事故、事件、災害等、主に人間の「失敗」や「非力さ」によって生じた災いの集合的記憶やそれをとどめた遺構のことです。観光は近代の偉大さを称え、しばしばナショナリズムを称揚することに利用されてきました。私たちは、観光に別の可能性もあるのではないか、すなわち、近代の「発展」の影に隠れた災いの記憶に観光の光を当てることによって、他者と交流し、悲しみと希望を共有する道があるはずだと考えます。
しかしながら、観光は近代に始まった消費行為であることにも目を向けなければなりません。災いは、どこか「死」の臭いがします。日常生活から「死の影」を追いやってしまった私たちは、観光において「死」を消費しつつ、輪郭を失った「生」を確認しようとしているのかも知れません。もし、そうであるならば、私たちは他者の災難や「死の臭い」をも、観光消費の対象に導き入れたことになります。
こういった観光消費社会のただなかで、負の遺産観光は、他者の受けた「傷」の物語を理解し共有することによって、自己や他者の社会的トラウマを確認しつつ軽減する行為、他者と自己とが繋がる行為となることができるのか。その可能性を問います。
負の遺産観光は消費の極北か、それとも共感と連帯への道か、観光で我々は何を目指すべきなのか、このシンポジウムは観光のエッジへと向かいます。
【開催概要】
■日時
2015年10月3日(土)15:00~18:00
■会場
法政大学 市ケ谷キャンパス ボアソナード・タワー26階 スカイホール
(アクセス)東京都千代田区富士見2-17-1
■参加
定員200人・参加費無料
■申し込み
下記URLよりお申し込みください
パソコン: https://www.event-u.jp/fm/10595
モバイル: https://www.event-u.jp/fm/m10595
■プログラム
・15:00~15:30 テーマ解題
―負の遺産観光の可能性と限界―
須藤 廣(本学大学院政策創造研究科教授)
・15:30~16:00 ポリフォニックな近代表象と歴史の文化政治
―北九州地域と富岡製糸場の産業遺産観光を中心に―
濱野 健(北九州市立大学准教授)
・16:10~16:40 スラム・ツーリズムの現状と課題―大阪釜ヶ崎を事例として
―大阪釜ヶ崎の観光の可能性―
須永 和博(獨協大学外国語学部准教授、本学大学院政策創造研究科兼任講師)
・16:40~17:10 ダークツーリズムの可能性
―悲しみの記憶を観光資源にすることの意味―
井出 明(追手門学院大学准教授)
・17:20~18:00 壇上討論+質疑応答(司会 須藤 廣)
【シンポジスト紹介】
・代表:須藤 廣 本学大学院政策創造研究科 教授
専門は観光社会学。観光が持つ排除と創造の両義性に注目し、主に日本各地、東南アジアをフィールドに調査研究を続ける。
主な著書:『ツーリズムとポストモダン社会』明石書店
・濱野 健 北九州市立大学准教授
専門は文化社会学。ライフスタイル移民や観光等、国際移動によってもたらされる文化変容や葛藤について、主にオーストラリア、日本をフィールドに調査研究をしている。
主な著書:『日本人女性の国際結婚と海外移住』明石書店
・須永 和博 獨協大学外国語学部准教授
本学大学院政策創造研究科 兼任教授、専門は観光人類学。観光化が進む国際社会のなかで、少数民族等少数者が、オルタナティヴな観光を自らのアイデンティティ創造へと結びつけてゆきながら、国家の規制をも乗り越えてゆく実践に着目する。
主な著書:『エコツーリズムの民族誌』春風社
・井出 明 追手門学院大学准教授
専門は観光学。福島第一原発の観光地化計画等、主に東 浩紀氏を中心としたグループ、「ゲンロン」で執筆活動を続ける。日本ばかりでなく、世界のダークツーリズムに目を向け、ダークツーリズムとは何かについて探求している。日本におけるダークツーリズム研究の第一人者。
主な著書:『DARK tourism JAPAN Vol.1』大洋図書(共著)
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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