第7戦で7人目の勝者が誕生!混戦の2012年、F1カナダGP決勝リポート!

Autoblog JP(オートブログ) / 2012年6月11日 9時20分

第7戦で7人目の勝者が誕生!混戦の2012年、F1カナダGP決勝リポート!

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2012年F1第7戦カナダGP決勝レースが10日、モントリオールのジル・ヴィルヌーブ・サーキットで行われた。またしても、レースの行方を左右したのはタイヤ戦略。今年は7戦終わって7人の優勝者が出るという稀に見る混戦が続いている。


土曜日の予選でポール・ポジションを獲得したのは、レッドブルのセバスチャン・ベッテル。マシンのフロア、リア・ホイールの前に設けられた "穴" について「違反である」と判定され、今回これを改めたレッドブルだったが、それが「速さに関係ない」ことを実証してみせたわけだ。2番手は0.3秒の差を付けられてマクラーレンのルイス・ハミルトン。2列目には排気口のレイアウトを変更して好調となったフェラーリのフェルナンド・アロンソ、そしてレッドブルのマーク・ウェバーが並ぶ。その後ろにメルセデスのニコ・ロズベルグとフェラーリのフェリペ・マッサ、4列目がロータス・ルノーのロマン・グロージャンとフォース・インディアのポール・ディ・レスタというスターティング・グリッドだ。ザウバーの小林可夢偉は0.008秒という差で惜しくも予選3ラウンド進出ならず、11番手。前にミハエル・シューマッハ(メルセデス)とジェンソン・バトン(マクラーレン)、隣り(12番手)にはキミ・ライコネン(ロータス・ルノー)という、歴代ワールド・チャンピオンに囲まれてレースに挑む。



そして日曜日の現地時間14時、日本では午前3時という迷惑な時間に決勝レースがスタート。上位3台は予選順位のまま1コーナーへ。5番手スタートのロズベルグが前にいたウェバーに並び、サイド・バイ・サイドの状態で1コーナー、2コーナーへと進入するが、4コーナーを抜けたときには結局順位に変更なし。そのロズベルグに今度は後ろからマッサが仕掛け、2台は軽く接触。順位は守ったロズベルグだったが、やり合っているうちに前のクルマとはやや差が開いてしまった。可夢偉はライコネンに抜かれて12位で最初のラップを終える。

ロズベルグはややペースが上がらないようで、2周目にはマッサにとうとう抜かれ、次の周にはディ・レスタにもパスされてしまう。スタートから元気の良さを見せていたマッサだったが、6周目の1コーナーから2コーナーへ切り返すところで単独スピン。可夢偉の後ろまで順位を落とす。

ハミルトンは前を行くベッテルとの間を、DRS(可変リアウイング:これを使うと一時的に空気抵抗が減り最高速度が上がることで前車を抜きやすくなる)が使える1秒以内に近づきたいところ。逆にベッテルは1秒以上の差を開けたい。11周目が終わるとき、両車の差は1.5秒。わずかにハミルトンの方が速いペースだ。

12周目が終わったとき、まずマッサがピットイン。一番乗りでタイヤを交換する。次の周には、ディ・レスタとシューマッハもピットへ。

15周目、ベッテルとハミルトンの差がいよいよ1秒以内に。長いストレートで、DRSを使ってベッテルに迫るハミルトン。ベッテルのレッドブルは、他のチームのマシンに比べて最高速度が遅いセッティングになっている(代わりに低速コーナーは速い)から、こういう状況では余計に苦しい。プレッシャーに負けたのか、ベッテルは16周目のヘアピンでわずかにミス。そのままピットに入り、1回目のタイヤ交換を行う。

これを見てハミルトン陣営はすぐに反応。次の周にピットインしてタイヤを交換する。コースに戻ったときには、ベッテルの前に出ることに成功していた。今度はベッテルが後ろからDRSを使ってハミルトンを追い掛ける。履き替えたばかりのプライム・タイヤ(硬い方のタイヤ)が、このサーキットではなかなか温まらないため、ピットを出た1周目はペースが上げられないのだ。しかし、何とかこれに堪えるハミルトン。



上位3台の中で、アロンソは19周目を走り終えるまで引っ張ってから、タイヤを交換。ぎりぎりでハミルトンの前でコース復帰に成功する。しかしアロンソのタイヤはまだ冷えた状態。ハミルトンは熱が入ったタイヤでアロンソに仕掛ける。必死に抑えていたアロンソだったが、20周目後半のロング・ストレートでDRSを開いたハミルトンにパスされてしまう。

上位陣よりさらに引っ張って、グロージャンは21周目を走り終えてからピットへ戻りタイヤ交換。可夢偉はさらに24周目終了まで粘って、硬めのプライム・タイヤに履き替える。可夢偉はどうやらこの先45周を、このタイヤで走り切る作戦らしい。

逆に、スタート時に硬めのタイヤを履いて出て行き、長い周回を走ってから軟らかめのオプション・タイヤに履き替えるという作戦を採ったのが、可夢偉のチームメイトであるセルジオ・ペレスと、ライコネンなどのドライバー。周囲のクルマがピットに入る中、コース上に留まることでじわじわと順位を上げる。

この時の順位は、1位がハミルトン、2位にアロンソ、3位ベッテル、そして4位と5位にまだピットインしていないライコネンとペレスが上がって来ていた。以下、ウェバー、ロズベルグ、グロージャン、マッサと続く。可夢偉は12位。前を行くディ・レスタに抑えられているようだ。



33周目終了時に、バトンが2度目のタイヤ交換。38周目を終えたときにはロズベルグもピットへ。

40周目、トップに立ったハミルトンは2位のアロンソとの差を4秒にまで広げていた。この周の終わりに、ライコネンがやっと1回目のタイヤ交換へ。この間、シューマッハがブレーキングで可夢偉をパスし、可夢偉がまたDRSを使って抜き返すといったバトルも見られた。

41周目を走り終えて、ペレスがようやく最初で最後のタイヤ交換へ。ライコネンの前でコース復帰に成功する。

45周目、シューマッハのDRSが開きっ放しで閉じなくなり、コーナーでコースアウト。ピットに戻って直そうとしたのだが直らず、そのままリタイヤとなった。トラブルに見舞われ、なかなか完走することができない史上最多世界チャンピオン。

50周目を走り終えた時、トップのハミルトンが2回目のタイヤ交換のためピットへ。右リア・タイヤの交換作業に少し手間取る。停止時間は約5秒。アロンソがこれよりも速い時間でピット作業を済ませることが出来れば、また順位が入れ替わる可能性が高くなる

だがアロンソは、ハミルトンに15秒の差を付けたにも拘わらず、ピットに入らない。温まったタイヤでペースを上げるハミルトン。アロンソより約1秒も速いラップタイムで周回を続ける。2位走行中のベッテルも、ピットにまだ向かう様子がない。2台はこのまま最後まで走り切るつもりか? と思うハミルトンは、ただ "プッシュ" して差を縮め、彼らのタイヤが消耗するのを待つしかない。



62周目、いよいよハミルトンがベッテルに追いつく。ストレートでDRSを使ってあっさりオーバーテイク。次の標的はアロンソだ。翌周の同じ場所で仕掛ける。が、アロンソは何とかこれをしのぐ。しかし64周目、ついにハミルトンはアロンソをかわして再びトップに立つ。アロンソとベッテルのタイヤはもう限界を超えているようだ。他車よりもラップタイムが2秒も遅い。ベッテルは今からでもタイヤを交換した方が得策と判断してピットへ向かう。対してコース上に留まったアロンソは、66周目にグロージャン、68周目にはペレスにも抜かれて4位にポジション・ダウン。

タイヤを換えたベッテルに、ピットが無線で「アロンソよりラップタイムが4秒も速い」と伝える。レースをあと1周残して、アロンソはとうとうベッテルにも掴まった。ヘアピンで抜いて行ったベッテルは4位に。アロンソは5位まで順位を落としてしまう。

そして70周のレースが終わってチェッカーフラッグ。予定通りの作戦を見事に遂行したハミルトンは今季(遅まきながら)初優勝。アロンソとベッテルが "落ちて来た" ことにより、タイヤ交換を1回で走り切ったグロージャンは2位に上がり、ペレスが3位を獲得、2度目の表彰台に上った。



同じように "1ストップ" 作戦を採った可夢偉だったが、途中で "2ストップ" のクルマに引っ掛かってしまい、結果は9位でフィニッシュ。それでもスタート時から2つ、ポジションを上げた。2人のドライバーで(今回も)作戦を分けたザウバー・チームだったが、可夢偉とペレスが逆のタイヤ選択をしていたら、表彰台に上がったのは可夢偉だったかも知れない。

なお、レースの最終的な結果順位は以下の通り。


優勝 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
2位 ロマン・グロージャン(ロータス・ルノー)
3位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
4位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
5位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
6位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
7位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
8位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
9位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
10位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
11位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
12位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
13位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
14位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
15位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ・フェラーリ)
16位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
17位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
18位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
19位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
20位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)

次戦は2週間後、スペイン・バレンシアで開催されるヨーロッパGP。日本時間では24日の午後9時に決勝レースがスタートする。果たして、8人目の優勝者は現れるだろうか!?

Gallery: 2012 F1 Canadian Grand Prix



Image Credit: Mark Thompson, Paul Gilham, Vladimir Rys/Getty | Luca Bruno/AP | Ryan Remiorz, Tom Boland, Jacques Boissinot, Paul Chiasson/AP/The Canadian Press | Sauber Motorsport AG

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