アウディ、気筒休止とV8ツインターボで環境性能と動力性能を両立した「S」モデルを発表!

Autoblog JP(オートブログ) / 2012年8月27日 14時0分

アウディ、気筒休止とV8ツインターボで環境性能と動力性能を両立した「S」モデルを発表!


アウディ ジャパンは27日、「A」で始まる通常モデルをベースに、強力なV型8気筒エンジンを搭載しつつ、環境性能や快適性にも配慮した「Sモデル」の新型4車種を発表。同日より販売を開始した。
今回発表された新型Sモデルは、「S6」「S6 アヴァント」「S7 スポーツバック」そして「S8」の4車種。それぞれ「S」を「A」に置き換えればベース・モデルが分かるはず。アウディ・ラインアップの中では、アッパーミドル・サルーン、そのワゴン・モデル、それをベースにした4ドア・クーペ、そしてフラッグシップ・サルーンという、4タイプの、それぞれ高性能版ということになる。



まずはアウディの「Sモデル」について簡単に説明しておこう。歴史を遡れば、その名前は1985年の世界ラリー選手権に投入されたグループBマシン「アウディ スポーツクワトロ S1」に辿り着く。2ドア・クーペ・ボディの「アウディ スポーツクワトロ」をベースに、拡大されたトレッドとそれを覆うエアインテークが開けられたオーバー・フェンダー、巨大な前後スポイラーなどで武装したボディは迫力十分。先日は缶コーヒーのおまけに付けられたミニカーにもなっているので御存知の方も多いだろう。当時は、アウディ自らラリーの世界でその優位性を実証したフルタイム4輪駆動もライバル達がこぞって採用し、しかもその多くはミドシップ・レイアウトを採用していたため、フロントにエンジンを積むスポーツクワトロ S1は世界ラリー選手権では苦戦したものの、アメリカに渡ってパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦すると、新記録を樹立して優勝。2年後の1987年にはその記録を更新して再び優勝している。



競技用マシンだった「スポーツクワトロ S1」とは別に、そのベースとなったスポーツ4WDロードカーの「アウディ クワトロ」(この頃はフルタイム4輪駆動システムを意味するだけでなく、それを搭載するスポーツ・モデルの名前だった)は、1990年に「S2 クーペ」へと発展。さらに翌年には「アウディ 100」をベースにした初代「S4」が登場する。以降、「S」の名前はアウディ高性能モデルの証として現在まで使われ続けている。

ところでアウディには「S」の他にもう一つ、「RS」というシリーズが存在することを御存知だろう。こらちはアウディの特殊な車両や特別注文による製作を受け持つクワトロ社が開発・製造を行う、さらにスポーツ性能を高めたモデル。だがこのRSでは「ホット過ぎる」「もっと日常の快適性を重視したい」という人たちも少なくない。そこで現在のSモデルは、充分以上の動力性能と日常走行における実用性や快適性、そしてアウディの言葉を借りれば「控え目なエレガンス」を統合したモデルとして、RSとは棲み分けがなされている。RSモデルが「セダンやワゴンの皮を被ったスポーツカー」であるのに対し、Sモデルは「スポーツカーに匹敵する性能を秘めたセダンやワゴン」であると言えるだろう。さらに今度の新型では、特に環境性能を高めているところがポイントだ。中でも最も注目すべき技術は「シリンダー・オンデマンド」と呼ばれる気筒休止システムである。



4ドア・クーペの「S7 スポーツバック」やワゴン・ボディの「S6 アヴァント」とともに、昨年のフランクフルト・モーターショーで発表された4代目「S6」は、先代の5.2リッターV型10気筒エンジンに替わって4リッター直噴V型8気筒ツインターボを採用。走行出力こそ435psから420psにドロップしたが、最大トルクは55.1kgmから56kgmに増強。しかもその発生回転数が、V10を積む先代の3,000〜4,000回転に対し、1,400〜5,300回転へとはるかにワイドになっている。

このV8エンジンは、高速巡航時など負荷が少ない状態のとき、具体的には回転数が960〜3,500rpmの間で3速より上のギアが選択されているとき、エンジンの両バンクに位置する2、3、5、8番シリンダーの吸気および排気バルブを閉じて、燃料噴射と点火を止めるという。つまり、V8のうち4つの気筒が爆発を止め、V4エンジンのように作動するというのだ(クランクシャフトによって駆動されるため、ピストンは作動を続けるので、本当に「休止」するわけではない)。このシステムにより、100km/h巡航時には10%以上の燃料消費量が削減できるそうだ。もちろん、この状態でドライバーがアクセルペダルを踏み込めば、停止していたシリンダーはすぐさま再び作動を開始。この4気筒モードから8気筒モードに切り替わるときに要する時間はわずか0.01~0.04秒だとか。



当然、8気筒が4気筒になれば騒音と振動が増える。そこでアウディの新型Sモデルでは、ヘッドライニングに内蔵したマイクによって車内に響くノイズを拾いその周波数帯を検出、それらの信号に基づき、その波形と同一で位相が180度逆になった3D超音波パターンをスピーカーから流すことでノイズを打ち消すという「ANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)」テクノロジーを採用。もはやオーディオ・システムは音楽を聴くためだけではなく、騒音を消すためにも用いられるのだ。

4気筒状態になったエンジンから発生する振動については、電磁振動コイル・アクチュエーターによって位相をずらした逆振動を発生させて相殺するという「アクティブ・エンジン・マウント」を装着することで解消することが出来るそうだ。

これらの騒音・振動対策と、シリンダー・オンデマンド・システムが円滑かつ迅速に切り替わることによって、ドライバーはディスプレイの表示を見なければ、8気筒から4気筒モードへいつ切り替わったのか、ほとんど気がつかないという。

このシリンダー・オンデマンド・システムは、トランスミッションが「Sモード」になっていたり、アウディ・ドライブセレクトが「ダイナミック・モード」にセットされている時にも作動する。また逆に、ドライバーのステアリング操作とアクセルペダル操作を監視するコントロール・ロジック・システムにより、例えば交差点やロータリーを大きく曲がっているときなど「変則的なパターン」と認識されたときには、シリンダーの作動停止は行われない。



その他にも、エンジン・スタート/ストップ・システムや「アウディ・ウルトラ」と呼ばれるアルミニウム・ハイブリッド構造の軽量なボディ、先代の6速ATから1段増え、しかもロスが少ないデュアル・クラッチ式となった7速AT「Sトロニック」などの組み合わせにより、JC08モードで9.6km/リッターという燃費を達成。4ドア・セダンの「S6」で0-100km/h加速4.6秒、そのワゴン・モデル「S6 アヴァント」やハッチバックを持つクーペ・ボディの「S7 スポーツバック」でも4.7秒という動力性能と、環境性能の高さを両立する。

スポーティな走りを支えるその他の技術に関しては、ベースとなったアウディ車と共通かまたはそれをチューンしたもの。「クワトロ」と呼ばれるフルタイム4WDシステムは、通常時には前輪40:後輪60という割合で駆動を配分。状況に応じてフロント側は最大80%、リア側には最大70%までトルクを伝達させることが出来る。さらにSモデルでは、後輪の駆動力配分を左右で無段階に変化させる「スポーツ・ディファレンシャル」を標準装備。アンダーステアやオーバーステアが発生する傾向を未然に防ぎ、高速コーナリング中の車両を安定させる。さらに、ショックアブソーバーの減衰力だけでなく車高も自動的に調整する「アダプティブ・エアサスペンション」は、標準よりも固められたスポーツ・タイプが採用される。



外観にはエアロパーツの類が追加装着されているわけでもなく、ベースとなったA6やA7 スポーツバックとあまり変わらない。むしろそこがSモデルの魅力とも言えるだろう。高性能を控え目に主張するのは、20インチ・ホイールとその影から覘く黒く塗られたロゴ入りブレーキ・キャリパー。セラミック・カーボンファイバー製のブレーキ・ディスクもオプションで選べる(けれど、価格は124万円もする)。LEDヘッドライトは、Sモデルではすべて標準となる。



ブラックで統一されたインテリアは外観以上にスポーティな雰囲気が強い。ダッシュボードやセンター・コンソール、ドア・ハンドル周りには、カーボンファイバーのデコラティブ・パネルが張られる。ダイヤモンドキルトが美しいSモデル専用本革スポーツシートはブラックの他に、ボディ・カラーに合わせてルナシルバーも用意されている(オプションではさらに16色の中から選べる)。




以上はS6、S6 アヴァント、S7 スポーツバックのすべてに共通。そして今回発表されたもう1台、S8についてもご紹介しておこう。



「4.0 TFSI」と呼ばれる4.0リッター直噴V型8気筒ツインターボ・エンジンを搭載することはS6と共通だが、最高出力は520ps、最大トルクは66.3kgにまで高められ、全長5,145kg、車両重量2,080kgという大柄な車体を停止状態から100km/hまで4.2秒で加速させる。初期型の「ランボルギーニ・ガヤルド」と同タイム、と言えばその速さが分かってもらえるだろうか。

もちろんこのS8用エンジンにもシリンダー・オンデマンド・システムは採用され、8速ティプトロニックATとの組み合わせにより9.6km/リッターという、「S6」や「S7 スポーツバック」と変わらないJC08モード燃費を達成したそうだ。



その他の技術に関しても「S6」ファミリーとほぼ共通。控え目なボディに巨大なホイール(こちらは21インチが標準)とブレーキが足元を引き締める外観も「S」の文法通り。内装ではスポーツよりもラグジュアリーな雰囲気が強められ、シートはより快適性を重視した「コンフォートスポーツシート」を採用。カラーもベルベットベージュやヌガーブラウンを含めた全5色が標準で用意される。



価格は、S6が1,180万円、S6 アヴァントが1,210万円、S7 スポーツバックが1,224万円、S8が1,580万円となっている(いずれも消費税込み)。ベースになったモデルと比べると、345万円(S6)〜409万円(S8)と、小型輸入車1台分以上も高い...なんて計算をする人には似合わないのかも知れない。スポーツ性能・快適性・環境性能の全てを高いレベルで満たし、それをことさら主張しない高性能車がお好みで、そのためにはそれなりの対価を支払うことが当然と考える方は、ぜひ以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。

Audi Japan : Sモデル


佐渡 裕氏指揮によるオーケストラ演奏や、先日のロンドン・オリンピックでは200mバタフライで銅メダル、400mメドレーリレーで銀メダルを獲得した松田丈志選手も登場した発表会の模様は、以下のギャラリーからどうぞ。

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