【SEMA2012】作り手の情熱が詰まった、新旧「フォード・マスタング」!

Autoblog JP(オートブログ) / 2012年11月14日 22時0分

【SEMA2012】作り手の情熱が詰まった、新旧「フォード・マスタング」!


11月2日までアメリカ・ラスベガスで開催されていたSEMAショーの出展車の中から、前回の「シボレー・カマロ」に続いてそのライバル「フォード・マスタング」をご紹介しよう。

まずは1960年代に、アメリカのフォードがあの有名なマルティニ・レーシングと組んでヨーロッパのレースに参戦していたら...という仮想のもとに製作された1台。
白地に赤と紺と水色のストライプを入れた「マルティニ・レーシング」のカラーリングを、モータースポーツに興味があるなら知らない人はいないだろう。

1960年代前半、フォードの重役達はヨーロッパに渡り、酒造メーカー「マルティニ・エ・ロッシ」のレーシング部門「マルティニ・レーシング」と会談を持つ。その目的とは、新型車「マスタング」のヨーロッパにおけるプロモーションのために、彼の地で開催されるモータースポーツに参戦すること。車両の製作はキャロル・シェルビーが行い、フォード・ワークスがチームの運営にあたる。そのメイン・スポンサーとして、ヨーロッパではモータースポーツを通じた宣伝活動に積極的なことで知られるマルティニに白羽の矢が立った、というわけだ。



そのような話は聞いたこともない、と訝る人も多いだろう。実はこれ、このマスタングを製作したカリフォルニアの「ピュア・ヴィジョン・デザイン」が考えた "仮想の歴史"。マルティニ・カラーを纏ったマスタングがヨーロッパのレース・シーンで活躍した、という事実はない。そもそもマルティニ・レーシングの創立は1968年。あの印象的なストライプが有名になったのは1970年代に入ってポルシェのスポンサーを務めるようになってからだろう。

そんなことはお構いなしに、彼らの空想は続く。
マスタングがデビューした1964年といえば、フォードはインディのために1気筒あたり4バルブのDOHCヘッドを持つV型8気筒エンジンを開発していたはず。ならばそのエンジンをマスタングに搭載して、ヨーロッパのレースやラリーでテストしてしまおう。



車体に関しては、同じフォードの「コーティナ」をベースに「ロータス・コーティナ」を製作したロータスの得意とする手法に倣った。すなわち、可能な限り軽量化することだ。ボディ・シェルとドアを除く外装パーツはバンパーも含めてすべてファイバーグラス(繊維強化プラスティック)で製作。1960年代の話だから、カーボンファイバーなんてものは使わない。リアとサイドのウインドウはプレクシガラスで置き換えられた。

競技に不要なものは全て剥ぎ取られたインテリアも、1960年代のラリーカーに準じた仕様に。当然リア・シートは外され、現代の目から見ればあまりに小さなバケット・シートを装着。ダッシュ・パネルにラリー用タイマーを搭載し、助手席の足元にはアルミ製フットレストが見える。ドアは小さな赤いストラップを引くことで開く。

当時、マスタングという名前はドイツではオートバイ・メーカーが商標登録していたため、「フォード T-5」という名前で販売されていた。それにシェルビーが手掛けたレース用モデルであることを示す「R」の文字を加えて「T-5R」と命名。白く塗られたボディのサイドとセンターに、あのマルティニ・ストライプを入れて完成だ。



上述のような「ストーリー」は仮想のものだが、ボンネット・フードの中には9,000rpmまで回る本物のインディ・カー用オール・アルミニウム製4カム300キュービック・インチ(約4.8リッター)V8が搭載されている。ストリート向けに現代的な燃料噴射装置を備え、3,000rpm~7,000rpmの間で300lb-ft(約41kgm)以上というフラット・トルクを実現しているという。最高出力は426馬力、最大トルクは50kgmに達する。トランスミッションにはCRレーシング製の軽量なNASCAR用4速マニュアルが組み合わされている。

前245/45R17、後295/40R17サイズのタイヤを履く4本スポークのホイールは1960年代のインディ・カー用を模したもの。サスペンションやブレーキなど、外から見えない箇所は最新パーツが投入されているそうだ。車両重量はわずか2,300ポンド(約1,043kg)に抑えられているという。

単に旧いクルマをレストアしたり、現代のパーツを組み合わせるだけでなく、その物語まで構築してしまったマルティニ・マスタング。クルマ好きの空想をそのまま実体化させたようなその姿を、以下のギャラリーでじっくりとご覧いただきたい。

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