【ジュネーブ2013】マクラーレン、フラッグシップ・スーパーカー「P1」の市販モデルを公開!

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年3月7日 17時20分

【ジュネーブ2013】マクラーレン、フラッグシップ・スーパーカー「P1」の市販モデルを公開!


マクラーレン・オートモーティブは、現在開催中のジュネーブ・モーターショーにおいて、限定販売されるフラッグシップ・スーパーカー「マクラーレン P1」を発表。先日お届けした事前情報に引き続き、現地から届いた写真とより詳細なスペックなどをご紹介しよう。

Gallery: McLaren P1: Geneva 2013 Photos


 

Gallery: McLaren P1


 
モータースポーツの最高峰カテゴリー、F1(フォーミュラ・ワン)で大きな成功を収めたマクラーレンが、市販スポーツカーの世界に進出したのは1990年代のこと。公道を走るスポーツカーとして考えられる理想の全てを妥協することなく形にした究極のロードカーは、その名もすばり「マクラーレン F1」と名付けられ、1993年から1998年の間に僅か64台(レース仕様車は除く)が製造された。当時の為替レートで1億円弱という価格や、371km/hを記録した最高速度は話題になったが、この価格でも造れば造るほど赤字になるという高コストで、しかもABSやトラクション・コントロールなどの電子制御デバイスなしに、636psのクルマを職業レーサーでもない一般のクルマ好き(そして大金持ち)に売ろうというビジネス・モデルは、成功したとは言いがたかった。



それから十数年、間にメルセデス・ベンツとのコラボレーションによるクルマ造りを請け負っていた時期もあったが、再び「マクラーレン」という名の市販スポーツカーを世に送り出すことにした彼らは、今度はぐっとお求めやすいプライスの製品を用意してきた。日本価格2,790万円の「MP4-12C」である。最高速度330km/h、最高出力600ps(現在では625psに引き上げられた)のこのクルマは十分以上に高性能なスポーツカーだが、しかしかつてのマクラーレン F1のような「究極のロードカー」とまでは言えない。だがこれは、市販車ビジネスの足場を固める戦略だったようだ。MP4-12Cが発表されてから3年半ほど経った今、彼らが胸を張って「マクラーレン F1の後継モデルである」と言うフラッグシップ・モデルが登場した。それが今年のジュネーブ・モーターショーで公開された「マクラーレン P1」である。



かつてF1最強チームの代表を務め、現在はマクラーレン・オートモーティブ会長であるロン・デニス氏は、次のように言う。

「1981年、マクラーレンはフォーミュラ・ワンの世界に初めて、カーボンファイバー製シャシーを採用するMP4/1を投入しました。また、世界で初めてカーボン・ボディのロードカーを造ったのも、我々マクラーレンです」

この言葉、F1と同じ製法によるカーボンファイバー製モノコックを喧伝する限定スーパーカー「ラ・フェラーリ」を同じ日にデビューさせた、イタリアの名門を牽制するかのようだ。

そしてデニス氏はこう続ける。

「我々は常に、ビークル・エアロダイナミクスの最先端にいました。その全ての経験を注ぎ込んで開発されたモデルが、新しいマクラーレン P1です。20年前、我々はマクラーレン F1によってスーパーカー・パフォーマンスというものの基準を引き上げました。マクラーレン P1で、今もう一度、我々はそれを再定義します」



"エンジン屋" ではないマクラーレンが、レース・フィールドで最も得意とする分野は、やはりエアロダイナミクス。P1はロードカーとしては類を見ないほど強大なダウンフォースが得られる設計となっており、そのレベルはGT3カテゴリーのレースカー並み、グランド・エフェクトも入れるとそれ以上になるという。

2008年のF1チャンピオン・マシン「MP4-23」と同じ形状のエンドプレートを採用したというリア・ウイングは可変式で、公道では120mm、サーキット走行時には最大300mm、ボディからせり上がる。ハイドロ・ニューマティック・サスペンション「RCC(レースアクティブ・シャシー・コントロール)システム」を採用することでライド・ハイト(車高)も上下させることが可能であり、レース・モードではグランド・エフェクトを最大限に利用するため、50mmダウンするという。スプリング・レート、ロール・コントロール、ピッチ・コントロール、ダンピングなどの数値も走行状況によって可変し、レース・モード時にはスプリング・レートが300%固くなり、コーナリング時には2G以上の重力加速度が発生するそうだ。いよいよスーパーカーは、加速タイム・最高速度だけでなく、コーナリングの横Gまで競い合う時代になった。

F1マシンと同じ風洞を使ったテストやCFD(数値流体力学)によるモデリングを駆使して最適化されたというP1のエアロダイナミクスは、レース・モードで走行中にスピードが257km/hに達すると、最大600kgものダウンフォースが発生するという。これは現在販売されている他のあらゆるスーパーカーを上回る数値だそうだ。



カーボンファイバー製の「モノケージ」と名付けられたモノコックは、ルーフとそこに設けられたエア・インテークまで含めて一体構造となっており、このスタイルはマクラーレン F1からインスパイアされたとか。MP4-12CではSMC(シート・モールディング・コンパウンド)が主に使われていたボディ外板も、P1は強靱なカーボン複合素材で造られている。

パワートレインは先日もご紹介した通り、排気量3.8リッターのV型8気筒ツイン・ターボ・エンジンと、1個の電気モーターを組み合わせたハイブリッド。合計で最高出力916psと最大トルク91.8kgmを発揮するだけでなく、CO2排出量は200g/km以下を達成したという。これは10年ほど前なら2.0リッター・クラスのクルマと同等の数値だ。ライバルのラ・フェラーリと異なり、マクラーレン P1は電気の力のみで10km以上の距離を走行可能。モーターはエンジンに直接マウントされシームレスに連動しながら、7速デュアルクラッチ式トランスミッションを介して後輪を駆動する。0-100km/h加速は3秒以下、最高速度は350km/hでリミッターが作動するという。



その他、P1にはF1マシンのKERSを応用したIPAS(インスタント・パワー・アシスト・システム)や、一時的に空気抵抗を減らすDRS(ドラッグ・リダクション・システム)など、レース・フィールドで培われた様々な技術が採用されているという。直線走行時にはボタンを押すことでこの両システムが作動し、パワーと速度を一時的に向上させることが出来る。カーボン・セラミック・ブレーキもF1でパートナーを組む日本の曙ブレーキ工業製だ。

前19インチ、後20インチの10スポーク・ホイールは高強度アルミニウム合金製。軍事技術から応用されたこの素材が市販車のホイールに使われるのはこれが初めてだそうだ。シルバーの他に「ステルス」と呼ばれるマットなダークグレー仕上げも選べる。タイヤはこのクルマのために専用開発されたピレリ Pゼロ コルサ。フロントが245/35ZR19、リアは315/30ZR20で、これ以外のサイズは用意されない。



最後に「P1」という名前だが、これは "first place" または "position one" を意味するそうで、マクラーレンが47年にわたるF1グランプリ参戦において、現在までに挙げた182度の優勝および155回のポール・ポジション獲得に因んだものだそうだ。さらにかつてのスーパーカー、マクラーレン F1が、社内では「P1」、つまり「プロジェクト1」と呼ばれていたことから、そのコードネームを受け継いだという意味もあるという。

価格は86万8,000ポンド(約1億2,200万円)から。375台の限定生産となる。ギャラリーにはジュネーブから届いた写真と公式画像をご用意したほか、発表会の様子を収録した公式ビデオもご紹介しておくので、是非ご覧いただきたい。


  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
Autoblog JP

トピックスRSS

ランキング