【試乗記】「カローラより断然イイ! 楽しい!」 マツダの新型「アクセラ」に乗る

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年8月17日 16時0分

【試乗記】「カローラより断然イイ! 楽しい!」 マツダの新型「アクセラ」に乗る


Gallery: 2014 Mazda3: First Drive Photos


筆者はトヨタ「カローラ」が嫌いだ。といっても新型モデルのことではない。新型にはまだ乗っていないので、評価することができない。私が言っているのは、現行モデルの極めて古いセダンのことだ。家電製品として見るなら、人々がこの車を買う理由も理解できる。しかし、車好きの筆者には、この車のすべてが気に食わない。見た目も好きでなければ、助手席に座るのも嫌だし、何と言っても運転がまったく楽しくない。カローラには感動できる要素が1つもないのだ。Cセグメントの車はどれもカローラよりよっぽどいい車なのに、どういうわけか、米ではカローラが飛ぶように売れている。
ありがたいことに、筆者の意見に同意してくれる人々はたくさんいる。そんな我々のために存在するのがマツダのような会社だ。この小さな日本の自動車メーカーは、走りの感動とクルマとの一体感を最優先にし、新モデルの開発を行っている。そのほとんどが見事な仕上がりで、特に最近の新型クロスオーバー「CX-5」や新型「マツダ6」(日本名:アテンザ)、そして小型オープンカーの先駆けとなった「MX-5Miata(日本名:ロードスター)」といったすばらしい車を生み出している。

マツダの製品は車好きから高い評価を得ているにも関わらず、それが販売台数に結びついていないのが残念だ。とはいっても、その原因は主に同社の宣伝力の弱さと、ディーラーのネットワークの構築不足にある。マツダは何よりも走る楽しさを追求した車を造り続けており、ゆっくりだが着実に改良やインフォテインメント技術の充実に万全な準備を整えてきている。この新型「マツダ3(日本名:アクセラ)」には、新開発の Skyactivパワートレインが搭載され、競争の激しいCセグメントにおいて、ライバル車に対抗できる装備や技術が盛り込まれている。



新型マツダ3は、SKAYACTIV技術の多くをCX-5やマツダ6と共有しているため、この2台と明らかに似ている。しかし、それは悪いことではない。マツダの「魂動(こどう)」デザインが採用され、その特徴的なスタイリングによって魅力的なボディに生まれ変わった。デザインはマツダ6とよく似ており、マツダ3のセダンの場合はそれが顕著だが、マツダ6よりコンパクトになっているのが分かる。

外観は、フロントグリルが縦に伸びて大きくなり、アグレッシブなスタイリングをより際立たせている。魂動デザインの特徴である、シグネチャーウイングが低くなったグリルの輪郭を縁取るように下側から左右の切れ長のヘッドランプへとつながっており、上位モデルにはLEDのデイタイムランニングランプが搭載される。サイドには、目を引くホイールアーチから、深く刻まれたキャラクターラインがボディ中央に向かって流れ、リアエンドに向かって徐々に消えていく。

筆者はセダンよりもハッチバックのスタイリングを好んでいるが、新型マツダ3の5ドアには、奇妙な特徴がいくつかある。まず、魂動デザインを採用してキャビンが後方に移動されたため、見た目の重心がリヤホイールに置かれてしまっている。シューティングブレークのような外観をしているのは構わないのだが、そのせいでフロントオーバーハングの大きさが目立ってしまっている。ホイールは、この写真にある「s Grand Touring」のテストカーのように、18インチのアロイホイールならば見た目は申し分ない。しかし、それよりも小さい16インチのホイールだと、フェンダーが膨らんで見えてしまう。この問題は、17インチと19インチのホイールを用意していたCX-5と同じだ。マツダ3では中間サイズとなる17インチのホイールがオプションで用意されていない。




新型は、先代モデルに比べ、全長が2インチ(約51mm)ほど短くなっているが、ホイールベースは2.4インチ(約61mm)長くなっている。全幅は1.6インチ(約41mm)広がり、全高は0.5インチ(約13mm)ほど低くなった。全体的に見て、今回のサイズやデザインの変更は、功を奏していると言える。筆者は先代モデルの笑ったようなフロントマスクは決して好きになれなかったのだが、この新型はスポーティでスタイリッシュに仕上がっていて、とても魅力的だ。

新型マツダ3は4ドアセダンと5ドアハッチバックが用意され、北米では2.0リッターと2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジン、「SKYACTIV-G 2.0」と「SKYACTIV-G 2.5」から選ぶことができる。エントリーモデルとなる「i-SV」はセダンのみの展開だが、その他のモデルはセダンとハッチバックの両方が用意されている。値段は「i-SV」(6速マニュアル)で16,945ドル(約165万円)からとなっている。

他国で用意されている2.2リッター・ディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」が、北米に導入されるかは現在検討中で、マツダはその判断を下す前に、マツダ6の北米での売れ行きを観察しているそうだ。マツダは次世代マツダスピード3(日本名:マツダスピードアクセラ)の存在について正式に発表していないが、開発中であることはきっと間違いない。以前、ご紹介したレンダリング画像のようにクールな仕上がりが期待できるだろう。



北米向けの "i"モデルに搭載される2.0リッター・ガソリン「SKYACTIV-G 2.0」は、2012年モデルのマツダ3に初めて採用され、その後登場したCX-5クロスオーバーにも採用された。最高出力は先代モデルと変わらず155hpだが、最大トルクは20.7kgmと0.3kgmほどパワーアップしている。トランスミッションは6速のATとMTから選べる。燃費性能に優れ、米国環境保護庁(EPA)が最近発表したところによると、2.0リッターのハッチバックは市街地で12.75km/ℓ、高速道路では17.00 km/ℓで、さらに6速MTと組み合わせると市街地で12.33 km/ℓを達成するとしている。

筆者は短時間だが、2.0リッター・ガソリンエンジンを搭載した「i Grand Touring」モデルに試乗したのだが、まさに期待通りだった。先代モデルと同じ2.0リッターのエンジンは、低回転域からの加速はそれほどではないが、ハンドリングが文句なくすばらしかった。16インチのホイールの場合、コーナーでは軟らかく感じられ、アンダーステアが出る傾向は強いが、他のCセグメント車より運転が楽しいことは間違いない。

今回の試乗で一番長く乗ったのが、フル装備の「s Grand Touring」モデルだ。"s"モデルにはすべて新開発の2.5リッター・ガソリン「SKYACTIV-G 2.5」が搭載されている。排気量は先代モデルの2.5リッター(MZR型)と変わらないものの、最高出力は167hpから184hpに、最大トルクは23.2kgmから25.6kgmにパワーアップしており、燃費は6速ATとの組み合わせだと、MZR型の市街地9.3km/ℓ、高速道路12.3 km/ℓに対し、市街地11.9 km/ℓ、高速道路15.7 km/ℓまでアップしているという。これは、エンジン構造の効率化と、13.0:1という高圧縮比によるものだ。また、ハッチバックでは45kgほど軽量化されており、それも燃費に一役かっているという。

2.5リッターのガソリンエンジンを搭載するモデルは、オプションでエネルギー回生システム「i-ELOOP」を搭載することも可能だ。マツダによれば、2.5リッターのエンジンと6速AT、i-ELOOPを組み合わせた場合、燃費性能は市街地11.9 km/ℓ、高速道路15.7 km/ℓから、市街地12.3 km/ℓ、高速道路16.6km/ℓになるそうだ。



2.0リッターのガソリンエンジンもパワーはあるが、2.5リッターのほうが運転を楽しめるだろう。パワーを感じたいなら、回転数を2500rpm以上まで上げなければならないが、このエンジンはすぐに回転が上がってくれる。さらに4000~6000rpmの高回転域で一日中ドライビングを楽しむことも可能だ。テールパイプからから聞こえてくるエキゾーストはそれほど大きくないが、他のCセグメント車で多くみられるような息苦しそうな4気筒のエンジン音に比べて、もっとしっかりとしたサウンドがキャビンに聞こえてくる。

マツダは2.5リッターエンジンにゆくゆくは6速MTも用意するつもりらしく、そうなれば、CX-5やマツダ6でも2.5リッターとMTの組み合わせが可能となるだろう。私は2.0リッターエンジンを積んだモデルでMTを試してみたが、シフト操作は滑らかだった。マツダのMTは最高にいいということを正直に認めなければならない。

だからと言ってATを否定しているわけではない。クリープ走行が行えるよう従来のトルクコンバーター式を採用しているが、その使用感はどこにでもあるATというより、デュアルクラッチの感覚に非常に近い。「SKYACTIV-Drive」と呼ばれる6速ATで、ステアリングホイールにパドルシフトが搭載されている。攻めの運転をしたければ、このパドルシフトの使用を強く勧める。デュアルクラッチのようなクイックなレスポンスなので、運転していて本当に楽しい。それに、スポーツモード(sモデルのみに搭載)と呼ばれる、シフトの自動変速を防ぐ機能も気に入った。曲がりくねった長い道を走行したとき、私がアップシフトをするだろうと予想した場所でもギアを3速で維持していた。そしてドライバーが要求すれば、最大回転数の6500rpmでギアを保ってくれる。急こう配の激しい道ではパドルシフトを使った方がいいだろう。ともあれ、このATはよく調整されており、ドライビングを楽しみたい人にとっては最適だ。




電動パワーステアリングほどドライバーを困らせるものはないが、マツダはこの点をよく分かっている。マツダ6やCX-5で我々が指摘したすばらしいステアリングは、このマツダ3にも引き継がれており、高速域で左右に激しく切ってみたらステアリングに最適な重みが感じられ、低速域では安定感と軽快感があった。

上位グレードの18インチホイールに215/45サイズのダンロップ SP Sport 5000を装着して、でこぼこの舗装道路を走ると、サスペンションから大きな振動が伝わってきたが不快ではなかった。しかし18インチのホイールを堪能する前に、(試乗地である)デトロイトのひび割れた道路で試した16インチのホイールは、正直気分が悪くなる走りだった。

ドライビングに走る喜びを求めるのなら、私はマツダ3を自信を持っておすすめする。このセグメントには手軽に運転を楽しめる車も多いが、それがいい車だとは限らない。一方、マツダは乗った時に満面の笑みにさせてくれる車だ。その理由は、どんなにハードに使っても大丈夫な車だからだ。間違いなく、Cセグメントにおいてドライビングに最適な1台といえる。

不満があるとすれば、Cd値がハッチバックは0.275、セダンはさらに上の0.255にも関わらず、キャビンに風切り音が大量に入ってくることだ。マツダが今回提供した車は初期に生産されたサンプル的なモデルで、細部はすべて本格的な市販モデルの前の段階なので、風切り音の問題は市販モデルでは解決されているだろう。しかし、マツダの他のモデルを参考にするなら、シボレー「クルーズ」のように静かなモデルにはならないかもしれない。




さらに残念だったのが、今回試乗したテストカーには室内装備がわずかしか搭載されていなかったことだ。センターコンソールの7インチのタッチスク リーンには、新しいインフォテインメント・システムが使われていたが、実際には機能していなかった。また上位グレード向けのアクティブ・ドライビング・ディ スプレイの表示がステアリングホイールとフロントガラスの間にある、小さな透明プラスチックのパネルに映しだされていたのだが、画面上でインフォテインメ ント・システムを操作できないため、デジタル数値の表示位置を調整することができず、ものすごく無理な位置まで前かがみにならないと、数値を読むことがで きなかった。それらの機能はすべて問題ないように見えるが、判断を下すには、もう数ヵ月待たなければならない。

最後に、このテストカーの パネルに若干のずれがあったからといって、マツダ3を非難するつもりはない。全体としてみれば、新しいインテリアには現行モデルよりも確かな改善が見られ る。余計なスイッチのない簡素なダッシュボードはスタイリッシュで評価できるし、セパレートスタイルのタッチスクリーンは洗練された印象だ。あいかわらず 内装の大部分にピアノブラックのプラスチックを使用しているが、このテストカーにはカーボンファイバー風のトリムがあしらわれ、高級感が出ている。そのほ か、s Grand Touringモデルのテストカーのシートはホールド力があり、2色のレザーを使用するなど、材質がよくなっているのが確認できた。

しかしながら、流線型のデザインのため、キャビンに十分なスペースがなく、トランクの容量は最大47.1立方フィート(約1334リットル)と、Cセグメン トのライバル車(Bセグメントの数モデルにも)に劣っている。だが、フォード「フォーカス」5ドアハッチバックの44.8立方フィート(約1269リット ル)よりは広い。



マツダはこれまでと同様に、たくさんのオプション装備を新型マツダ3に用意しているが、どれも他のコンパクトクラスに搭載されている装備である。カーナビや、Bluetooth、バイキセノン・ヘッドランプ、 ヒート機能付き本革シート、インフォテイメントシステム一式のほか、前方衝突警報(FOW)や車線逸脱警報システム(LDWS)、ブラインド・スポット・モニタリングシステム(BSM)、さらに先進安全技術であるスマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)が用意されている。すべてのオプションを装備したら、一体いくらになるのか興味深い。

しかし、マツダ3がいい車だからと言って、新たな買い手を呼び込めるかどうかはまた別の問題だ。Cセグメント全体をみても、最近は優秀な車が出ており、それらの車は快適さや静かな走り、買い手が本当に求める機能などを充実させている。こうして人々は丈夫で評判がいいからと、カローラや、ホンダ「シビック」、フォーカス、クルーズといった車を買うのだ。

このセグメントで車を購入する多くの人々が、感情的な結びつきと切り離して、イメージだけで車を選んでいるのが本当に残念だ。車好きにとって、このマツダ3こそ本当の勝者なのだ。そのことを多くの人に気づいてほしい。

【基本情報】
エンジン:2.5リッター直列4気筒
パワー:最高出力184hp/最大トルク25.6kgm
トランスミッション:6速AT
最高速:155mph(約209km/h)
駆動方式:前輪駆動
車体重量:1,362kg
座席数:2+3
荷室容量:1334ℓ〔最大〕
燃費:市街地29mpg(約12.3km/ℓ)、高速道路39mpg(約16.6km/ℓ)〔推定〕
メーカー希望小売価格:未定

By Steven J. Ewing
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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