【球数制限を考える】「世代」で考えるべき「健康障害」

ベースボールキング / 2019年5月22日 17時0分

群馬県館林市の慶友整形外科病院、整形外科部長・慶友スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、トミー・ジョン手術なども手掛ける日本を代表するスポーツドクターだ。早くから野球少年の健康被害について警鐘を鳴らし、群馬県内を中心に大規模な検診や講演会を行ってきた。その席上で「球数制限」の必要性について訴えかけてきた。
さらには、この春から少年硬式野球チームの「館林慶友ポニーリーグ」を立ち上げた。医師としてだけでなく、指導者としても野球の改革に取り組む古島医師に話を聞いた。




「世代」で考えるべき「健康障害」


「球数制限」は、高校生だけの問題ではありません。
小学校、中学校、高校と「世代」で考えていく必要があります。成長の過程で「投げすぎ」がどんな負荷、負担がかかっているのかを細かく見ていかなければなりません。

小学生の段階では、未熟な骨で、ボールを投げることでどんな負担がかかっているかもわからない。中学では、中1から中3まで成長過程もバラバラですし、自分の体の大きさが変化するときに、無制限に投げていいものかどうかも考えないといけない

日本人の場合、高校生になると、だんだん大人の体になってきて、そこそこ投げても壊れない子もいれば、未熟な子もいる。それを一緒くたにはできない。どこで区切るかも難しい話です。

「球数制限」によって、医療の側が求めるのは「障害の数を減らす」ということです。障害の数が多くなれば、中には重症になって手術をしなければいけない子がでてきます。「障害の数」が減ることで、重症の子も少なくなります。

「何のために野球をやっているのか」を考える


極論を言えば、小、中、高の各段階で、過度な投球を抑制し、適正な指導を行っていれば、肩やひじを痛めることなく、ずっと競技生活を続けることができるはずです。どこかで投げすぎているから障害が起こるわけです。

肩やひじを壊した投手には、必ず「あのとき投げすぎたから」という心あたりがあるはずです。

肘の靱帯は一度損傷してしまうと、なかなか修復できません。傷ついているのになおも同じ動作を繰り返すと、積み重ねでどんどん悪化していきます。

高校時代に球数を投げすぎた選手が、その後活躍できなくなるのは、そういう理屈です。投げすぎたことによって傷ついた、痛めた。なのに、その先でなおも同じようにたくさん投げたら痛みが早く出たりするから、選手寿命に影響するわけです。

だから指導者は、投手がケガをしないように守ってあげないといけないのです。ケガをしなければもっと先で活躍できる子を、投げさせ過ぎによるケガで野球を断念させるのは、その子の人生を奪っているようなものです。
もし子供が将来、野球選手として活躍したいのなら、小さいころに必要なことは「速い球を投げる」ことでも「大会を勝ち抜くこと」でもありません。とにかく「ケガをしないこと」ですね。それがキーポイントです。

後編に続きます。

(取材・写真:広尾晃)

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