「睡眠薬」で急性中毒にさせた教員が書類送検 「眠らせただけ」ならどうなる?

弁護士ドットコムニュース / 2013年11月29日 11時15分

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睡眠薬の入ったシュークリームを同僚の女性教諭に食べさせ、急性薬物中毒に陥らせた――。そんな容疑で、大阪市内の小学校に勤める女性講師が書類送検された。被害者の教諭は一時意識不明になって、9日間入院したという。

報道によると、女性講師は容疑を認め、「邪魔で仕方なかった。かわいげがなくて、学校からいなくなればいいと思った」などと供述しているという。また以前から、被害にあった教諭だけが、卒業式や入学式などで突然、原因不明の眠気や体調不良を訴える不可解な出来事が起きていたと、報じられている。

今回の事件で、睡眠薬を飲ませて重篤な症状にさせたことは「傷害罪」にあたるのだという。では、もし、睡眠薬でしばらくの間、眠らせたというだけでも、傷害罪は成立するのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●他人を薬で眠らせることは「傷害」にあたる

「傷害罪でいう『傷害』の概念については、実は法律家の間でも見解が分かれているところなのですが、一般的には、『身体の生理機能への侵害』を意味するとされています」

何が「傷害」になるかの線引きは、それだけ難しいということだろう。それでは、単に眠らせることはどうなのだろうか。尾崎弁護士は次のように述べる。

「睡眠は一見、身体の生理機能としては正常といえそうです。しかしながら、この場合、睡眠薬の薬理作用により睡眠という結果を導き出したのですから、生理機能への働きかけがあったとして、傷害罪に該当すると考えられます」

●傷害罪は対象の範囲も刑罰の範囲も幅広い

一方で、相手に大けがをさせても「傷害」、眠らせても「傷害」というのは、幅が広すぎる気もするが……?

「『眠らせたに過ぎない』のであれば、『生理機能への侵害は軽微である』として、この程度ならば傷害に当たらないという考え方もあり得ます。

しかし、傷害罪の法定刑は『15年以下の懲役または50万円以下の罰金』と、非常に幅が広く定められています。

この点にかんがみると、傷害の内容も幅広くとらえ、程度が軽微であっても『生理機能への侵害』に該当すれば傷害になる、と見るのが妥当であると考えられます」

尾崎弁護士はこのように述べ、睡眠薬で他人を眠らせただけでも、傷害罪にあたる可能性を指摘していた。

法律を離れて考えても、飲食物にこっそり睡眠薬を混ぜられることの悪影響は計り知れない。いくら他人が気にくわなくても、そんなことは決してしないでもらいたい。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員

事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/

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