客室乗務員、客から「盗撮被害」が6割 逆上やクレーム恐れ、泣き寝入りが多数

弁護士ドットコムニュース / 2019年8月18日 9時32分

日本経済新聞(2012年10月12日)によると、警察は目撃情報から盗撮があった時刻を推定。航路の分析から兵庫県上空を飛行中だったとみて同県の条例を適用したが、盗撮があった時刻を裏付ける証拠が不十分だったという。

公共の場所での盗撮行為を禁止する「迷惑防止条例」は、都道府県ごとに定められており、どの地域で盗撮行為がされたか特定できないかぎり処罰することができない。

盗撮規制に詳しい鐘ケ江啓司弁護士は「航空機のように高速で移動している乗り物では、時刻や場所が特定できず立件が困難な事例もあります。ただ、どの都道府県でも下着盗撮は迷惑防止条例違反になりますので、航空会社は警察と連携して積極的に立件していくべきです」と話す。

「2012年の事例は、報道によると、ボールペン型カメラで盗撮がなされたようですが、盗撮が目撃された時に実際に時計を見ていた乗客がおらず、時刻が特定できなかったようです。撮影時刻が記録されていれば、処罰は可能だったでしょう」

●航空法に「盗撮禁止」明文化を

また、航空法は、安全運航を阻害する行為や乗務員の業務を妨げる行為など8行為を禁止している(航空法73条の4、航空法施行規則164条の16)。禁止命令に従わなかった場合には、50万以下の罰金が科せられる(航空法第150条)。

しかし、禁止対象の行為として、機内の盗撮行為が明確に示されているわけではない。アンケートでも、対処できなかった理由として「はっきりと断っていい理由、お客様に納得してもらえる説明ができる自信がなかった」と話す客室乗務員がいた。

今後、事業者団体が盗撮や無断撮影の禁止についてポスターで啓発すると同時に、航空連合としても機内迷惑行為防止法のなかで盗撮禁止を明文化するよう求めていくという。

鐘ケ江弁護士は「航空法で、機内における下着等の盗撮行為を規制することは望ましい」と話す。条例の適用範囲の問題がなくなる上、客室乗務員が盗撮行為を拒否できる根拠になるという理由からだ。

「盗撮行為は、被写体のプライバシーを侵害する卑劣な行為です。画像が拡散した場合には原状回復が不可能な損害を生じさせます。一番重要なことは、航空会社が乗客の迷惑行為に対して毅然とした態度をとり、客室乗務員を守ることだと思います」

●条例で盗撮行為を規制「問題がある」

盗撮行為を禁止する「迷惑防止条例」を巡っては、規制場所を「公共の場所、または公共の乗り物」に限定する自治体もあれば、東京都のように住居や学校、事務所やタクシー、カラオケの個室なども規制の対象としているところがあり、各都道府県で条例の対象範囲にばらつきがあることも指摘されている。

鐘ケ江弁護士も「条例で盗撮行為を規制しているという現状には問題がある」と指摘する。

「カメラの高性能化、小型化が進む中、公共の場所だけでなく私的空間も含めた規制の必要性は高まっています。現在は条例で規制がなされているわけですが、盗撮は地域的格差がある問題ではなく、立法で全国一律に定めるべきことです」

一方で、規制は同時に制約にもなり得ると懸念する。

「自宅における行動の自由、施設管理権、取材の自由や報道の自由、その他私生活上の行動の自由等に対する制約になりえます。いかなる盗撮行為を刑事罰でもって規制すべきか、十分議論の上国会で立法化されるべきだと思います」

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