やっちゃった! 社用車で交通事故…会社は「賠償は全部自分で」と非情な通告

弁護士ドットコムニュース / 2019年8月18日 9時25分

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業務中に交通事故を起こしてしまった人が、会社から「相手方への賠償は全部自分で処理し、支払え。修理費も請求する」と要求されていると弁護士ドットコムに質問を寄せた。

相談者は、業務中に会社の所有車で交通事故を起こしてしまった。「当方が加害者」と認識している事故だ。しかし会社からの反応は思いがけないものだった。

「事故に関して会社及び、会社が契約している保険会社は関与しない。相手方への賠償等は全て自分で処理し、支払え。社内で発生した車両の修理費や、それに伴って発生した不利益も、退社後請求する」と請求してきたのだ。

男性は間もなく退社することが決まっていた。今回の事故の詳細は不明だが、もし事故理由が相談者に問題があった場合でも、会社がすべての責任を放棄することは可能なのか。上野一成弁護士に聞いた。

●原則として「連帯して損害賠償責任」

「民法715条には『使用者責任』という定めがあります。会社は、従業員が業務上のミスで第三者に損害を与えてしまった場合、直接的な加害者ではない会社も、原則として、連帯して損害賠償責任を負います。

なぜこのような制度があるかといえば、会社は自分の業務のために従業員を用いることによって事業活動上の利益をあげている以上、従業員による事業活動の危険も負担すべきであるという『報償責任の原理』という考えに基づきます。

そのため、業務中に会社の自動車で交通事故を起こした場合、従業員に事故の原因があっ たとしても、『使用者責任』がある会社は、相手方への賠償を免れることは困難です」

会社は、相談者に賠償金や修理費の支払いを求めているようです。相談者が全部、負担しなくてはいけないのでしょうか。

「会社が負担した相手方への賠償金や車両の修理費などの会社固有の損害について、従業員に請求できるかという論点があります。従業員は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度においてのみ、 責任を負います。

裁判例でも、通常レベルの注意義務違反によって生じた損害は会社が負担すべきとされてい ます。従業員に重大な過失があった場合でも、従業員に請求できるのは4分の1や2分の1等に限定しています。

ただし、飲酒運転のような重大な違反や、故意に事故を起こしたような悪質なケースでは 、100%認める場合もあり得ると思います」

【取材協力弁護士】
上野 一成(うえの・かずなり)弁護士
労働事件では過去に使用者(会社)側を多く取り扱った経験から、使用者側の強い点も弱い点も把握している。平成29年10月には、大手スポーツクラブの支店長が名ばかり管理職にあたり残業代を支払う義務があるとする判決を獲得した。
事務所名:ウカイ&パートナーズ法律事務所
事務所URL:https://www.ukai-law.com/

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