政府が「氷河期世代」限定で求人募集、年齢制限を禁じた法律に触れないの?

弁護士ドットコムニュース / 2019年9月8日 9時46分

写真

関連画像

就職氷河期世代の雇用対策が進められています。この世代は1993年から2004年ごろに大学や高校を卒業したものの、不況のあおりを受けたため、非正規雇用が多いと言われています。政府が6月にまとめた「骨太の方針」には、3年にわたる氷河期世代の就労支援計画が盛り込まれ、正規雇用を増やしていく考えです。

NHKによると、厚労省は、求人の際に年齢制限を設けることを禁止した法律の運用を緩和し、ハローワークに限って、氷河期世代に限定した求人を認めるそうです。具体的には、正社員として雇用された経験がない人や安定的に雇用された経験がない人を採用することを前提に、求人票の対象を「35歳から54歳まで」と記載することが可能になると報じています。

日本では2007年、雇用対策法を改正し年齢制限の禁止を義務づけています。年齢に関わりなく、雇用の機会を平等に与えるためです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/topics/tp070831-1.html

そのため、ネットではこうした求人を歓迎する一方で、「氷河期世代限定の求人募集」は違法なのではないかという指摘がされていました。現在の法律上、氷河期世代に限った求人募集は可能なのでしょうか。労働問題にくわしい笠置裕亮弁護士に聞きました。

●バブル崩壊でリストラされた中高年の再就職が社会問題、法改正へ

現在の法律上、年齢制限のある求人募集は可能なのでしょうか?   「アメリカやEUにおいては、雇用における年齢差別禁止規制が導入され、比較的厳格に運用されています。ところが日本では伝統的に、年齢による雇用の差別的取扱いは、禁止されるべき対象とは考えられてこなかったという歴史があります。

そのため、1990年代までは、多くの企業において、応募対象者を40歳未満に限定するなどといった年齢差別がまかりとおっていました。

このような状況は、バブル崩壊に伴い一変します。各企業において、中高年社員に対するリストラが進む中で、退職を余儀なくされた中高年社員が、前述の応募年齢の壁に阻まれることになり、大きな社会問題となりました。

そこで、2001年の改正雇用対策法では、労働者の募集や採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与える努力義務が規定され、2007年改正以降、『事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない』という、募集・採用に関する年齢差別禁止規定が定められるようになりました(現行法9条)」

●一定の条件を満たせば雇用対策法9条に抵触しない

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング