蛇行運転、トラック前で急減速…「あおり行為」を威力業務妨害で立件できるのか?

弁護士ドットコムニュース / 2019年9月30日 10時5分

――あおり運転の法規制はどうすべきか?

危険な行為は、法律によって明確に禁止して、相当の刑罰を設けることによって、抑止力が高まります。

現行法には、あおり運転行為自体を禁止する法律はありません。また、刑罰の観点からみても、これまで適用されてきた車間距離保持義務違反の罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金にとどまります。

一方、危険運転致死傷罪が適用されれば、傷害の場合15年以下の懲役、死亡の場合1年以上 20年以下の懲役ですから、刑罰としては重いものとなります。しかし、危険運転致死傷罪は、対象行為が限定されており、傷害や死亡の結果が発生した場合に限って適用されますので、適用範囲は非常に狭くなります。

したがって、あおり運転行為自体を直接禁止して、十分な刑罰を設けて抑止力を高めることが必要だと考えます。

立法に向けた動きとしては、自民党が今年8月、道路交通法の改正や新規立法で、あおり運転行為を処罰する規定を新たに設ける方向で検討する意向を示して、警察庁も9月、同様の意向を示しています。

立法段階では、犯罪の構成要件をどのように設定すべきか、また処罰対象のあおり行為をどこまで明確に絞るのかが課題となります。

抽象的な文言にとどめれば、それだけ多くの危険な行為を取り締まることができそうにも思えますが、どのような行為が犯罪となり、それに対してどのような刑罰が科されるのかは、あらかじめ法律で定められていなければならず(罪刑法定主義)、明確性がないと罪刑法定主義にも反することになります。

このような理由から立法化には十分な検討が必要ですが、早急な法整備が必要だといえます。

【取材協力弁護士】
和氣 良浩(わけ・よしひろ)弁護士
平成18年弁護士登録 大阪弁護士会所属 近畿地区を中心に、交通・労災事故などの損害賠償請求事案を被害者側代理人として数多く取り扱う。
事務所名:弁護士法人和氣綜合
事務所URL:http://www.wk-gl.com/

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