「落し物」を警察に届ける前になくしてしまった! 何かの罪に問われるのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年1月6日 16時0分

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東京都内のIT企業につとめるWさんは毎日、新宿駅で乗り換えて仕事に向かい、そして帰宅する。ある仕事の帰り道、新宿駅の近くで有効定期券つきの「Suica」を拾った。もちろん、誠実な彼は警察に届け出るつもりだったが、交番に向かう途中、ふとポケットの中身を確かめてみると、Suicaがなくなっていた。つまり、誰かの「落し物」を再び落としてしまったというわけだ。

落し物を拾ったら、Wさんのようにやはり交番に届けるべきだろう。だが、届けたくても届けられないこともある。不注意で落し物をなくしてしまったことが、何かの法律に触れないのか、Wさんは不安だという。はたして、彼のようなケースで、何か「罪」に問われることはあるのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●刑法は「故意犯」の処罰を原則としている

「たしかに、この場合、落とし主の落とした場所とは別の場所でSuicaを落としていて、落とし主(真の権利者)の発見をより困難しているので、何らかの犯罪に該当しないか、問題となるといえます」

このように大和弁護士は切り出した。

「具体的には、遺失物横領罪が成立するかどうかが、問題となります。横領とは、『不法領得の意思』を実現する行為、とされています。難しい言い方ですが、権利者でないのに、権利者であるとして財物を処分する意思を実現する行為のことです」

つまり、拾った物を自分のものとして使ったり、売ったりすると、遺失物横領罪になってしまうということだ。そして、拾った物を「故意に落とす」ことも、その物を「処分する」行為に含まれるのだという。

「ところが、本件では、Suicaを拾った人は、誤って落としてしまっているので、犯罪の『故意』がありません。また、自分のものにしようという『不法領得の意思』もあるとはいえません。したがって、遺失物横領罪は成立しません」

このように大和弁護士は説明する。

「次に、誤って拾った物を落としているので、『過失遺失物横領罪』が成立するかどうか、問題となりますが、日本の刑法は、故意犯の処罰を原則としていて、過失犯は規定がある場合しか処罰されません。そして、過失で遺失物を処分する行為は、処罰対象となっていません。

したがって、誤って遺失物を落としてしまったとしても、『過失遺失物横領罪』として、処罰されることはないのです」

●「民事責任」を問われる可能性がないわけではない

ただ、落し物を拾った場合のルールを定めた「遺失物法」では、落し物を拾った人は、速やかに落とし主に返還するか、警察に届けないといけないとされている。この法律に違反しているのではないだろうか。

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