「死ぬまで容疑者にされる」警察の強引な「DNA採取」に警鐘、約120万件登録・・・進む監視社会

弁護士ドットコムニュース / 2019年12月31日 9時43分

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犯罪捜査などに生かすため、警察が運用しているDNA型データベース。登録はおよそ120万件あり、この10年で約100万件という急スピードで増加している。

警察としてはデータはあればあるほど良い。しかしその結果、軽微な事件でも「任意」の名目でDNAが採取されることがある。

現在、名古屋地裁では「迷子になったペットを探すチラシを電柱などに貼った」などの理由で警察からDNAを採取・保管されているとして、データの抹消や慰謝料を求める裁判が複数起きている。市民側の代理人を務める川口創弁護士はこう語る。

「『任意捜査』と言うが、実際にはろくな説明もなく無制限に採取している。採取を目的に、本来必要がない軽微な犯罪でも『取り調べ』が行なわれている」

「DNAの管理について明確な法律はなく、国家公安委員会の規則があるだけだ。削除されるのは『死亡』と『必要がなくなったとき』。その事件の捜査が終わっても、将来の捜査のために『必要』となる。一度採取されると、地域の犯罪の被疑者として一生疑われる」

「究極の個人情報」とも言われるDNAデータを警察はどう扱うべきなのか。川口弁護士も参加した、ジャーナリズムNGO「ワセダクロニクル」と「週刊金曜日」の共催シンポ(11月17日)の内容を紹介したい。

●ペットを探すチラシでDNA採取の必要性はある?

2014年8月、街なかに行方不明になった犬を探すチラシ9枚を貼った名古屋市の女性(50代)が愛知県警から取り調べを受けた。名古屋市には「屋外広告物条例」といって、電柱などにチラシを貼ることを原則禁止とする条例があるからだ。

女性は不起訴になったが、取り調べのときに指紋や写真に加えて、DNAも採取されていた。

確かに女性の行為は条例違反かもしれない。しかし、捜査が必要なのだろうか。犬のチラシに罰するに値するほどの違法性があるのだろうか。はがすよう行政指導すれば済むことなのではないかーー。

女性は警察にDNAデータなどの削除を求めた。しかし、回答がなかったため、2019年6月、プライバシー権を保障した憲法13条などに反するとして、国を相手に裁判を起こした。

川口弁護士によると、国は裁判の中で、現在女性のデータは保管していないと明かしたという。しかし、いつ削除されたかは不明。川口弁護士は「憲法論争をしたくないから削除した」可能性もあるとみている。採取されたデータはかくも曖昧な基準で保管されている。

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