「知的障害者の性教育」批判に賠償命令――教育への「不当介入」とされたワケ

弁護士ドットコムニュース / 2013年12月26日 20時49分

写真

関連画像

東京・日野市の都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)での「性教育」の是非をめぐり、8年以上にわたって争われていた裁判に11月下旬、ようやく決着が付いた。

同校では、知的障害のある児童・生徒に対し、歌や人形を用いる独自の性教育を行っていた。ところが2003年、一部の都議らがこれを「過激だ」などと問題視し、現地を訪れて強く批判したほか、これに同調した都教委が同校教員を厳重注意にした。教員や保護者らは不当な介入だとして、都議・都教委らに計約3000万円の損害賠償を求める訴訟をおこした。

1審・2審はこれらの行為を教育現場への「不当な支配」と認定し、教員らに対して合計210万円の損害賠償を支払うよう、都議・都教委に命じていた。今回、最高裁が上告を退ける決定をしたことで、2審判決が確定した。

裁判所の判断ポイントは、どんな点にあるのだろうか。村上英樹弁護士に解説してもらった。

●「学習指導要領」に反する内容だったのか?

「日本の教育においては、『教育現場の自主性』が尊重されています。教育基本法も、『教育は、不当な支配に服することなく』行われると規定しており、外部からの不当な介入は許されません」

このように、村上弁護士は述べる。現場の自主性で行うことができる教育と、それ以外の境界線は、どこにあるのだろうか?

「いくら『自主性』と言っても、法律や学習指導要領に反する教育はできません。

今回、都教委や都議の行為が『不当な支配』にあたるかどうかは、この学校で行われていた性教育が、学習指導要領に反するものだったかどうか、にかかってきます」

学習指導要領では、どのような性教育を行うべきだとしているのだろうか。

「学習指導要領は、性教育については、やり方を固定的に決めるような内容にはなっていません」

そうなると、性教育については、比較的幅広いやり方が認められていると考えていいのだろうか?

村上弁護士はうなずいて、「同校の性教育が学習指導要領違反には当たらないというのが、高裁判決の結論でした。最高裁でも、この考えが支持されたものと言えます」と述べる。

今回、争点となったのが「知的障害者に対する性教育」だったことについては、どう考えるべきなのだろうか。

「知的障害などで、肉体は成長していても判断力等が十分でない場合、性に関する知識が正確に備わっていないと、よく分からないうちに性被害に遭うことがあります。逆に、加害者になってしまうおそれもあります。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング