「内定取り消し」新型コロナで増加中 会社との「現実的な戦い方」を考える

弁護士ドットコムニュース / 2020年3月22日 9時52分

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新型コロナウイルスが経済にも影響を及ぼしている。中には4月入社予定だった新入社員の内定を取り消す企業も出ているようだ。

厚労省が把握しているだけで、内定取り消しは13社計21人(3月18日時点)。業種別では「宿泊業・飲食サービス業」が多いようだ。

新生活への期待に胸を膨らませていた新卒の人たちにとっては、いきなり生活の危機を迎えることになる。

法的にはどういう対応ができるだろうか。古金 千明弁護士に聞いた。

●裁判では「内定取り消し」が認められない可能性も

――まだ働いてはいない「内定」段階でも争う余地はあるんでしょうか?

卒業予定者について内定通知が出た時点で、法的には、使用者の解約権が留保された「労働契約」が成立したと考えるのが最高裁の判例の考え方です(大日本印刷事件)。

労働契約自体は、内定通知が出た時点で成立していますので、内定取り消しは労働契約の解約(解雇)を意味します。

――内定取り消しはどんな場合に認められますか?

内定取り消し、すなわち留保された解約権の行使による解雇の場合は、通常の解雇よりも解雇の要件が若干緩和されると考えられてはいます。

しかし、内定取り消しが認められる(=裁判になった場合に解雇有効と判断される)ためには、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる必要があります。

新型コロナウイルスによる経営悪化を理由とする内定取り消しが認められるためには、正社員の整理解雇に準じた要件を満たす必要があると考えられます。

具体的には、(1)経営上の必要性、(2)解雇回避の努力、(3)対象者選定の合理性、(4)労働者・使用者との十分な事前説明と協議、という四要件を、原則として満たす必要があると考えてよいかと思います。

しかし、新型コロナウイルスによる大幅な売上減が問題になってから、まだ1カ月強しかたっていません。

例えば、1月までは黒字だったのに、2月が赤字だっただけでは、経営上の必要性を立証するハードルは高いと思われます。

となると、現時点でなされた内定取り消しが有効であることを裁判所で認めてもらえる事案は多くはないかと思います。

●選択肢は複数ありえる

――具体的にどんな争いができますか?

内定取り消しが無効であることを主張して、裁判をするのがオーソドックスな対応です。具体的には、労働審判の申立て、賃金仮払仮処分の申立て、(本案)訴訟の提起という裁判をする方法です。

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