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検察官が「証人」の裁判証言を誘導!? 事前の「証人テスト」の問題点はどこにある?

弁護士ドットコムニュース / 2014年1月24日 16時0分

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裁判での重要な証言が、誘導によって作り上げられていたとしたら? 死刑判決を受けた元少年の裁判で、「検察側に有利な証言」をするよう、検事が証人を誘導していた疑いがあると、朝日新聞が報じている。

問題とされているのは2010年、宮城県で3人が殺傷された事件の裁判。焦点となった「殺人の計画性」について、証人となった男性(共犯者とされ、服役中)は、1審段階では「計画性があった」と証言していた。しかし、仙台高裁で行われた2審の法廷に立った男性は、「(1審のときに「計画性はなかった」と言おうとしたら、証人テストで)だめだと検事に言われた」と証言したというのだ。

この「証人テスト」とは、検察官が裁判前に検察側の証人を呼んで、事実関係を確認する手続きのことだ。裁判外で行われる証人テストは、公判記録には残らないため、実態は不透明だ。ところが、このほかにも問題が確認された事例が複数出てきているという。

証人テストとは、いったいどのようなもので、どういう目的で行われているのだろうか? また、冤罪を生む恐れはないのだろうか? 元検事の落合洋司弁護士に聞いた。

●証人テストで「答えを押し付ける」ことは許されない

「刑事訴訟規則191条の3は『証人の尋問を請求した検察官または弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によって、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない』と定めています。

そのような準備のため行われるのが証人テストです」

つまり、そもそもは単純に、証言のための「事前準備」をすることのようだ。普通はどんな形で行われるのだろうか?

「検察官の証人テストは、証人予定者を、検察庁か、証人にとって都合の良い場所へ呼び出して行っています。

あらかじめ用意した尋問予定事項に沿って順次質問しつつ、記憶を喚起してもらい、尋問に備えるのが通常のやり方です。

証人予定者の中には検察官に反感を示す人もいますし、捜査段階での供述をひるがえす人もいますが、証人テストの目的はあくまでも『適切な尋問を行うための準備』です。検察官が求める答えを強いたり、押し付けたりといったことは、そもそも許されません」

●可視化や弁護人の同席による「適正化」が必要

そうすると、証人テストがこの「通常のやり方」で行われているのであれば、問題はおきないはずだが……。今回発覚したケースはごく例外的なのだろうか?

「いいえ。今回の発覚は単なる偶発的なものではなく、氷山の一角である可能性が高いと思います。

証人テストの進め方は、実施する検察官の裁量に委ねられているのが現状で、検察官が求める答えを強いたり、押し付けるといったことが起きる余地は十分あるからです」

落合弁護士はこのように指摘したうえで、「対策として、(1)証人テストも可視化して記録に残し、適正化を図ることや、(2)弁護人の同席も可能にして、適正さを担保させるといった方法が考えられます」と、改善策を示唆していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
事務所名:泉岳寺前法律事務所
事務所URL:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/

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