内部告発「裏切り者に制裁」後絶たず…16年ぶり法改正も、通報者が守られない理由

弁護士ドットコムニュース / 2020年6月18日 10時0分

写真

関連画像

企業などの不正を内部通報した人を保護する、改正公益通報者保護法が6月8日、成立した。通報窓口の担当者等に罰則つきの守秘義務を課すことなどを柱とするもので、2022年6月までに施行される。

近年、内部通報によって事業者の不祥事が明るみに出るケースが後を絶たず、制度が広く知られるようになった。その一方で、通報者の不利益処分に関する問題も少なからず発生している。

直近でも、山口県田布施町の職員が固定資産税の徴収ミスを内部告発したところ、2年間で3度の異動を命じられた上、2020年4月に新設された1人だけの部署に異動させたことが報じられた。

公益通報者保護法は2004年に制定されて以来、内容面での改正が一度も行われておらず、安心して通報できる仕組みが不十分との声があるなど、早期の法改正が急務だった。

今回の改正で、公益通報者保護法はどのように変わったのか。

●待望の改正法だが…「通報者にとって保護が大幅に強化されたとはいえない」

内部通報制度に詳しい大森景一弁護士によれば、公益通報者保護法は施行から5年を目処として見直されることが予定されていたという。

「本来は公益性の高い通報をおこなった通報者を保護することを目的とする法律です。しかし、成立当時は反対意見も強かったこともあり、通報者に対する保護は必ずしも十分ではなく、見直しを前提に成立しました」

ただ、見直しについても意見の対立が激しく、改正案のとりまとめは難航。制定から15年以上経ってようやく今回改正されたというのが実情のようだ。

ずいぶんと待たされた改正法だが、どのような点が変わったのか。大森弁護士は主要な改正点として、以下の3点を挙げる。

・保護される通報者の範囲の拡大
・通報対応体制整備の義務づけ
・行政機関に対する通報が保護されるための要件の緩和

「もっとも、今回の改正も、裁判上は法改正がなくとも認められる可能性が高い範囲で通報者の保護を拡張したにとどまり、通報者にとっては、法的な観点からすると保護が大幅に強化されたとはいえません。

他方で、事業者側や行政機関にとっては、通報対応体制が法的義務とされたことで、対応を迫られることになります。反射的に、通報者がより保護されるようになる面はあるでしょう」

大森弁護士は、「通報をするインセンティブは働かず、不正の是正のためのシステムとしては未だ不十分といわざるを得ない」と改正法の不十分な点を指摘する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング