原発被災者と東電の和解を仲介する「原発ADR」 意外と時間がかかるのはなぜか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年1月30日 18時23分

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東日本大震災と福島第一原発事故からまもなく3年を迎えようとしている。昨年12月の時点で、いまだに27万人あまりが避難生活を送るなど、震災と事故が残した爪痕は依然深い。事故で損害を受けた被災者が、当事者である東京電力へ賠償を求めたものの、両者が折り合えず対立するケースは後を絶たないようだ。

こうした事態を打開するため、2011年9月に設立されたのが「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)だ。損害賠償をめぐる被災者と東電の和解を、第三者が円滑かつ迅速に仲介するのが狙いだ。

ところが設立以降、「紛争解決に時間がかかる」などと、問題点を指摘する声が多くあがっている。本来は迅速に解決するための制度のはずなのに、どうして時間がかかってしまうのだろうか。原発ADRには、何か特有の問題点があるのだろうか。原発ADRに関わっている永野貴行弁護士に聞いた。

●発足当初は関係者全員が「手探り」だった

「2011年9月に申立の受付を始めた原発ADRは発足当初、『申立から3カ月程度での解決』を標榜していました。

しかし、発足からしばらくの間は、3カ月での解決など到底無理で、解決まで1年近くかかるケースが続発したのは事実です」

どうして、そうなってしまったのだろうか?

「原因の1つは、原発ADR側の人員不足です。和解手続を仕切る『仲介委員』も、実際に記録を精査して当事者とやり取りする『調査官』も、いずれも人手が足りなかったのです。

こうした中で、集団申立が行われるなど申立件数が急増し、処理が追いつかなくなりました。

もう1つ、関係者全員が手探りだったという事情もありました。こういった紛争は誰も経験したことがなく、和解基準も不明確だったのです」

●人員不足は相当改善されている

発足から2年以上が経ったが、現在の状況はどうなっているのだろうか?

「人員不足は当初に比べれば相当、改善されています。経験も蓄積され、和解までの期間が短くなっているのは間違いありません。

特に、争いのない部分だけ先に和解する『一部和解』が広く使われるようになって、利便性は高まりました。おおむね、申立から3カ月もすれば一部和解が成立し、賠償金を獲得しているといえると思います」

ただ、一部和解はあくまで「一部」なので、最終的な解決ではない。そのようなこともあり、原発ADRでは当初の「申立から3カ月程度での解決」という目標を撤回し、解決までの期間を「4~5カ月または半年以上」としているという。

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