「一昔前の冤罪判決そのもの」 乳腺外科医に逆転有罪、弁護側は上告へ

弁護士ドットコムニュース / 2020年7月13日 19時5分

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手術直後の女性患者にわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつ罪に問われた男性医師の控訴審判決。東京高裁の朝山芳史裁判長(細田啓介裁判長代読)は7月13日、1審・東京地裁の無罪判決を破棄し、懲役2年を言い渡した。

判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた男性医師は「怒りと憤りを覚えています。やっていませんし、無罪です。公正であるべき裁判官が公正な判断をしないことに怒りを覚えている」と話した。

弁護側は「冤罪を放置するわけにはいかない」と上告する方針を明らかにした。

●弁護人「非常識かつ非科学的な判決」と批判

判決によると、男性医師は2016年5月10日、東京都足立区の病院で、乳腺腫瘍の摘出手術をした女性に対して、病室で着衣をめくり胸をなめるなど、抗拒不能に乗じてわいせつな行為をおこなった。

会見で主任弁護人の高野隆弁護士は「あまりにも非常識、かつ非科学的な判決だった。一昔前の冤罪判決そのものだった」と評し、(1)病院関係者の証言がしりぞけられたこと、(2)科捜研の鑑定結果の評価、(3)せん妄についての判断、の3点について問題視した。

●(1)病院関係者の証言がしりぞけられたことについて

1審は、看護師の証言などから、手術後に女性が「ふざけんな、ぶっ殺してやる」などと言ったと認定した。カルテには「不安言動は見られていた」とあるものの、せん妄との記載はなく「術後覚醒良好」と書かれていた。

高裁判決は、これらが病院関係者の証言であることにも触れ、「医療事件におけるカルテの記載の重要性などに鑑みて、言動を認定した1審の判決は合理性の観点から疑問を入れる余地がある」とした。

高野弁護士は「看護師の皆さんが病院関係者であり、病院側に優位な偽証をする動機があるというようなことを言った。しかし、控訴審の裁判官は彼女の証言を見てもいない。詳細な証言を一言で片付けるのはあまりにも非常識だ」と批判した。

●(2)科捜研の鑑定結果の評価について

1審は、女性の乳首から検出されたアミラーゼとDNAは、触診や別の医師との会話などで付着した可能性があることなどから「鑑定には一定の疑義があり、仮に信用性があると仮定しても、その証明力は十分なものとは言えない」と判断していた。

高裁判決は、アミラーゼ鑑定やDNA鑑定、DNA定量検査の数値などの証拠は、「犯行を一定程度推認させるが、それ自体で犯行を証明できるものでなくても、女性の証言の信用性を支え、これと相まって女性がわいせつ被害にあったことを立証するものであれば足りる」とした。

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