「逮捕覚悟」の尖閣上陸、そして国旗掲揚 元自衛官明かす「無罪放免」のウラ側

弁護士ドットコムニュース / 2020年7月26日 9時4分

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全自衛隊初の「特殊部隊」である海上自衛隊「特別警備隊」の創設メンバーの元自衛官・伊藤祐靖氏によるドキュメント・ノベル『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』(新潮社)が話題となっている。

拉致被害者の命に危機が近づいたとき、自衛隊が北朝鮮の地で相手軍部と弾丸の雨を浴びせ合う。一見「こんなことが実際に起きるのか」と思えるストーリーでも、作戦実行に至るまでの政府の動きなどのプロセスは伊藤氏の「経験」をもとに丁寧に描かれており、自然と引き込まれる。

伊藤氏は自衛隊から身をひいたのち、尖閣諸島に上陸して日の丸を掲揚するという行為でニュースになった。実は、『邦人奪還』の冒頭は、尖閣魚釣島での日中の国旗掲揚合戦で始まるのだが、島の描写も含め、この時の経験が生きているという。

現在も緊迫する尖閣諸島をめぐって気を抜けない日中情勢、そんな中、尖閣上陸の舞台裏を2回に分けて大いに語る。本記事(前編)では、魚釣島に上陸の「真相」に迫る。(後編はこちら)

2012年8月18日から19日にかけて、伊藤氏は地方議員らと尖閣諸島の魚釣島沖での慰霊祭 を目的として漁船に乗り込んだ。ところが、伊藤氏には仲間にも知らせていない「真の目的」があった。島に近づくと、闇に染まる海をひとり泳ぎきって上陸。山頂に登り、断崖絶壁に国旗を掲げたのだ。

あの頃、尖閣諸島をめぐる情勢は緊迫していた。伊藤氏らの行動は歴史に残る“事件”だったが、任意聴取をした警察は「罪にはならない」と不問にした。当時を振り返りながら、海上保安庁、沖縄県警とどのようなやりとりがあったのかを伊藤氏が明かした。(編集部・塚田賢慎)

●上陸の真の目的とは

ーー香港の活動家らが先んじて魚釣島に上陸した4日後、伊藤さんたちは上陸しました。対抗措置として決行したのでしょうか

我々の上陸スケジュールは元から決まっていました。理由は大きく2つあります。

ひとつは、2010年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件でした。海保の一色正春さんが、事件発生時の映像を公開した事件です。漁船をぶつけてきた相手を冷静に逮捕し、送検までしました。

非常に困難な仕事をパーフェクトにしながら、相手は処分保留で釈放、送還されてしまいました。あの場にいた海上保安官たちは、政府の意志のなさにむなしさを感じただろうし、全員涙を流したと思います。

国家に意志がなくとも、国民には意志があることを行動でお伝えしたかったのです。魚釣島に日本国旗を掲げれば、海保も警察もそのむなしさが少しはやわらぐのではないかと思いました。

●船酔いする女性の姿に受けた感銘

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