ネットの誹謗中傷、「迅速な被害回復」と「匿名表現の自由」をどう両立すべきか 丸橋透教授に聞く

弁護士ドットコムニュース / 2020年8月4日 9時54分

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ネットの誹謗中傷を受けた際に、どのようにして迅速に被害回復できるようにするか。総務省の有識者会議「発信者情報開示の在り方に関する研究会」で議論が進んでいる。

総務省が7月に示した中間とりまとめ案では、発信者情報の開示対象を拡大することや新たな裁判手続きの創設、ログの保存期間などの論点があがっている。

誹謗中傷に悩む被害者にとっては現状の制度が負担となっている一方、手続きを簡素化しすぎると濫用の恐れや表現への萎縮効果があると指摘されている。

総務省は11月に最終報告をとりまとめる予定だ。手続きの悪用を防ぎながら、発信者を特定しやすくする新たな裁判手続きとはどのようなものか。今後の議論のポイントやプラットフォーム事業者の社会的責任について、研究会の構成員を務める明治大学法学部の丸橋透教授に聞いた。

●新たな裁判手続きに「期待」

――総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」で、新たな裁判手続きの議論が始まりました。

歓迎しているし、期待しています。今は、まず、SNSや電子掲示板等、コンテンツ共有事業者への発信者情報の開示請求、次にアクセスプロバイダへの開示請求を経て、ようやく発信者に対する損害賠償等の法的請求が可能となる手続です。誹謗中傷の書き込みをした当事者が、問題となっている投稿から法的手続上、二段階先にしかいないのは不自然です。

二段階の手続きがあることでうまく発信者情報開示ができていなかったことがあるとすれば、裁判所が早く介入することで「通信ログ消去禁止の仮処分」のような無駄な手続きを飛ばすことができると思います。

――その一方で、中間とりまとめ前には、丸橋教授も含めた複数の構成員が新たな裁判手続の創設を既定のものとしないよう意見書を出しています。

新たな裁判手続の創設というのは、従来の発信者情報開示請求の実体的請求権としての性質を見直すという大きな議論です。先ほど歓迎していると言いましたが、内容は緻密に考えていく必要があります。

現行制度は、最終的には訴訟手続きによる発信者情報の開示の実現を想定しているわけですが、これは任意で開示させることが難しいという問題があるからです。

ただ、著作権侵害のデッドコピー(違法コピー)についてはプロバイダによる任意開示が進んでいます。これはなぜかというと、権利者側がきちんと証明することによって、プロバイダ側が安心して任意開示できているためです。

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