水害対策、このまま「ダム頼み」でいいの? 成蹊大・武田真一郎教授「地方分権がカギに」

弁護士ドットコムニュース / 2020年8月9日 7時18分

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ことし7月、熊本県や山形県などが「豪雨災害」に見舞われた。とくに熊本県は、球磨川の氾濫や土砂崩れなどで、60人以上が犠牲となり、住宅が破損・浸水するなど、深刻な被害にあった。ダムや堤防などで、治水対策はされているはずなのに、毎年のように河川の氾濫による水害が起きている。地域を水害から守るためには何が必要なのか。行政法を通して、環境や財政問題に取り組む成蹊大学法科大学院の武田真一郎教授に聞いた。(ライター・芦田志美)

●なぜ毎年、河川の氾濫で苦しめられるのか

――なぜ、テクノロジーが発達している現代においても、毎年のように河川の氾濫などによる水害に見舞われてしまうのでしょうか。

大きな理由のひとつとして、地球温暖化によって、日本でも雨の降り方が「熱帯」に近づいてきたことは否定できません。球磨川の水害で、7月3日から4日にかけての降水量は、人吉市は420.0ミリ、隣の湯前町で497.0ミリ、いずれも2日間で、平年の1カ月降水量に相当する量になりました。これまでの治水対策では想定できなかった事態が生じていて、それが原因になっていることは間違いないと思います。

では、なぜ日本でこんなに水害が多いかを考えると、それは地形や地理的な条件が関連します。

明治時代、外国人技師が、日本の川を見て「川でなくて滝だ」と驚いたと言われています。たとえば、黒部川は長さ85キロにしかないのに、標高差が3000メートル近くあります。このように水害リスクが大きい地形であっても、川は農業用水や水産物のほか、景観を含めて流域にいろいろな恩恵をもたらすため、人々は川の近くに住んで共生してきました。

また、国土の小さい日本では平地は多くないため、洪水が起こりやすい場所であっても住まざるをえないということもあります。「川の近くは危険だから住むな」とは、一概には言えないのです。だから、地球温暖化による異常な豪雨とどのように折り合いを付けていくかを考える時期に来ているのではないでしょうか。

――治水・利水対策のひとつに、ダムがあると思います。しかし中国では三峡ダムの放水により、下流域で洪水が起きているという報道もあります。ダムは本当に、水害対策に効果を発揮するものでしょうか。

河川流域ごとに違いがありますので、ダムの良し悪しは一概には言えません。しかし、私が吉野川(徳島)の可動堰問題に関わった際、河川工学や堤防・土木の専門家の意見を聞いたところ、水害対策という点では非常に疑問があると感じました。

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