世間を驚かせた「川崎逃走事件」 もし容疑者の「逃亡」を助けたらどんな罪になる?

弁護士ドットコムニュース / 2014年2月7日 11時3分

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正月気分がまだ抜けきらない1月上旬、強盗や集団強姦(ごうかん)などの疑いで逮捕された容疑者が、弁護士との接見中に検察の建物から逃走し、二日後に再び捕まった事件が、大きな注目を集めた。

報道によると、容疑者は川崎市川崎区の横浜地検川崎支部から逃走した後、同市多摩区や横須賀市などを経て、最終的に横浜市泉区で身柄を拘束された。この間、複数の友人らが、容疑者をスクーターや車に乗せたり、携帯電話を貸すなど、逃走を「手助け」していたようだ。

もし実際に、容疑者の逃走をすすんで助けていた場合、なんらかの犯罪となる可能性はあるのだろうか。一方で、逮捕や逃亡を知らずに偶然手助けしたような場合でも、問題とされてしまうのだろうか。刑事事件にくわしい阿野寛之弁護士に聞いた。

●広い範囲の行為が「隠避」になる

「『場所を用意して犯人をかくまうこと』を『蔵匿(ぞうとく)』と呼び、それ以外の捜査側の発見・逮捕を免れさせる一切の行為を『隠避(いんぴ)』と呼びます。

そして、『拘禁中に逃走した者』を蔵匿したり、隠避する行為は、『犯人蔵匿・隠避罪』として、刑法103条で処罰の対象とされています」

阿野弁護士はこのように説明する。では、どのような場合に、犯人隠避罪は成立するのか。

「この『隠避』は、逃走を容易にする行為であれば、かなり広い範囲の行為が含まれます。

過去の判例では、移動や連絡の手段、資金の提供はもちろん、『警察に嘘の供述をした』とか『他人の身代わりになって自首した』という場合でも、犯人隠避罪の成立が認められています」

逃走を知らず、偶然手助けした場合でも、罪に問われてしまうのだろうか?

「逮捕や逃亡を知らずに偶然手助けをした場合は、犯人隠避罪についての『故意』がなく、この罪に問われることはありません。

もし、逃走中の被疑者から頼まれて貸したお金が逃走資金に使われても、その人が逃走中であることを知らなければ犯人隠避罪は成立しません。

なお、逃走者の親族については、親族の情からやむを得ず犯人隠避をしてしまうこともあることから、事情により刑を免除できる、とされています(刑法105条)」

●民間人には「通報の義務」はない

逆に、逃走中の知人に出頭するよう説得したが、うまくいかなかった、というケースはどうだろう? 阿野弁護士は次のように指摘していた。

「『逃走中の被疑者を見つけた』と警察に通報しなかったからといって、直ちに犯人隠避罪に問われることはありません。警察官などであればともかく、一般の人に、犯人を発見したら直ちに通報する義務が課されているわけではないからです。

もちろん、説得を聞き入れない友人にお金を貸したりすると、資金提供により逃走を容易にしたとして犯人隠避罪が成立してしまう可能性が高いでしょうね」

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
阿野 寛之(あの・ひろゆき)弁護士
1975年生。1998年京都大学法学部卒。2000年弁護士登録(福岡県弁護士会)。裁判員裁判・否認事件等の困難刑事事件を中心に、企業法務案件、各種損害賠償事件(原告・被告問わず)等もこなす。
事務所名:弁護士法人大手町法律事務所
事務所URL:https://www.facebook.com/kitakyushu.ohtemachilawoffice

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