"おじさん”の自殺はなぜ減ったのか? 元自殺予防総合対策センター長・竹島正さんに聞く

弁護士ドットコムニュース / 2020年9月14日 10時26分

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警察庁によると、ことし8月の自殺者数(速報値)が大幅に増加した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響があったのかどうか、これから分析をすすめるということだが、一方で、昨年2019年の年間自殺者数は、統計をとるようになってから最少となっていた。1998年から2011年にかけての「急増期」は、年間3万人台だったものの、東日本大震災の翌年から3万人を下回っている。はたして、どんな要因があるのだろうか。

国立精神・神経センター精神保健研究所で、自殺予防総合対策センター長をつとめ、現在は一般社団法人「自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター」の理事である竹島正さんにこれまでの日本の自殺対策について聞いた。(ライター・渋井哲也)

なお、自殺統計は、警察庁の自殺統計原票を集計した「自殺統計」と、厚生労働省の「人口動態統計」があるが、この記事では、原則として、警察庁の「自殺統計」に基づく。

●急増期に比べると自殺対策の基盤ができている

――新型コロナウイルス感染拡大で社会不安が増大して、「自殺者が増えるのではないか?」と言われていますが、現在のところ、警察庁統計を見る限りでは、今年は昨年よりも自殺者が減少しています。

竹島: コロナ禍では、一般の人のメンタルヘルスが悪化し、経済的に困窮したり、すでに希死念慮(死にたいという願い)を抱えている人ほど、心理的に影響していることは間違いないでしょう。しかし、1998年からの急増期に比べると、自殺対策の基盤ができているところが違うと思います。この間、自殺対策基本法以外にも、生活困窮者自立支援法ができたり、アルコール健康障害対策基本法ができたりしています。

もう一つ違う点は、あの当時は、"自殺の原因は中高年男性の生活苦"ということが、メディア上でステレオタイプ化して、繰り返し報道されたことも影響していたのではないでしょうか。今はそういう情報発信は控え目な印象です。

――日本では1998年から14年間、年間自殺者3万人が続きました。それ以前の政府の自殺対策はどのようなものでしたか?

竹島: 1998年以前、政府は、自殺対策や自殺予防に関心が高いとは言えませんでした。それまで、日本人の死因順位で、自殺が「7位」くらいであり続けましたが、がんに比べると少ないし、特に変化がなかったことが大きかったのでしょう。それと、自殺対策をどう進めるべきかがわからないでいたのだと思います。そのため、行政としての取り組みは薄かったのでしょう。

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