学校のいじめに通じる「日本のコロナ差別」、内藤朝雄氏が語る「人が怪物になる」とき

弁護士ドットコムニュース / 2020年9月19日 9時39分

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新型コロナウイルスの流行で、感染者やその家族などに対する差別や誹謗中傷が全国各地で起きている。例えば、以下のようなものだ。

(PCR検査で陰性なのに、退職に追い込まれる) 介護施設で看護師として働く女性は、職場で新型コロナウイルス感染の疑いをかけられた。PCR検査は陰性。医療機関から施設に「働いても問題ない」との説明があったにもかかわらず、女性は「退職勧奨通知書」に署名させられて退職した。(「『感染疑わしい人とは働けない』陰性証明の要求相次ぐ」朝日新聞 2020/5/31)

(感染した看護師の家族に対する出勤停止要請) 看護師ら4人が新型コロナウイルスに感染した医療機関では、職員の約4分の1が地域で風評被害に遭ったという。職員の家族に対する出勤停止要請がもっとも多く、「職場で保菌者扱いされ、精神的に耐えられず帰宅した」という事例も。(『 風評被害、職員4人に1人 看護師らコロナ感染の熊本地域医療センター 』熊本日日新聞 2020/8/13)

(匿名で発表された感染者を特定して罵倒) ある感染者は、居住県で感染者として匿名で発表されたあと、SNS上で中傷を受けた。ネット上以外の生活でも、自宅の留守電に感染者と家族を罵倒する言葉が吹き込まれていたり、家族が地域のスーパーや美容院から利用を遠回しに拒否されたりするなどの被害があった。(「『うちの県にコロナ持ってきた』…『感染者狩り』横行、実名特定・中傷エスカレート」ヨミドクター 2020/8/4)

感染者や、感染の疑いをかけられた人に対する差別や誹謗中傷は、なぜ起きるのだろうか。学校のいじめを手がかりにして人間の暴力性を研究している、明治大学文学部の内藤朝雄准教授は、日本社会の様々な集団に根ざした全体主義が影響しているとみている。詳しく聞いた。(武藤祐佳)

●学校のいじめに代表される「中間集団全体主義」の日本社会

内藤氏は日本では他の先進諸国と比べ、多くの人が「たまたま個人が接触しているグループの雰囲気やノリのようなものに対して、極度にびくびくしないといけない状態」にあると指摘する。その背景にあるものとして、中間集団全体主義を提唱している。

中間集団全体主義とは、個人が「集団や組織に全的に埋め込まれる」ことから逃れられない社会の特徴を言う(内藤朝雄『いじめの構造: なぜ人が怪物になるのか』)。「中間集団」は、国家と個人の間にある集団や団体のことを指し、会社や学校がその典型例だ。中間集団全体主義のもとでは、個人の人格や感情までもが、集団に細かく支配されるという。学校のいじめ問題を想像するとわかりやすい。

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