激しい攻防が予想されるパソコン遠隔操作事件 「無罪判決」が出るためのポイントは?

弁護士ドットコムニュース / 2014年2月14日 18時25分

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パソコン遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などに問われている片山祐輔被告人の初公判が2月13日、東京地方裁判所で開かれた。片山被告人は法廷で「事実無根です」と述べ、無罪を主張した。

報道によると、検察側は、片山被告人が勤めていたIT関連会社のパソコンから遠隔操作するプログラムの痕跡が発見されたことや、防犯カメラの映像などをもとに、有罪を主張。一方、弁護側は「被告人のPCや携帯電話も遠隔操作されていた」として、無実を主張している。

検察側と弁護側の主張は真っ向から対立しており、法廷では激しい攻防が予想される。

この事件で「真犯人」を名乗る人物から犯行声明のメールを送られた一人であり、元検事として刑事事件の捜査の内情をよく知る落合洋司弁護士は、この裁判についてどう見ているのだろうか。公判のポイントについて聞いた。

●検察側の「証拠構造」には脆弱性がある

「弁護人側は今後、(1)検察官側の証拠では犯人性が立証できないという点と、(2)犯人性を否定したり、合理的な疑いを抱かせる証拠が存在するという点を、主張していくことになると思います」

落合弁護士はこのように切り出した。一つ目の点は、検察側が出した証拠のほころびを突く、という話だろうが、うまくいく可能性はあるのだろうか?

「検察官側の証拠として伝えられている内容をみると、犯行と被告人を結びつける決定的な『直接証拠』は存在しません。

今回、検察側が狙っているのは、多数の状況証拠(間接証拠)によって、被告人の犯人性を推認させようとするものです。

状況証拠は多数あり、それぞれ濃淡もありますが、どれも決め手に欠けるだけに、検察側が示した証拠構造は、脆弱さを抱えていると言えるでしょう」

どうやら現時点では、検察側が決定的な証拠を用意している、という情報はないようだ。落合弁護士も次のように話す。

「たとえば、江の島の猫に首輪を付けたのは被告人であるという立証も、他に首輪を付けた者がおよそあり得ないのかというと、そこまでの断定はできないのではないかと推測されます。

検察側は今後、『犯人性を推認できるだけの証拠とは言えないのではないか』という、弁護人の厳しい追及にさらされることになるでしょう」

●犯人性が否定されれば「無罪」へ直結する

2点目の「犯人性を否定する証拠」というのは、どんなものだろうか?

「弁護人側は、被告人自身が遠隔操作の被害に遭っていた、アリバイがある、猫の首輪の付着物から別人のDNA型が検出されたとして、被告人の犯人性を否定する立証を展開しようとしています。

もし、これらの1つでも奏功すれば、無罪へと直結することになります」

弁護側としては、こうした証拠によって、「犯人ではない」あるいは「犯人であることに合理的な疑いがある」という裁判所の判断を導き出そうとしているわけだ。

いずれにしても裁判は、検察側と弁護側が、正面からそれぞれの主張をぶつけあう展開となりそうだ。落合弁護士も「今後の公判の推移を慎重に見守る必要があるでしょう」と話していた。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
落合 洋司(おちあい・ようじ)弁護士
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。
事務所名:泉岳寺前法律事務所
事務所URL:http://d.hatena.ne.jp/yjochi/

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