「不同意性交等罪」導入で被害者の負担は増える? セカンドレイプの懸念、立命館・嘉門教授に聞く

弁護士ドットコムニュース / 2021年1月3日 9時39分

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2019年4月に始まった、性暴力に抗議する「フラワーデモ」。2019年3月に相次いだ4件の性犯罪事件の無罪判決がきっかけとなり、刑法のさらなる改正を求める声が上がりました。

その中で、あらたに「不同意性交等罪」の創設を訴える意見が出始めています。2020年11月に日本学術会議が「同意のない性行為を犯罪」とするよう求めた提言も話題となりました。

現在の処罰の現状について、どう見ているのか。新たに法律を作る必要があるのか。立命館大学法学部の嘉門優教授に聞きました。

●解釈によって処罰範囲は広がっている

——2017年に性犯罪に関する刑法が一部改正されました。その後の状況を踏まえて、新たに法改正をするべきか。法務省の検討会で学者や弁護士、臨床心理士、被害当事者などが、2020年6月から議論を重ねています。現在の性犯罪規定をどうみていますか。

まず、今の性犯罪の規定で「処罰の間隙」、つまり「処罰すべきにもかかわらず、処罰できない事例があるのか」、「あるとすれば、どういう事例なのか」ということから考える必要があると思います。

刑法177条の強制性交等罪には、「暴行・脅迫を用いて」という暴行・脅迫要件があります。「暴行」というと殴る蹴るといったかなり強度のものを想像しますが、過去の裁判では、上から覆いかぶさったり足を開いたりするなど、普通の性行為にともなうような行為でも暴行と見ることができる、と判断しているものもあります。

刑法178条の準強制性交等罪は、「心神喪失」もしくは「抗拒不能」に乗じたり、それらの状態にさせて性交等に及んだりした場合に成立します。判例では、この「抗拒不能」について、「抵抗が著しく困難な状態」で足りるとされていて、抵抗するのが「不可能」というレベルまでは求められていません。

裁判所は、暴行脅迫、抗拒不能といった要件を、事件ごとに被害実態を具体的に見ながら、比較的柔軟に解釈してきたと思います。

つまり、「暴行脅迫」や「抗拒不能」の要件は、強度のものが常に要求されているわけではなく、行為者と被害者との関係や、年齢、地位・立場、行為の場所などといった事情を総合的に考慮したうえで、被害者が著しく抵抗困難だったかどうかを、事例ごとに実質的に判断されています。

●「著しく抵抗困難」裁判所は被害者心理の特性を踏まえて判断

——フラワーデモのきっかけとなった4件の性犯罪事件の無罪判決のうち、3件が高裁でひっくり返り逆転有罪となりました。

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