転職するので会社をやめます・・・未消化の「有給休暇」を会社に買い取ってもらえる?

弁護士ドットコムニュース / 2014年3月23日 12時16分

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春は出会いと別れの季節。年度末、つまり3月いっぱいで今の勤め先を辞めて、4月からは新天地で――という会社員も多いのではないだろうか。

退職するにあたって、気になることの一つに、未消化の有給休暇がある。制度としてあるからには、ぜひとも活用しておきたいところだが、仕事の引継ぎなどで時間がなくなり、結局、消化できないまま次の会社に移るのが実情かもしれない。

そういった際、退職時に「未消化の有給休暇」を会社に買い取ってもらえないのだろうか。谷口真理弁護士に話を聞いた。

●退職時の有給買い取りは「できなくはない」

「会社が有給休暇を買い取ることは、有給休暇取得の抑制につながることから、労働基準法39条違反になるとして、通達により原則禁止されています。

しかし、退職時の未消化有給休暇については、会社が買い取っても、有給休暇取得を抑制するおそれは小さく、労基法39条の趣旨を大きく害するわけではないため、例外として『違法とまではいえない』とされています。

ですから、会社が応じる以上は、退職時の未消化有給休暇を買い取ってもらうことは可能です。実際、買い取りの対応をする企業もあります」

●買い取ってくれるかどうかは「会社しだい」

「もっとも、会社には退職時に未消化の有給休暇を買い取る義務はありません。つまり、確実に買い取ってもらえる権利が、従業員に保障されているわけではありません。

ですので、退職予定の会社に未消化の有給休暇が残っている場合、できれば退職日までに全て消化した形で退職することが、本来の制度通りの利用という意味でも最善といえます」

谷口弁護士はこのように指摘する。その際に気をつけるべき点は何だろうか。

「現実問題として、残務処理や事務引き継ぎ等で退職日までに全ての有給休暇を消化することが難しくなるケースも多々あるでしょう。場合によっては、必要な日数分だけ、退職日を繰り下げたり、退職後に有償で業務を行ったりするなどの調整を会社から求められるかもしれません。

ですから、引継ぎ、有給消化について何も考えず、焦って退職日や転職先での勤務開始日を決めてしまう方も中にはいらっしゃいますが、やはり退職や有給消化については、時機を見て、可能な限り余裕を持って、上司と話し合っておくことが重要です。そうした対応によって、できる限り円滑に業務を引き継いでもらい、退職日までの有給消化を目指すのが良いでしょう

また、退職日までに業務の引継ぎを完了しない従業員は、退職金減額など懲戒の対象となりうる、という旨の規定を就業規則に設けている企業もありますので、退職を決める前に就業規則の規定を確認しておくことも重要といえます」

そうなると、有給については普段から計画的に消化しておき、退職が決まった時点では、ほとんど残っていない、というのが理想と言えるのだろう。もちろん、そんな風にうまくいくケースばかりではないだろうが・・・。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
谷口 真理(たにぐち・まり)弁護士
一橋大学法学部卒業。親身な姿勢と法律問題についての分かり易い説明には特に定評がある。著書に「新・労働事件法律相談ガイドブック」(第二東京弁護士会・共著)、「事例に学ぶ離婚事件入門-紛争解決の思考と実務」(民事法研究会・共著)
事務所名:桜花法律事務所
事務所URL:http://www.oukalaw.jp/

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