「自殺教唆」とはどんな犯罪なのか――他人に自殺を「決意」させる犯罪

弁護士ドットコムニュース / 2014年3月25日 11時35分

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「お願いだから死んでくれ」。そのようなメッセージを無料通信アプリ「LINE」で交際相手の女性に送り、自殺をそそのかしたとして、大学生が「自殺教唆」の容疑で逮捕される事件が2月にあった。大学生は逮捕されたものの、しばらくのちに処分保留で釈放されている。

報道によると、大学生が「お願いだから死んでくれ」「手首切るよりは飛び降りれば死ねるじゃん」といったメッセージを送ったのは昨年11月のこと。メッセージを受け取った女性はその翌日、遺書を残して自宅マンションから飛び降りたのだという。

今回の事件で問題となった「自殺教唆罪」とは、そもそもどんな犯罪なのだろうか。刑事事件にくわしい辻孝司弁護士に聞いた。

●自殺を「決意」させる犯罪

「自殺教唆とは、もともとそうしようと思っていない人に自殺を決意させて、自殺させるという犯罪です」

このように辻弁護士は説明する。

「『自殺』そのものは、殺人と同じく人の生命を奪う行為ですが、自分自身を損なう行為なので犯罪とはされず、処罰もされません。しかし、他人の自殺に関わることは、他人の生命を損なう行為なので、犯罪とされているのです」

自殺教唆罪の法定刑は、「6月以上7年以下の懲役または禁錮」(刑法202条)だ。殺人罪(死刑・無期もしくは5年以上の懲役)と比べるとかなり軽い。

では、自殺教唆という犯罪が成立するためのポイントはどこにあるのだろうか?

「自殺教唆は、自殺するつもりのない人に、自殺を決意させる行為です。したがって、ある行為によって、自殺するつもりのなかった他人が自殺を決意したのかどうかが、ポイントとなります。

今回の事件でも、『お願いだから死んでくれ』といった大学生からのメッセージによって、女性が自殺を決意したのかどうかが問題となります。たとえば、大学生が送ったメッセージとは無関係に、自殺を決意したのであれば『自殺教唆』にはなりません」

●「自由意思」を奪って死なせたら「殺人罪」

さらに、辻弁護士は、自殺教唆と殺人の違いについて、次のように述べる。

「自殺教唆になるには、他人が『自由な意思』にもとづいて自殺していなければなりません。たとえば、暴行や脅迫を加えたり、だましたりして、他人を無理やり自殺させた場合には『殺人罪』になります」

今回は「お願いだから死んでくれ」などのメッセージを、インターネット経由で女性に送ったことが問題になっている。

「そのような行為は、相手の『自由な意思』を奪うほどに脅迫的ではないということで、『殺人』ではなく『自殺教唆』での逮捕になったのでしょう」

このように辻弁護士は述べている。

ただ、冒頭でも触れたとおり、この事件で逮捕された大学生は処分保留で釈放されている。辻弁護士が指摘しているように、「大学生のメッセージによって女性が自殺を決意した」といえるかどうかが、最終的に犯罪として立件されるかどうかの大きなポイントとなっているのだろう。

(弁護士ドットコム トピックス)

【取材協力弁護士】
辻 孝司(つじ・たかし)弁護士
京都弁護士会:刑事委員会委員長、元副会長、日本弁護士連合会:刑事弁護センター、死刑廃止検討委員会、近畿弁護士会連合会:刑事弁護委員会副委員長、京都産業大学法科大学院非常勤講師、学校法人ノートルダム女学院監事、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事
事務所名:京都はるか法律事務所
事務所URL:http://www.kyoharu.com/

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